「基本が大事」を朝から再認識
早朝7:30からの授業でお馴染みの干場数理塾です。
数検準一級の問題。ラスト15分でなんとか解き切りました。
$$
極値を求めよ。\\
\lim_{x \to \infty} x \{ \log(4+3x+2x^2)-\log(1+2x^2) \}
$$
はじめの$${x}$$がなければ、logの中身の引き算は割り算でまとめることができるから一瞬で解けるなあ、と思いつつ、
$$
\begin{align*}
\log(4+3x+2x^2)-\log(1+2x^2)&=\log \dfrac{4+3x+2x^2}{1+2x^2}\\
&=\log \dfrac{\dfrac{4}{x^2}+\dfrac{3}{x}+2}{\dfrac{1}{x^2}+2}\\
& \to \log 1 =0
\end{align*}
$$
頭の$${x}$$がどうしてもこの右肩に乗る(累乗になる)ので、$${0^\infty}$$という一種の不定形になります。困った。
ん?このパターンは、見覚えがあるぞ。
あれだ、logの微分の導出だ。
$$
\begin{align*}
\dfrac{d \log_a x}{dx}&=\lim_{h \to 0} \dfrac{\log_a(x+h)-\log_a x}{h}\\
&=\lim_{h \to 0}\dfrac{1}{x} \dfrac{x}{h} \log_a \dfrac{x+h}{x}\\
&=\dfrac{1}{x} \lim_{h \to 0} \log_a(1+\dfrac{h}{x})^{\dfrac{x}{h}}\\
&=\dfrac{1}{x} \log_a e
\end{align*}
$$
ここで、底が$${e}$$の自然対数なら$${ \dfrac{d \log_a x}{dx}=\dfrac{1}{x}}$$になるわけだ。
無理やりこの形にしてみよう。
与式が頭でっかち(降冪)ではなく尻すぼみ(昇冪)の順番で、最後の$${2 x^2}$$が一致しているのはこの伏線だったのか。
$$
\begin{align*}
与式&=\lim_{x \to \infty} x \log \left (\dfrac{4+3x+2x^2}{1+2x^2} \right)\\
&=\lim_{x \to \infty} x \log \left (1+\dfrac{3+3x}{1+2x^2} \right)
\end{align*}
$$
ここで、無理やり右肩に$${\dfrac{3+3x}{1+2x^2}}$$の逆数をかけ、logの手前で辻褄を合わせてみよう。
$$
\begin{align*}
与式&=\lim_{x \to \infty} x \log \left (\dfrac{4+3x+2x^2}{1+2x^2} \right)\\
&=\lim_{x \to \infty} x \dfrac{3+3x}{1+2x^2} \log \left (1+\dfrac{3+3x}{1+2x^2} \right)^\dfrac{1+2x^2}{3+3x}
\end{align*}
$$
これでlogの中身は$${e}$$に飛ぶのでlog全体は$${1}$$に飛ぶ。残りは前半の辻褄部分だけだが、これは簡単で、
$$
\begin{align*}
与式&=\lim_{x \to \infty} x \dfrac{3+3x}{1+2x^2} \cdot 1\\
&=\lim_{x \to \infty} \dfrac{\dfrac{3}{x}+3}{\dfrac{1}{x^2}+2}\\
&=\dfrac{3}{2}
\end{align*}
$$
解けました。多分合ってる。他の解法があるかどうかは確認していません。
今回は、根本的な式の導出を知らないと絶対解けない内容でした。
この問題は数検ですが、大学受験でも良問を出す大学(いわゆる難関大学)は、単に公式を適用して解けるような問題は出しません。そういう人材は求めていませんので。
ということを確認した爽やかな5月の朝。
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