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創作短編集

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私が書いた創作短編をまとめたマガジンです。 今後記事が増えたとき、こちゃこちゃするかもしれないと思ってまとめてみました。
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2022年11月の記事一覧

【短編小説】眠る子供のように

 憂鬱が胃の底で停滞するとき、ノアはいつも黙ってそれをやり過ごす。ストレス発散の名目で剣…

【短編小説】エス・エス・アールがでないので

「勇者様、助けてください! 村に魔物が……」  息を切らせた私に勇者は無言のままだった。…

【短編小説】住処を追われた獣

 つけっぱなしのテレビはバラエティ番組を垂れ流していたはずだったが、いつの間にか動物番組…

【短編小説】後から来た人のために

 雨玉ポツリは中堅ジャンルの同人物書きである。  定期的に新規参入者がやってきたり、一時…

【短編小説】名もなき夜の夢を

 バカ正直に誰かを助けたいとか、何かに必要とされたいとか、そんな願いは早々にドブへ捨てて…

【短編小説】タヌキの歌とウグイスの太鼓

 ぽかぽか森には、音楽隊がありました。  ……といっても、タヌキのタヌくんと  ウグイスの…

【超短編小説】異世界転生で最強チート勇者

 異世界転生してから、私の人生は変わった。  見るだけで強いと分かるステータス。かみ合ったスキル構成。何もかもがぶっ壊れと評価された私は魔物をばったばったと倒していった。援軍としてやってきた二人の戦士――リリィとパティも、私の強さに惚れ惚れしちゃって……こんな快感今までに感じたことなかった! 「この世界で起きている異変を解決しに行きましょう」  調子に乗っているわけじゃない。私は私の持っている力で人々を助けたいだけ。剣を握りしめて、必殺のディバインソードを繰り出す。遠方からの

【短編小説】神絵師は死んだ

 生産速度も高い。技術もある。ジャンル内で彼女を知らない人はいない。もちろん、彼女より絵…

【短編小説】性根が腐っている

 諸君は、性根の腐った臭いを知っているだろうか。性根というものは大抵各々の身体の内部にそ…

【短編小説】美代子先生との思い出

 この前の日曜、美代子先生を見かけた。  個別指導学習塾の先生と町中で行き会うことは結構…

【短編小説】「共感」(水彩画)

 ※自傷行為の表現(傷跡)があります。この小説はそういった行為を推奨するものではありませ…

【短編小説】神絵師の肉を食べた

 神絵師の肉を食べた。少し硬くて噛みきれなかったので、細かく刻んで飲み込んだ。しかし胡椒…

【短編小説】日常を守るために

 三浦哲朗はこの世の真理に気がついていた。  学校は毎日同じことの繰り返し。機械のように…

【短編小説】境界の酒場にて

  ※シリーズになってはいますが、上記二作を読んでいなくとも問題なくたのしめます。  変なヤツだとコバルトは思った。  ラスターが言う「会わせたいヤツ」とやらの情報はたっぷり得ていた。なんせ有名人の息子だ。寝転がっているだけでも情報は出てくる。ラスターは彼に裏路地を見せたくなかったようで、表と裏の境目ギリギリにある食事処を指定してきた。宿屋も併設されているそこは、旅人が路銀をケチりたいとき、真っ先に活用する場所だ。  コバルトが扉を開けると、食堂の奥の席で手が上がるのが見