マガジンのカバー画像

創作短編集

304
私が書いた創作短編をまとめたマガジンです。 今後記事が増えたとき、こちゃこちゃするかもしれないと思ってまとめてみました。
運営しているクリエイター

#ナナシノ魔物退治屋

【短編小説】別離の砂が散る

 こちらの後日譚です  壁一面に描かれた魔法陣は、魔術の発動を阻害させる類のもの。ソリト…

【短編小説】斬釘截鉄 #5

 重い瞼を開ける。  身体のパーツが全て間違ってくっついているのではと思ってしまうくらい…

【短編小説】斬釘截鉄 #4

 そういうものだろうなと思っていた。もう材料は十分に揃っていた。何も驚くようなことはなく…

【短編小説】斬釘截鉄 #3

 指でカウンターテーブルを叩く。髑髏の円舞でコバルトは文字通り頭を抱えていた。失踪事件の…

3

【短編小説】斬釘截鉄 #2

 髑髏の円舞は、地区の裏道を上手く使った(ラスターが案内した)おかげで十数分歩くだけです…

3

【短編小説】斬釘截鉄 #1

 真っ赤なオレンジのゼリーが、日の光に当たってキラキラと輝いている。ラスターは感嘆の息を…

7

【短編小説】決意のとき

 術者の意識がなくても効果を発揮するタイプの魔術は、アカツキにとっての生命線でもある。万が一夜を迎えたときにでも最低限の安全は確保できる。今回もそのパターンだった。  目を覚ますと、みんな眠っている。燃え尽きた焚き火の跡からうっすらと煙が立っている。  少し離れたところでラスターが眠っている(ように見える)。そして――。 「おはよう」  ノアの口元が、そう動いた。    決意のとき  大変な依頼だったね、と言ってノアは焚き火の準備を始めた。携帯食料はそのままでも食えるが、

【短編小説】蛇と朝

 人が寝ている。  通路のど真ん中で。  これが自分の生活圏外だったら素知らぬふりして素通…

8

【短編小説】ただ一人、静かに。

 小雨が降り続いている。  ノアもラスターも、「雨宿りになるような場所」を探す目的を忘れ…

6

【短編小説】ヒョウガと肉を食わない娘

 床に皿が叩きつけられる。ヒョウガがびくっと体を震わせた。女は首を横に振った。床に皿の破…

5

【短編小説】赤い空の下で

「死ぬかと思ったよぉおお!」  魔物退治に失敗した魔物退治屋の女が、アカツキに担がれた状…

5

【短編小説】ワインパーティー

 酒場・髑髏の円舞――。  その席の片隅でノアとラスター、コバルトはボックス席の片側にぎ…

7

【短編小説】己が信ずる夜明けに向かって 4話(最終話)

「地区の医者はもう手が塞がっています」 「中級程度の治癒の魔術なら展開できますが……」  …

5

【短編小説】己が信ずる夜明けに向かって 3話

 ――数刻前。  地区の店はコガラシマルにとってちょうどいい。澄んだ冬の空気を思わせる肌の色は、彼が明らかに人ではない何かであることの証明で、多種多様な人々の往来がある商業都市においても注目の的だった。しかし地区に入ると話が変わる。地区の人々は通りすがりの他人のことなどかまける余裕がないのだ。慣れていないアカツキは「ここ、入っていいのか?」と繰り返しコガラシマルに聞いていたが。  手近な食堂に入り、飲み物を注文する。アカツキも適当にミルクコーヒーを頼んでいた。 「お前も俺を止