「好きなものを求めて」
慎太郎は、
また今日も辛いラーメンを食べて、汗をかいていた。
汗をかき、鼻水を垂れながらも、美味しそうに食べていた。
時間は午後2時過ぎ、ラーメンの後はスイーツを食べる。
辛いものの後に食べる甘いもの、胃袋を中和させて、
熱った体を冷ますのが何時もの食べ方だった。
今日のスイーツは、白玉入りの抹茶アイス。
冷凍庫から出して、食べ始めていた時に1件のLINEが、
飛び込んできた。
如何やら、裕信がトラブルに巻き込まれたみたいだった。
スイーツを食べながら、リプして様子を見ることにした。
その後、尋常じゃない写真が送られてきた。
猿轡をして、椅子に括り付けられた裕信の姿だった。
びっくりすると同時に、何が起こったのか理解出来なくて、
携帯を放り投げてしまった。
気付いたら時既に遅し、アイスの中に携帯が突き刺さっていた。
慎太郎は2〜3分考えた後、上着を着て外に飛び出し、
共通の友達の、正美の所へ向かっていた。
正美は、未だ抹茶アイスが付いている携帯を手渡されて、
送ってきた写真を見た。 声が全く出ない。
唖然とした表情を浮かべて、その場に立ち尽くしていた。
どうすることもなく、お互いに何も言えずに、2〜3分考えて、
二人で救出に向かうことにした。
どこに行けば良いのか、全く見当が付かない。
だが、二人が向かった先は、裕信が好きなラーメン屋、
括り付けられた椅子が、ラーメン屋の椅子にそっくりだった。
今日、お店は休業日。本場四川の坦々麺で、有名なお店。
二人がお店に着いた時、呻き声のような声が店の奥から聞こえてきた。
裏口に回って、ドアを蹴破り中に入る。
真っ先に姿を現したのは、裕信のことが好きな麻央だった。
その奥には、裕信の姿が見えていた。
4人が集まるのは、高校卒業以来のこと。
裕信が何故椅子に括り付けられているのか、未だ理解出来ない、
慎太郎と正美。
麻央に問い質してみると、以外なことが発覚した。
どうも裕信が、浮気をしたとのこと。
いつも麻央と一緒に、このお気に入りのラーメン屋さんにきていた。
それが急に一人で、別のラーメン屋に行くようになっていた。
しかも、今まで辛いラーメンが好きだったのに、
あっさりとした魚介スープのラーメンにハマっていた。
そう、辛いラーメンからあっさり系のラーメンに浮気をしていた。
麻央は見兼ねて、辛いラーメンをもう一度好きになってもらうために、
この店にやってきたとのこと。
全て裕信に、辛いラーメンの味を、思い出させるためにやったことだった。
慎太郎は、裕信の猿轡を外して話を聞くことに…
すると裕信は、
「慎太郎の汗が、気持ち良さそうに見えてから、
辛いラーメンが好きになった」
「今は、麻央が好きな魚介スープのラーメンを、好きになりたくて…」
と、堰を切ったように話をし出した。
後から聞いたのだが、
心配させるようなLINEを送ったのは、麻央の仕業だった。
裕信の話を聞いた後、
好きな人の好きなもの、食べたくなった慎太郎だった。
※この物語は、フィクションです。
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