ソムニウム(70)ムント
磨き上げた柿のように
つるつるぴかぴかの赤ちゃんが笑う
限界集落で暮している
薪を刈って背負って斜面を下りる
反対側の斜面に建ってる
何件かの家に灯りが点いてる
あれを消しに戻らなければ、
と夕陽を浴びながら見つめていると
すべての家の灯りが消えて
ムント
という言葉が聞こえ
苔むした緑色が目の前に広がり
数人の知人が現れる
すでに亡くなった人もいて
話すたびに記憶が削られていき
自分が誰だか忘れていく
ああ、気持ちいい
と思っていると
学生服を来た
手足の長い
色の黒い少年が駆け下りてきて
馬鹿、
と叫んでジャンプして
ガツガツーンと二連発で頭を蹴る
あまりの衝撃に目を覚ます
後頭部が裂けて
血が出てる
(終わり)
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