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教え込むよりちょっと考えさせるのがいい、は本当みたい
この間、打ちあわせで中目黒にあるレッジョエミリアの学校を運営する方とお話しする機会がありました。
会話の中で、お互い「そーだよね」と一致したところが
子どもとの会話をどうしていいのか分からない
という保護者の方が意外と多い、ということ。
夏休み、子どもと時間を過ごす機会が増えてくると思いますので、ちょっとした対話のヒントを共有させてください。でも、この話って、まだ初任の先生やこれから先生を目指している若き後輩たちにも役に立つと思いますよ。
こどものギモンを受け止めてみよう
なんで鳥さんは飛べるの?
とか
なぜ?
と聞かれたら秒速で答えたくなってしまうのが、大人の常。
親であれ、先生であれ、会社の先輩であれ、いちいろと教えたくなってしますよね。
しかし、心理学の研究では子どもたち(注:子どもに限ったことではなく、実は大人も」)も「自分なりの考え」を持っているために、なかなか新しい知識が入ってこないという現象があります。
これが素朴理論と呼ばれるものです。もともとは1990年代に社会心理学者のLee Rossらが名付けたといわれています。
例えば、物理学で揚力の話とか知らない子供たちに、
なぜ鳥は飛べるのかな
と聞いたりすると、
骨が軽いから
とか答えるでしょう。
【実際に鳥が飛ぶ原理はこちら】
このように「鳥が飛ぶ」という摩訶不思議な現象を子供たちは彼らなりの理論で理解しようとしているのです。
子どもは生まれながらにして「科学者」なんです。
↑で紹介しているリンクには「月の満ち欠け」の話がありますので、ぜひご参考にしてください。
支える対話を大切にしよう
科学教育で有名な大塚先生は、1977年(今から約40年ほど前!)に
知識の伝達から支援の教育
というのを主張していました。
子どもの持っている素朴理論を大切にしながら、次の様な手順で教え導くといいと言われています。
1 子どもが持っている「自分の考え」聞きだそう
学校や研修だったらポスター説明文を書いてもらうのもありですね。
2 子どもが持っている「自分の考え」を揺さぶろう
専門用語では「概念の衝突」と呼ばれている過程です。専門家が話しているyoutube動画などを一緒に見よう。もちろん本でも良いですよ!子どもがわかりやすく解説してあげるのもいいですね。
3 子どもが持っている「考え」と比較してみよう
子供たちが持っている考えと専門家の人の話を比べて何が違っているのかを話してみる。
実はこの「差」こそが意図的に・集中的に学ぶべきことだったりします。つまり、学ぶべき内容や方向性が明らかになるんですね。分からないことが出てきたらこっちのものです。
なんでなんだろうね
というキラー質問でどんどん深掘りしましょう。
冒頭の大塚先生がもっとも重要視していたのがここ、「概念変容」、つまり「考え方の変化」なんです。
子どもたちが持っている独自の考え方が、専門家の説明を聞いて揺さぶられ、そして修正される、このプロセスが重要なんです。
大人からの説明をただ聞くだけではあまり効果がないのです。自分の理論と専門家の理論の差に気づき、自分の考え方を直していくというのが「学び」なんですね。
まとめ
子どもとの会話で困ったら
1 まず子どもの理論を聞いてみよう
2 一緒に専門家の話を聞いてみよう
3 子どもが自分の考えを振り返るファシリをしてみよう
という手順が良いみたいです。
これは「素朴理論を用いた学び」と言われる手法で、心理学では良く実験研究されている方法です。ぜひ、夏休みにやってみてください。
もしよろしければ、お菓子から挑戦してみてはいかがでしょうか?
なんで膨らむんだろうね?
なんで水が固まっちゃうんだろうね?
なんで色が変わるんだろうね?
いろいろな「なぜ」に出会えますよ!
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