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干場数理塾 hoshiba math school

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塾講師の雑感です。数学、物理、語学、音楽。
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「基本が大事」を朝から再認識

「基本が大事」を朝から再認識

 早朝7:30からの授業でお馴染みの干場数理塾です。
 数検準一級の問題。ラスト15分でなんとか解き切りました。

$$
極値を求めよ。\\
\lim_{x \to \infty} x \{ \log(4+3x+2x^2)-\log(1+2x^2) \}
$$

 はじめの$${x}$$がなければ、logの中身の引き算は割り算でまとめることができるから一瞬で解けるなあ、と思いつつ、

$$
\be

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確率変数の「和」「再生性」からの「畳み込み」、よく分からないお友達集まれ その1

確率変数の「和」「再生性」からの「畳み込み」、よく分からないお友達集まれ その1

 皆さんよくお集まりで。

よく分からない原因(推測)「再生性」という用語は少し分かりにくい

 いきなり本題ですが、確率変数に再生性があると言っても標準正規分布-2$${\sigma}$$より左の端っこが齧られてなくなってもまた生えてくるという話、では全くないことは薄々気付いておられたことでしょう。

 ふざけている訳ではありません。「分布の再生性」は、英語の reproductive prop

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[Notionからの貼り付け実験]統計検定2級 2018年6月 問8

[Notionからの貼り付け実験]統計検定2級 2018年6月 問8

 今回は、Notionからの貼り付け実験を兼ねています。
 Notionでメモとして書いている統計検定2級2018年6月問8の解答を貼ってみました。
 簡単には行きませんでした。
 Notionの数式はその場で確認できるので大変便利ですが、インラインが「$~$」と書かれており、noteの「$${}$$」とは異なるので、一旦google Documentでプレーンテキストで貼り付け、置換を繰り返すと

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なぜ学校で英語を学ぶ(学ばされる)のか

なぜ学校で英語を学ぶ(学ばされる)のか

 当塾は「数理塾」を名乗りつつ、実は英語も教えています。
 数学など他の科目は相当優秀なのに英語だけは全く興味が湧かないという生徒さんが通いはじめました。当然成績も芳しくありません。
 「大学へ行くことの是非」といった根源的な問題はとりあえず傍に置いて、

現実、大学受験で数学を諦めると理系学部の選択肢はほぼなくなり(数学は理系学問の基本言語なので出来ない人に来られても困る)、英語を諦めたら受験で

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最後の授業

最後の授業

 塾講師というのは、毎年別れがある仕事です。
 今日、高三の生徒さんの最後の授業でした。
 彼は、確固たる信念を持って子供の時から憧れていた職業へ就くべく一歩を踏み出します。
 そのささやかでもお手伝いができたのかな、と思える投稿が、生徒さんのお母様からなされているのを人伝に聞き、授業の際にシェアを許可していただきました。

 塾講師冥利に尽きます。
 とにかく、彼の未来が幸せで有らんことを。

【幾何代数・線形代数】あらゆる行列は幾何代数で代替可能なのか?

【幾何代数・線形代数】あらゆる行列は幾何代数で代替可能なのか?

 幾何代数では、その強力な幾何学的操作能力により行列が不要になるという。
 確かに、鏡映、回転など、簡単な代数操作で表現できるのは確かです。
 しかし、行列は、一次変換という、とにかく行列内に新しい基底を書けば半ば強制的にその基底に変換されるという強力な自由度を持っています。

 それなのに、本当に全ての行列は幾何代数で代替できるのだろうか?

 という疑問をずっと抱えたままだったので、一旦解決し

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年頭雑感

年頭雑感

 明けましておめでとうございます。

 年頭から、統計学と幾何代数の仕込みをしている。蕎麦屋さんが心を込めて蕎麦を打つように、鞄屋さんがより良い鞄を仕入れるように、顧客に少しでも良い商品を届けることが仕事と銘じながら。

 昨年は販路拡大には躓いたものの、統計学講座という新規事業を開始、今年は、余りの美しさに衝撃を受けた幾何代数をそれに加え、成人対象の数学講座の開設に傾注していく。

 音楽につい

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塾の名称変更について

塾の名称変更について

 元々「ゼロの学校」という名前で2016年に始めた当塾。
 かの堀江貴文さん等が2018に「ゼロ高等学院」を設立、その圧倒的な知名度により当塾の検索が劣後。

 加えて、近隣に類似名称(ちゃんとした進学塾さんです)があったのを知らなかったこと、2020年に事務所移転、法人設立もあり、塾の名称を暫定的に、分かりづらいのを承知で法人名から取った「プラノス・アカデミコス」に変更しました。
 生徒さんはほ

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【数学用語】交差項(クロスターム)に対してそうでない項をどう呼ぶか

【数学用語】交差項(クロスターム)に対してそうでない項をどう呼ぶか

実はマイナーだった?「交差項」 いつから$${(x+y)^2=x^2+y^2+2xy}$$の中の$${2xy}$$の部分を交差項、クロスタームと呼んでいたかは自分自身定かではないが、気付いたら自然にそう呼び、塾でも普通に使っていました。
 生徒さんに聞くと、学校の先生からはこの単語を聞いたことがないとのこと。そうなのか。

 その項が交差項かどうか、計算結果に交差項が存在するかどうかは、数学的には

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【統計学】ピアソンのカイ二乗検定の統計量、分母が分散ではなく期待値なのが納得いかないので証明してみた

【統計学】ピアソンのカイ二乗検定の統計量、分母が分散ではなく期待値なのが納得いかないので証明してみた

ピアソンのカイ二乗検定$$
\chi^2=\sum \dfrac{(O-E)^2}{E}
$$

 ピアソンの$${\chi^2}$$検定で出てくる統計量です。適合性、独立性などありますが、多分全部これです。$${O}$$は観測値、$${E}$$は期待値をざっくり表しています。
 この統計量を二項分布近似で書くと、試行回数$${n}$$、起こりうる事象の数を$${k}$$、その連番を$${i}$$

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3乗式の「立方完成」とその本質、そして「多項式の標準化」という視点

3乗式の「立方完成」とその本質、そして「多項式の標準化」という視点

 タイトル画像は、$${y=x^3+3x}$$のグラフです。
 いやはや、これまで3次式は$${y=x^3}$$が究極の姿で、それ以外はSの字を90度左に回転したものしか見たことがなかった(気がするだけ)と思い込んでいたけど、原点を角度を持って横切るのもあったんですねえ。

 長年数学扱っていて盲点があるとは、思い込みは数学の敵。というより、いかに思い込みを排除し柔軟な発想をするか、数学はそれに尽

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「二次方程式の解と係数の関係の新メンバー」の勧めと「±スイッチ変形」

「二次方程式の解と係数の関係の新メンバー」の勧めと「±スイッチ変形」

二次方程式の解と係数の関係」の新メンバー みんな大好き「二次方程式の解と係数の関係」の新メンバーを紹介します。まずは既存メンバー。

$$
\alpha+\beta=-\dfrac{b}{a}\\
\alpha\beta=\dfrac{c}{a}
$$

 それでは、新メンバーの紹介です。

$$
|\alpha-\beta|=\dfrac{\sqrt{D}}{a}
$$

 ここで、$${ 判別

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直角三角形の「隣辺」を普及させよう

直角三角形の「隣辺」を普及させよう

 幾何代数による高校数学と統計学と物理学の再構築にハマっているが成果がなかなか得られず記事の更新が疎かになっている今日この頃、よく見る数学の視覚化動画

を見ていて(これはこれで素晴らしいのでお勧めです)、直角三角形の3辺、hypotenuse、adjacent side、opposite sideが出てきて、そう言えば日本語で「斜辺」はよく聞くし「対辺」も言わん事ないが、adjacent「隣辺」

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【数学用語】「望遠鏡和」を広めるお手伝い

【数学用語】「望遠鏡和」を広めるお手伝い

 統計学の調べ物をしていて、「望遠鏡和」という単語に出会った。
 検索すると、こちらのブログに辿り着いた。

 高校数学でもよくある、総和Σの中の式を変形して、間の項をバッサバッサと切り捨て、両端に生き残った項が答えとなる、幾分かの気持ちよさの伴う例のやつ。

 よく使うのに、確かにこの手法の名前は特にない。「中抜け」という人もいるらしいが、個人的には「ワケワケサクサク」とかテキトー極まりない呼び

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