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コメディ礼賛 (2)TVドラマ版「Get Smart」超人的に間抜けなスパイが繰り出す最強のギャグ

2008年公開の映画「Get Smart」にはかなり期待していました。
TVドラマ版が、子供の頃、大好きなコメディだったからです。小学校から帰るといつも、ひとりでこの番組を見ていました。
Wikipediaを見ると、「それゆけスマート」という和題が付けられていたようですが、私の記憶(ミスタースマート・ゼロゼロ作戦)とは微妙に違っています。

30分の放送は、ドン・アダムス演じるスパイ、マックスウェル・スマートが、地下室のいくつもの鉄の扉を通り抜け、最後は電話ボックスから《秘密のスパイ・オフィス》に入る場面から始まります。

そして、上司の《チーフ》、美人の同僚《99号》と共に、敵(ケイオス)と戦うのですが、《スマート》は一生懸命なのに超人的な間抜けで、むしろ味方に被害を与えてしまう。特に、堅物の《チーフ》が、頻繁にとばっちりを受けます。
シリアスな筈の《スパイもの》を徹底的に《パロディった》ギャグの嵐に、いつも笑いが止まらなかった。

さて、映画版は、金に糸目を付けないアクションシーンは迫力があるものの、コメディとしては、かつてのTVドラマ版に及ばない、という印象でした。
映画の宿命でしょうが、大きなストーリーの流れが存在するため、その「話」を前に進めるために時間が取られ、《コメディ》としての《ギャグ密度》は低くなってしまったようです。

(しかし、TV版に軍配を上げるのは、記憶の中で過去を美化しているからでは?)
そう思ってTV版をYouTubeでいくつか《再検証》してみましたが、やはり、これはすごい!
《ほとんどすべてのギャグが、既にここにある!》
と確信しましたね。

もうひとつ、映画版にとっての不幸があります。
iPhoneの時代にあっては、《靴電話》のような《GetSmartガジェット》が──それは、シリアスな場面で鳴り出したり、使うためには靴を脱がなければならないといった滑稽なデバイスだったにせよ──視聴者をわくわくさせるような装置ではなくなってしまったことです。

ところで、この頃のアメリカン・コメディ・ドラマには、どれも《観客の笑い声》が挿入されていました。
この《笑い声》の存在は、視聴者(=小学生の私)にとってプラスに作用したのだろうか、と改めて考えてみました。

おそらく、制作側の《意図》はともかく、《結果》として、《芝居小屋》で感じるような《共感現象》がプラスに働いた、と思います。

この場合は、重畳された笑い声が《共鳴を誘発した》という表現が、より適当かもしれません。
学校から帰宅した私は、たったひとりでTVを見ていたけれど、大勢の観客に囲まれ、みんなと一緒に大笑いしていたのだと思います。


同じ時期のコメディ「じゃじゃ馬億万長者(The Beverly Hillbillies)」も楽しみましたが、個人的には「Smart」の方が好みでした。
Noterの記事を発見しましたので、勝手に引用させていただきます。


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