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創作短編集

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私が書いた創作短編をまとめたマガジンです。 今後記事が増えたとき、こちゃこちゃするかもしれないと思ってまとめてみました。
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2023年5月の記事一覧

【短編小説】絶対に誰も傷つかない小説

「冒頭の交通事故のシーン、交通事故の当事者にとってつらい経験を思い起こさせるのでやめまし…

【短編小説】1500個のジェムvs150個のダイヤ

「サービス終了なんだって!」  友人がそう言って嘆いているのを、私は課金石の購入画面を眺…

【短編小説】五つの苗

 プランターから五つの芽が出てきたのは大分前のこと。あの頃は「みんなで大きくなろう」と語…

【短編小説】六秒間

 珍しくノアの機嫌が悪い。  それも、はたから見て分かるレベルなので相当である。紅茶を淹…

【短編小説】みんな自分が一番

 X国ではデモが活発になっていた。未だに負の遺産である身分制度が残っているこの国では、奴…

【超短編小説】値段は気にしないので

「この本、ください」  その言葉にサークル主は飛び上がって喜んでくれた。特殊加工でギラギ…

【短編小説】平穏と善

 中学時代のことを、時々思い出す。  私たちのクラスは常に暴言と偽善者に怯えていた。どちらもスクールカースト上位に君臨していたバカ女二人で、どんなやつだったのかといえばそのあだ名がすべてを物語っている。常に自分を正当化し、決して自らの過ちを認めないのだが、先生からの評価は高く外観も平均より上だったので連中の味方は多かった。  偽善者が余計なことをして私たちを困らせて、暴言がそれを正当化する。暴言は常に偽善者に可愛がられていたので、偽善者のすることが正義であった。一度だけ美術の

【短編小説】日々の変化へ

こちらの後日譚です  緊張していないといえば嘘になる。 「ぱすてるドリーム」という店の存…

【短編小説】変わらない、日々

こちらの後日譚です  あまりにも平和すぎる。  新人教育の依頼の一件で、ラスターは少し臆…

【短編小説】前の絵

 最近、絵の感想をよくもらう。  たいていの人は嬉しいコメントをくれるのだが、一部の人か…

【短編小説】新人教育の依頼 #6(最終話)

 こちらの続きです  部屋から出てきたノアは、ラスターに「立てる?」と問いかけた。 「無…

【短編小説】新人教育の依頼 #5

こちらの続きです  酒場・髑髏の円舞――。 「生きてりゃなんとかなるなんて独りよがりの考…

【短編小説】新人教育の依頼 #4

 こちらの続きです。  部屋の入口付近に「懸念」は居た。  ぶうぶうと醜い鳴き声を上げた…

【短編小説】新人教育の依頼 #3

 こちらの続きです。 「あの森は穏やかなものだよ、ゴブリンが住処に選ぶくらいだからね」 「魔物以外に危険な生き物はいないかな」 「時々あの森で狩りをするの、イノシシやシカを罠にかけるのよ。でも、最近罠ごと持っていって逃げる個体がいるのよね」  順調に進む聞き込みは筋書き通りの展開である。シルヴィアとエイベルの顔つきがどんどん自信に満ちあふれる一方、ステファニーは淡々とメモを残していた。 「よし、それじゃあ森に行くわよ!」 「おー!」 「ちょっと待って」  ノアが乗り気の二人