週刊少年松山洋_タイトル_修正

第190号『失敗するくらいなら目指さない』

最近また色んな学校を回って、ゲーム業界を目指している学生さんに向けた講演などを実施していてちょっと気になっていることがあります。

学校関係者や学生さん本人達と直接話していて引っかかる感じというか違和感というか。

モヤモヤした言い回しになって申し訳ないのですが、事実、私自身もモヤモヤしていることなので仕方がありません。

確かにこの10年くらいで明らかに『変化』を感じています。

それは『ゲーム業界を目指している(はずの)学生の奥ゆかしさ』です。

(我々自身もそうでしたが)ほんの少し前まではゲーム業界を目指している学生さんの多くがみんな

“どうすればゲームクリエイターになれますか?”

“なにをしたら良い(効果的)ですか?”

“絶対になりたいです!”

と、こういう熱量だったんです。

もちろん今もそう考えてくれている学生さんも少なからずいるとは思いますが、なんか体感的にどうも温度が違う気がするのです。

実際に今の学生さんと直接話をしていても

“こんな僕でもなれますか?”

“もちろん無理ならいいですけど”

“あ、いや、そんなに必死なわけではありませんので”

というような感じでなーんか熱量が無い(低い)というか奥ゆかしいというか、ちょっとコチラがモヤモヤしてしまう感じなのです。

もちろんフツーに

“うん、あのね、少なくとも「決めて」目指してもらわないとなんのアドバイスも出来ませんよ?”

って答えるんですが、そうするとすぐに

“あ、ですよね、やっぱいいです”

とか言われちゃう。

“いや、まだなんにも伝えられていないしわかってないよね!?”

と言っても

“あ、もう、大丈夫です”

って言われちゃう。

ええーっと。

うーん。

なんなんでしょう、コレ。

「やる気が無い」という事とはちょっと違う気がするんですよね。

なんか直感的な「怖さ」を感じるレベルです。

そんな話を学校関係者にしたら

“今の子らはとにかく失敗したくないんですよ。失敗するくらいなら初めから目指さない。相応のやれることをやるだけなんです。みんなが一番に考えていることは「自分を否定されたくない」という事と「傷つきたくない」という事なんです”

と、まぁ、これまた恐ろしいことを言われてしまいました。

“え、嘘でしょ?”

って最初は思いましたが、ちょこっとだけ心当たりもあるんです。

【失敗するくらいなら目指さない】

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