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数々の人々の支えに対する感謝をこめて、この作品をつくりました

「条件の演劇祭 vol.1 Kabuki」上演日程・チケット情報はこちらからお願いします。

||◤上演日程
7月7日(金)~15日(土)
||◤チケット
各回観劇チケット 一般 3800円/U25 3200円
ほか、オトクなセット券や幕見券、配信チケットがあります!



「条件の演劇祭 vol.1 Kabuki」にて上演される僕の作品『太陽と鉄と毛抜』のパンフレットに載せるために書いた文章をマガジン限定公開します。

まるで時間が止まってしまったかのような、ふしぎな日々だった。

2020年から始まったおよそ2年間。新型コロナウイルスに振りまわされながら生活してきた日々を振り返って、まずこんなふうに思う。僕は生来、インドアな人間だし、自宅で好きな本を読んで、好きな音楽を聴いて、好きな映画を観て、ウイスキーをちょっぴり飲んで眠る……そんな日々を歓迎していた。誰とも会わないでも生きていけるじゃないか。そんな安易な考えが、心のなかに根を深く張っていくごとに、僕は閉鎖的になっていった。しかも、困ったことに、無自覚に閉鎖的になっていた。

閉鎖的になってしまった僕は、他者を重荷に感じるようになった。自分以外の物や人のことをある種の面倒ごと——あるいは面倒を引き起こす種——みたいに見えてしまうことがあった。だから、できるだけ外に出ないで過ごしてたい、って思った。好きな本を読んで、好きな音楽を聴いて、好きな映画を観て、ウイスキーをちょっぴり飲んで眠る……そんな日々を歓迎していたのだ。

でも、僕には仲間がいた。自己の内側に閉じこもって出てこないでいる僕のことを、あきらめないで支えてくれようとしてくれた人がいた。僕がかたく閉ざしたままにしている扉を、ノックし続けてくれる人がいた。たとえ居留守をつかわれたとしても、何度も訪ねに来てくれた人がいた。ときには厳しい言葉を掛けてくれて、僕の内なる闘魂を奮い立たせようとしてくれた人もいた。そんな数々の人々の支えがあって、今の僕は存在している。そして、こうやって演劇をつくって、新作を発表する場を頂戴するに至っている。

数々の人々の支えに対する感謝をこめて、この作品をつくりました。いつもは劇中で難儀なメッセージを投げ掛けて、皆さまが腕組みしながら帰っていくかもしれない作品をつくっているかもしれない僕ですが、今日はどうかごゆるりと、ご鑑賞ください。

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472字
好きなものを好きなように書くために、noteを書いています。だから、このマガジンは僕の「スキ」で溢れてるんだと思います。

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「創作」と「生活」をつなげることをコンセプトにしたマガジンです。週1回以上の記事更新。エッセー・小説・感想文・戯曲……多種多様なジャンルの…

今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。 これからもていねいに書きますので、 またあそびに来てくださいね。