デザイン経営⑤~不確実性の中を走り抜ける~
Pomoloです。新規事業やコンサルティングを行っています。
前回までに、企業が創造性を発揮するために必要なデザイン経営について、
「ブランディングのためのデザイン」「イノベーションのためのデザイン」
の2つの側面から考え方や実践について話しました。
前回の投稿では、イノベーションのためのデザインについて、プロセスを中心に話してきたため、経営というよりは現場感のある話になりました。
デザイン経営という文脈では、経営と現場の距離はより近くなるはずなので、そこまで問題はないかなと思いますが、今回はイノベーションのためのデザインを進める上でのマインドセットやTipsに触れることで、組織や人材についても示唆を出せればと思います。
前回書いていたのは、
といった内容です。
「不確実性とどう向き合うか」は前回も触れましたが、イノベーションのためのデザインのプロセスでは、あらゆる観点(ユーザ視点、収益性、実現性など)を行ったり来たりしながら、全体の統合・調和を図るということが必要になります。
新しいものを生み出すときはプロセスもあってないようなもので、それがかなりストレスになる人もいて、プロセスを教えてくれ、という話もよく出ますが、どんな進め方をするかも手探りでそのプロジェクトごとに異なってくるかと思います。
過去のやり方を踏襲して進めるのもありですが、そのやり方があっているのか、変更が必要でないかは常に考え続けないといけないです。
では不確実性が高いから計画をたてるのが不可能なのかというと、そういうわけではなく、ざっくりとした計画をたてることはできますし、期間を設定してここまでには何かしらのアウトプットを出すというルールを決めておけばいいかと思います。
"あらゆる観点"と言いましたが、ユーザ調査、ビジネス面での調査、実現するための技術の調査など、ひとつのことに時間をかけて順番にやっていくというよりは、何度もぐるぐると思考を深めるように行ったり来たりが重要になります。
Agile的に何度も見直しを行いながらあらゆる観点を統合していくプロセスが必要になります。「試行錯誤」という言葉がまさにピッタリです。
不確実性が高いということは、正直結果が出るかも分からないということでもあるので怖い状況ですが、楽天的にきっと答えが出ると考えることも必要でしょう。
そんなときにポイントとなるのは、柔軟なマネジメントやコミュニケーションも必要ですが、進めていく上で、「何が目的なのか?」の一点だけはぶらさないようにすることです。むしろ、何が目的か、の精度をあげていって腹落ちする目的が見つかれば、その実現手段などは自ずと決まるはずです。
目的というのはそもそも「ブランディングのためのデザイン」で定めていたはずなのですが、その解像度が更に上がっていったり見直しが入るということです。
(自分たちが解くべき「問い」の精度をあげるとも言えます)
「ブランディングのためのデザイン」にすら立ち戻ってしまうため、やっぱり不確実性が高いということになりますが、目的という北極星さえ見えていればプロジェクトは確実に前に進むということでもあります。
北極星が見えていなければ、前に進んでいるつもりが実は見当違いの方向に行っていたということにもなりかねません。
よくある企業での事例だと、収益性や技術の検討ばかりされて、ユーザ体験がおざなりになり、さんざん検討した内容が見当外れということもあります。
ユーザにどんな体験を与えたいか?どんな課題を持っているか?などは北極星となりうるため、どこかのタイミングでユーザ体験に全振りして考え抜くことがひつようになります。
ちょっと見当外れになってしまった収益性や技術の検討も決して無駄にはなりません。「不確実性とどう向き合うか」の次のトピックの「発想と実装の橋渡し」でも触れますが、いくら素晴らしいアイディアでも実現できないと残念なので、活きてくるときが来ます。
「イノベーションのためのデザイン」では、試行錯誤がつきません。一見、無駄になってしまったという調査などの作業も実は自分達の血肉になっています。
エジソンではないですが、これではうまくいかないという発見をしたのだ、ということもいえるとおもいます。
そうやって組織として知見を溜め込んでいくこともデザイン経営です。目先の売上などの分かりやすい数字ではなく、組織としての成長や暗黙知の蓄積、自分たちのパーパスの熟成やメンバの腹落ち感なども評価していかないといけません。
話が少しそれてしまいましたが、新しいものを生み出すときには不確実性が付きまとうので、細かい方法論はおいておいて、とにかく自分たちの目的が何か?を常に考え続けて磨き続ければ道は開ける、ということが伝わればと思います。
更に細かいテクニックや考え方などはまたどこかでお話しできればと思います。
次回は「発想と実装の橋渡し」について話したいと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?