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14、人口減少はやむなし、出生率2.0を目指せ

世界を見てきたが最後に日本の将来の人口推計を見ていきたい。2046年には人口が1億人を割り2100年には5000万人を割るというデータが示されている。興味深いのは出生率が人口置き換え水準である2.0に回復したとしても人口の減少は避けられないという国のデータがあるということだ。つまり少子化対策が見事功を奏したとしても戦前のような出生数を取り戻すことはできないし、人口減少を完全に防ぐことはできないということだ。しかし重要なのは減少をどこまで食い止められるかということである。出生率が2.0だった場合の2100年の人口推計は9136万人と減少はかなり緩やかなものになっており2070年ほどから人口の減少はほぼ横ばいだ。

つまり人口がピークに達した2004年の1億2779万人が日本の人口の臨界点だったということである。私が示した通り戦前と戦後で日本の人口が増えた要因というのは全く異なるのだ。戦前は高い出生数が人口増加の原動力になったが戦後は低い死亡率が人口の増加に寄与したのであり、死亡率の低下がもたらしてくれた人口増加はここが限界だったのである。世の中に常に上昇するものもなければ常に下降するものもなく、その例に漏れず人口も永遠に増加することはなく永遠に減少することもない。人口はピークである2004年から減少する運命であり善でも悪でもなくただ当然の事実として受け入れればよいのである。出生率2.0がもたらしてくれる2100年人口約9000万人、この数字を理想として今から適切な対策がとれるのかとれないのか、これが日本の将来を決定する分水嶺であり現在の対応の巧拙によって変わるのだ。

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今年の3月、4月にコロナ禍真っ只中で暇なテルが書いた人口問題に関する論文じみた文章です。人口や少子化という概念を歴史的に分析し、主に人口と…

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