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ソムニウム(73)血文字


真っ黒に日焼けした銀髪の女の子の家に泊まる
四角い螺旋階段を地下へと下りる
一階ごとに
金や緑やピンクの髪の姉や妹が
男といる
地下四階から灯りがなくて
父親と母親が廊下に立ってる
挨拶すると
あうう、と唸る
地下五階が彼女の部屋
朱色の石室
朱色のベッドで
銀髪の女の子と抱き合い 交わる
熱い吐息と ひんやりした乳房
何度も何度もささやかれる 
理解できない短い言葉
とろけるように達しながら
ここにいてもいいな、
と思う
目覚めると
鉄格子で囲まれた雑魚寝部屋で
大勢の男たちと一緒にいる
臭い吐息 べとべとの肌
おいおい かんべんしてくれよ
空中に
細長い赤い虫が浮き出し
血文字のような言葉を描く
女の子がささやいた言葉だと
読めないけれどすぐに分かる
しゅっ、と
血文字が降ってきて
胸に張りつき 肉に刻まれ
自分の名前になってしまう
ははは、ははは、
と笑いながら
女の子の両親がぴょんぴょん跳ねる


(終わり)

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