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ソムニウム(76)水色のオウム


大風が吹いて
家の中がメチャクチャ
家族は怖がり 自分は平気
庭に出て
植木鉢と 金髪のヘアウィッグと 
水色のオウムを拾って戻る
廊下に中華包丁を持った
手配中の殺人鬼が隠れていて
包丁の刃を 後ろから首に当てられる
払って逃げる 手の平が切れる
生命線がぱっくり開く
殺人鬼が家の奥へと入り
家族の誰かを襲ってる
悲鳴が上がり
どん、ごろごろ、と
首が転がる音がする
白い蛇革のスーツケースが
玄関の三和土に置かれてる
中には瓶詰めの禿頭の生首
小学校の同級生だ
名を呼ぶと
ぱっちり目を開ける
自分の首になっている
スーツケースを持って家を出る
空に浮かんだ乱数表から
7の数字がふたつ飛び出し
ぶつかり合ってびびびと震える
7×7=49 北斗七星
危ういな、
と思って走る
大風がまた吹いてきて
あちこちの家から悲鳴が上がる
水色のオウムが肩にとまり
ヤッチマエ、
と大声で叫ぶ


(終わり)

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