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この気持ちを、愛なんて簡単な言葉で片付けるな

私事ですが、今、想い人がいます。
相手は離婚した元夫です。
(惚気話をしたいわけでは全く無いので、手短に概要を記載しますのでしばしご辛抱ください)

彼とは20代をすべてかけて全力の恋をして、結婚して、コミニュケーションを怠って、離婚しました。
お互い不倫して、嘘に嘘を重ねて、裏切って、傷つけあって、取り乱して、正常な判断が出来なくなって、生まれて初めて体が震えてじっと座っていることすら出来ない程のストレスフルな日々を過ごしました。
(あまり思い出したく無いのでこの辺にしておきます)

私は新しい恋愛をしなければいけないと思った。
ただでさえ自分の殻にとじこもって、長い間他人を全然見てこなかった、話に耳を傾けてこなかった、から、色んな人ともっと関わらなきゃと思ったのです。
色んな人に出会って、関わって、自分が逃げてきた、
人と関わるという経験
を取り戻さなきゃという焦りを感じていました。
だけど、どんな人を見ようとしても、宙ぶらりんになったある想いを無視できないことに、私はいつも気がついていました。
そんなもの見てはいけない。
振り返ることは悪だと思いました。
でも、存在感が強すぎて、どうしても、それを置いてはどこにも行けそうになかったのです。

自分を愛せと世の中は言います。
周りに同調するのがマナーだと世の中は言います。
自立しろと世の中は言います。
人を愛せと世の中は言います。
それは愛じゃない、これこそが愛だ、いや違うお前のそれは愛じゃない、愛に溢れた生活、愛に満ちた家族、愛しあう二人、永遠の愛、
全部、うるさいなと思います。
大切な声が、自分が小さな声で、恐ろしい声で、大切なことを言おうとしているのが遠くで聞こえるのに、
世の中が
愛!愛!
と叫ぶから聞こえない。
私が聞きたいのは、腹の底から唸るようなうめき声なのに。

何でもかんでも、都合よく愛という言葉が当てはめられている感覚があります。
愛を感じましょう。
それこそが愛なのです。
つまり、愛が大切なのです。
言葉に困ったら愛。
結論に困ったら愛。
こんなことを言ったら、私は白い目で見られ、世の中に引かれ、友達がいなくなるかもしれないけど、
愛なんて本当はこの世にないんだと私は言いたい。

愛がなかったらじゃあなんなの、と言う人。
愛がなかったらあるのは、その人を想う苦しみだと、私は思うのですよ。
大切だって、想う、その吐きそうなくらいの恐ろしい程のその苦しみだよ。
愛なんて言葉で評価され得ない、もっともっと尊いものだよ、私はそう思うのです。
もちろん、これは私が生きる世界だけの話です。
愛を信じる人の世界には、愛は存在するでしょう。
一方で、
私が想う人がいつか死んでしまうということに対する苦しみ、体は物理的に繋がっても心は繋がらないということを性行為で確認させられる苦しみ、今幸せだけど明日私もあなたも別の人と性行為をしたり恋をしてしまって離れ離れになってしまうかもしれないと想う苦しみ、私たちに永遠はなく、どんな契約を交わそうとどこまでも他人で、どんなに美化し合っても何度だって過ちを犯す未熟者だという苦しみ。
最たるものは、どこまでも魅力的に生きるその生き様を見せつけられる苦しみ。
私に対してこれ以上ないほどひどい仕打ちをしたのに、この人を悪人だって決めつけさせて欲しいのに、真っ黒な墨汁をぶっかけて、お前だけが悪いんだ!と言ってやりたいのに、
いくらでも自分の過ちを反省し、そこからよりよくあろうともがき、必死で生きる姿が、私にはどうしても魅力的にうつってしまう苦しみ。
それを見て、この人は、極悪非道の最低男(そんなものは存在しなそうですが)ではなく、
私とおんなじ、過ちを犯しうるただの未熟な人間なのだ、と認める苦しみ。
これを、愛なんて言葉で、私は、片付けたくはない。

まあ、いつも通り今の私が思うことなので、来月には愛と言う言葉を使っているかもしれません。
(人間に永遠は無いので考え方がアップデートし続けるものでしょうぞ!)
でも、今の私は、愛という、万人に開かれた魔法の言葉と、少し距離を置きたい時期なのです。
いつかまた、愛という言葉と仲良くできたら、その時受け入れてもらえるように、努力しようと思います。愛という言葉が私を許してくれればいいななんて都合のいいことを思っています。その日まで、精進です。

誰かを想って苦しくなることを、
私は生きる喜びと思うし、
喜びを感じられるだけの知能や肉体を、授け、育むためのサポートをしてくれたお母さんとお父さんに、
心から感謝したい。
そして、お母さんでも、お父さんでも、お姉ちゃんでもない、たまたま出会った赤の他人を心の底からこんなに想って、こんなに苦しんでいるこの人生に、
心から感謝したい。
今日も私は、幸せで、果てしなく苦しくてたまらない。

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