polimos管理人テル

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主に政治や時事、学問の情報を提供する動画投稿グループpolimosに所属するテルです。 動画では口数は少ないですが文章を書くのは好きでnoteを始めました。 三度の発言より書くのが好き、でも三度の飯よりは好きじゃない。

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  • タイガのpodcast

    • 7本

    政治研究者のタイガが選んだその時気になったニュースを紹介、解説します。政治に限らず多様な内容を話していく予定です。政治に興味がある人や時事問題に興味のある人はよろしくです。現状はたまに更新する予定です。

  • polimosテルの人口研究

    今年の3月、4月にコロナ禍真っ只中で暇なテルが書いた人口問題に関する論文じみた文章です。人口や少子化という概念を歴史的に分析し、主に人口と経済の関係を考察しています。そして日本の少子化の原因を多面的な視点で分析し、どのように取り組めばよいのか幅広く考えていきます。

最近の記事

15、むすび

日本は子育ての責任を家庭だけに押し付ける傾向は否定できない。例えば私が子供の時分、友達の家庭を引き合いに出し物をねだったことがあったが親に「外は外、家は家」という決まり文句でいさめられたことがある。これも家庭間の境界を明確に線引きし細分化されており家庭というものが非常に閉鎖的な証拠だろう。近年保育園を増設し待機児童を減らすことが急がれるが保育園に「子供がうるさい」などとクレームをつける人間がいるのを耳にしたことがあり非常に残念に思った。これも社会の単位が個人化していることの証

    • 14、人口減少はやむなし、出生率2.0を目指せ

      世界を見てきたが最後に日本の将来の人口推計を見ていきたい。2046年には人口が1億人を割り2100年には5000万人を割るというデータが示されている。興味深いのは出生率が人口置き換え水準である2.0に回復したとしても人口の減少は避けられないという国のデータがあるということだ。つまり少子化対策が見事功を奏したとしても戦前のような出生数を取り戻すことはできないし、人口減少を完全に防ぐことはできないということだ。しかし重要なのは減少をどこまで食い止められるかということである。出生率

      • 13、世界的な出生率低下にみられる差異

        今まで述べてきた出生数、率の低下はご存知の通り日本だけにみられる現象ではない。2019年次でアメリカの出生率は1.77、イギリスは1.79、フランスは1.92、ドイツは1.57となっている。すべての国で減少傾向であり特にアメリカ、ヨーロッパでは白人の出生率低下が顕著である。少子化という現象に世界の歴史上最も早くに悩まされていたのは意外にもフランスであった。私たち日本人から見るとフランス人は恋愛や結婚に積極的で子供が比較的誕生しやすい国民性というイメージが支配的だが、フランスは

        • 12、慢性的なデフレの理由とその対策

          ところでデフレ下では消費需要が伸び悩むと述べたがなぜ消費需要が伸び悩むのだろうか。説明では貨幣の価値が上がり人々は物よりもお金を欲しくなるとあるがミクロの視点では1万円の価値は1万円でしかないし1000円の価値は1000円でしかなく貨幣の価値が上がったことなど認識できるのだろうか。スーパーで牛肉を買うとき最近貨幣の価値が高いから安い牛肉を買おうなどと考えている人はいないだろう。

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        記事

          11、日本に必要な経済政策

          ここから具体的な経済政策について論じるがインフレ、デフレなどの用語の解説を先にしたい。現代のリフレ派の言葉を借りるなら景気が良いということは緩やかなインフレの状態である。インフレとは需要過剰と供給不足から起こる現象だ。インフレは貨幣価値が低いため人々はモノを欲しがるようになり、消費と投資が促進される。その高い需要に合わせて生産規模、効率を上げるということが経済成長だ。つまり経済成長はインフレを前提としている。しかしひとえにインフレが良いわけではなく、インフレが進み過ぎると貨幣

          11、日本に必要な経済政策

          10、日本の少子化対策のやり方

          ここから日本の少子化対策について論じる。欧米諸国では同棲から生ずる婚外出産が非常に増え、少子化という問題を解決する方法を結婚という要因に求める重要度は低下しているが、日本では結婚を経由せずに出産に至るケースは非常に稀だという。そして結婚したカップルの出生率である有配偶出生率は比較的安定し、むしろ1990年ごろより2005年のほうが増加しているのだ。一方年齢別の有配偶出生率は近年急速に低下している。これは結婚した夫婦は存外子供を一人以上作っているということと20代、30代の結婚

          10、日本の少子化対策のやり方

          9、出生と経済の関係性

          ここで出生と経済の関係を明らかにしたい。出生と経済の関係というのは、好景気の時期に人々は子供を産みやすくなり、不景気の時期に子供を産み控えるという関係性だ。この関係性を認めるには子供がある程度お金のかかる存在と人々が考えているかどうかが重要である。先に述べたように子供の金銭的なコストが増大したのは教育の必要性が増した人口転換後の話であり、それ以前は教育制度も充実しておらず子供に今ほどお金はかからなかっただろう。だが子供には食費など、諸々の生活費や時間が今と同じようにかかってい

          9、出生と経済の関係性

          8、戦後から現代までの日本の人口動態

          戦後から現代までの出生数を見ていきたい。まず着目するべき点は戦後すぐに起こった第一次ベビーブームだ。終戦直後の1946年の出生数は約270万人と1940年から1945年は平均して220万人ほどだったのと比較してみても非常に高い数字だというのがわかるだろう。この要因は兵士として徴兵されていた男性がその任を解かれ、家族のもとへ戻ってきたことで増加したと考えられる。しかし興味深いのは多くのインフラ設備などが破壊され当面は貧しい生活を強いられると容易に予想できるにも関わらず出生行動に

          8、戦後から現代までの日本の人口動態

          7、戦前日本の安定的な出生率の要因

          ではなぜ大正から昭和にかけて人々は苦しい生活を強いられていたにも関わらず出生数は非常に安定的だったのか。それは多産の文化が残っていたということもあるが明治時代から生まれた家父長制度によるものの力が大きいと思っている。家父長制度とは家族の統率権が家長である父親に集中している形態のことで明治民法によって保障されていた。この制度はまず子供の意思決定の自由を抑制し父親である家長がある程度方針を決められる。 これが最も人口を分析するにあたって重要な理由は、夫婦の家族同士の意向で整う見

          7、戦前日本の安定的な出生率の要因

          5、産業革命期の日英からわかる人口転換

          ではなぜイギリスと日本は産業革命が起きた時期に違いがあってもそれを契機に人口が増えていったのか。 まず人口の変遷は基本的に三つの段階があるといわれている。第一段階は多産多死型。出生数も死亡数も高い状態である。特に新生児、乳幼児の死亡率が高いため人々は多くの子供を産もうという心理が働く。江戸時代の平均寿命が40歳ほどであったという衝撃的なデータがあるが、これは新生児、乳児死亡率が高かったために大きく平均が下がったことが数字に反映されており、実際60、70歳で天寿を全うした人も

          5、産業革命期の日英からわかる人口転換

          4、近代からの日本の人口動態

          ここで日本の歴史人口のデータに戻り日本の明治維新からの爆発的な人口増加を考察していきたい。 明治維新の1868年で人口は3330万人、終戦の1945年で7199万人、77年で2倍以上に増加している。享保の改革から明治維新までの約150年間で280万人ほどしか増えていないことを鑑みると驚嘆すべき数字だろう。この増加要因を考えるうえで産業革命期のイギリスと重ねることができる。なぜなら明治維新は言い換えれば欧化政策といえるからである。 列強諸国と締結させられた不平等条約の解消を

          4、近代からの日本の人口動態

          3、イギリスの中世から近代にかけての人口動態

          次に同時期のイギリスの人口を見ていく。その前にイギリスの人口を語るうえで外せないのはマルサスの人口論だ。今までそれとなく書いていたが人口には切っても切り離せない前提ともいうべき要素がある。それは食糧だ。人口と食糧に深い関係性があるというのは常識として考えられているかもしれないが、当然と思われる関係を初めて論じたのがマルサスの人口論である。江戸時代初期の人口増加は新田開発による食糧供給の増加も大きいことは示した通りだ。 人口論では最初に「食糧は人間の生存にとって不可欠である。

          3、イギリスの中世から近代にかけての人口動態

          2、江戸幕府の慢性的な財政難と元禄、化成文化

          しかし江戸時代中期の1716年ごろから人口の伸びが止まるどころか減少傾向にあった。これはなぜなのだろうか。人口爆発が経済の発展によって人々の衣食住が改善され、死亡率が低下したところから導かれるならば、その発展をある程度終えたと見るべきだろう。加えて江戸時代中期から後期にかけて経済は停滞し人々の生活は苦しくなっていた。日本各地で一揆が起こったのはこのためである。家康が鋳造した貨幣は決まった比率で金、銀が含まれていた。つまり金、銀の産出量以上に貨幣を発行することができず、金銀の埋

          2、江戸幕府の慢性的な財政難と元禄、化成文化

          1、江戸時代初期の人口爆発

          では歴史人口学の観点で江戸時代から日本の人口の歴史を見ていこう。総務省のデータによると鎌倉幕府成立の1192年で757万人、江戸幕府成立の1603年で1227万人。続いて徳川幕府第八代将軍吉宗が行った享保の改革1716年で3128万人、明治維新の1868年で3330万人。江戸時代から明治時代までのおよそ250年間で人口は約3倍に至っている。終戦の1945年で7199万人、そしてピークになるのは2004年の1億2784万人となっている。歴史人口のデータで興味深く、着目するべきと

          1、江戸時代初期の人口爆発

          はじめに

          去年7月21日、参議院選挙の後に行われた世論調査の報道を私は食事の片手間に見た。その世論調査で国民に何を問うたかというと「見事勝利を収めた自民党政権に求めるもの、期待するものは何ですか?」という内容でありその回答として最も多かったのが「社会保障の充実」であった。ここでの社会保障はおそらく老後の保障、つまり年金などのことであろう。これは多くの日本国民が老後という将来に対して強い不安を抱いていることを明らかにしたと思う。この当時は老後に二千万円必要と記された金融庁の資料がメディア