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木葉功一
2021年8月22日 06:22
雨上がりの道を歩く駐車場の空きスペースに人のかたちをした水が立ってて俺はお前だ、 お前は流れだ、流れが枯れるまで生きろ、と言うわかった、と答えて歩くたっ たっ じゃたっ たっとくん とくん たくん たくん人のかたちの水の流れが自分の中に確かにある濡れて輝く立ち木の梢が顔をかすめてきらきら光る(終わり)
2021年8月11日 19:11
巨大なマンションに住んでいるメールボックスの前に立つ自分名義の小さなポストが高い所に増設されてる開くと請求書が数十枚レンタルソフトの滞納料金何年溜めたか分からない結婚を約束していた女医がキッチンで突然死してしまう心臓の疾患と思われる彼女の職場へ報告に行き中華料理を出されて食べる麻婆豆腐が異様に美味いいろいろ訊かれて答えられない彼女の死体を見た記憶がないマンション
2021年8月11日 18:36
大風が吹いて家の中がメチャクチャ家族は怖がり 自分は平気庭に出て植木鉢と 金髪のヘアウィッグと 水色のオウムを拾って戻る廊下に中華包丁を持った手配中の殺人鬼が隠れていて包丁の刃を 後ろから首に当てられる払って逃げる 手の平が切れる生命線がぱっくり開く殺人鬼が家の奥へと入り家族の誰かを襲ってる悲鳴が上がりどん、ごろごろ、と首が転がる音がする白い蛇革のスーツケースが玄
2021年8月11日 17:55
朝陽に染まった町並みの上を自分の影が飛んでいる他にもいくつか飛ぶ影がある家に戻ると生まれたばかりの赤ん坊が窓辺に置かれたベッドに寝てる栗色の明るい瞳むちむち太った白い手足太いしっぽが生えているメタリックな鱗が美しい龍のしっぽ、と妻が言う赤ん坊がにっこり笑う視界いっぱいに迫る岩肌青ざめた白とクリーム色流れる雲の隙間から尖った山の頂が見える高い空をいく飛行機のよ
2021年8月10日 17:51
子供が病気で入院する悪いことをいっぱい考え医者の前で取り乱し家に戻ってベッドに倒れ天井を見ながらはたと気づく嫌い続けてきた母と今の自分はそっくりだ不安と心配の区別がつかない同じ鋳型の魂だ彼女を嫌い 突き放し 縁を切って生きるのは自分を嫌い 突き放し 縁を切って生きること逃亡中の犯罪者かよ情けなくなり ふて寝する夜中に子供が退院しひとりで歩いて帰ってくるおかえり、と玄
2021年8月8日 15:59
真っ黒に日焼けした銀髪の女の子の家に泊まる四角い螺旋階段を地下へと下りる一階ごとに金や緑やピンクの髪の姉や妹が男といる地下四階から灯りがなくて父親と母親が廊下に立ってる挨拶するとあうう、と唸る地下五階が彼女の部屋朱色の石室朱色のベッドで銀髪の女の子と抱き合い 交わる熱い吐息と ひんやりした乳房何度も何度もささやかれる 理解できない短い言葉とろけるように達しながらこ
2021年8月7日 17:30
美大の奥にある工房で駐車場から車が飛び出すミニチュアセットを作ってる先輩や同級生にほめられて嬉しい車の名前はアルフェラッツだ大講堂へ行くと講演会をしている講師の一人が若い頃の父親整形していて顔が違う体育館が巨大な居酒屋になり酔って力比べをしている もう一人の自分を見る上半身裸でスキンヘッドで 背中と腕の筋肉が凄い組み合ってる相手はもっと凄くて人のかたちを突き破ってるやぶれ
2021年8月6日 22:23
高層ビルの屋上で占星術の授業を受けているVTOL戦闘機が飛んできて至近距離を旋回するVTOLによく似ているけれど人の作ったものではない他にも高い空の上を虹色の飛行物体が飛び交い半透明のジャンボジェットがゆっくり現れ 消えたりする昔働いていた会社へ行く前とはかなり変わったでしょう、と若社長が笑顔で言う老人と子供の幽霊が彼の両脇に現れるああ、まずい憑かれてるパァン、
2021年8月6日 03:33
磨き上げた柿のようにつるつるぴかぴかの赤ちゃんが笑う限界集落で暮している薪を刈って背負って斜面を下りる反対側の斜面に建ってる何件かの家に灯りが点いてるあれを消しに戻らなければ、と夕陽を浴びながら見つめているとすべての家の灯りが消えてムントという言葉が聞こえ苔むした緑色が目の前に広がり数人の知人が現れるすでに亡くなった人もいて話すたびに記憶が削られていき自分が誰だか忘れ
2021年8月6日 01:27
鉛筆で描かれた漫画を読む 漢字とひらがなで書かれたセリフ 日本語だけど日本語じゃない 新しい 読みたい 家の模様替え えー嫌だな、 と思ってるうちに 模様替えが終わってる にぎやかな話し声が遠ざかり ドレッドヘアーの映画評論家と チーフアシスタントが掃除をしてる 仕事場の大机は撤去され 小さな机とパソコンとプロジェクターとスクリーンが置かれている 部屋の外の廊下には黒く