【短編小説】己が信ずる夜明けに向かって 3話
――数刻前。
地区の店はコガラシマルにとってちょうどいい。澄んだ冬の空気を思わせる肌の色は、彼が明らかに人ではない何かであることの証明で、多種多様な人々の往来がある商業都市においても注目の的だった。しかし地区に入ると話が変わる。地区の人々は通りすがりの他人のことなどかまける余裕がないのだ。慣れていないアカツキは「ここ、入っていいのか?」と繰り返しコガラシマルに聞いていたが。
手近な食堂に入り、飲み物を注文する。アカツキも適当にミルクコーヒーを頼んでいた。
「お前も俺を止