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在宅勤務の先にある世界

これはもちろん弊社に限った話では無く全国・全世界的に影響をもたらしたコロナウィルスの影響とその対策として多くの企業が在宅勤務を続けてきたその先の未来についての話です。

少しずつ落ち着きを取り戻しつつあるようですがまだまだ予断を許さない状況は続いています。

今回はそんな状況を受けつつ今までの事と今後の取り組みについてどう考えているのかということをお話ししたいと思います。

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サイバーコネクトツーのこれまでの対策

弊社は現在福岡本社&東京スタジオ&モントリオールスタジオと3拠点ありましてそれぞれで対応対策は少しずつ異なる所から始まりました。

まず最初に深刻化したのはモントリオールスタジオでした。

2020年3月の時点でほぼロックダウン状態となり街中のほとんどの企業が外出禁止となり在宅勤務に切り替えることになったため、サイバーコネクトツーのモントリオールスタジオも早々に全35名のスタッフが完全在宅勤務となりました。

続いて4月から福岡本社・東京スタジオと順に完全在宅勤務に切り替えていって会社には誰もいなくなりました。

(正確に言うと私や他の取締役数名や一部の経理総務スタッフが福岡本社・東京スタジオに1~2名だけ出社してその時間だけ郵便物の受け取りや発送処理などを行いました)

およそ3か月間の完全在宅勤務状態で少しでも前に進めるためにみんな自宅で作業を行いデータと心をオンラインで繋いで開発を続けました。

が、やはり開発効率は落ちました。

それまでの開発効率を100とすると人によってバラバラですが90・70・50・30・20といった実績でした。

それでも完全にゼロじゃない、少しでも前に進めよう!とみんなで踏ん張りながらやってきたのが実状です。

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意外と在宅でもやっていけるかも

もちろんゲーム開発は役割が非常に細かく多岐にわたりますので人それぞれ意見もバラバラでしたが中にはこんな声も上がりました。

「意外と在宅は快適かも」

「ストレスが激減した気がする」

「通勤しなくていいのが助かる」

はい、在宅勤務が始まって間もないころは本当にこういった意見が目立ちました。会社の運営を全体的に見て逐一判断して大号令を出している立場である役員会のメンバーも「なんか意外とイケそうですね」と一安心しました。

しかしそれも束の間……1か月・2か月・3か月と在宅勤務を続けていてもスタッフの「意外と快適」という意見とは裏腹に一向に開発効率は上がりません。

ぶっちゃけた話どんどん開発は遅れ続けています。(もちろんその間もこれまでと変わらずにお給料を支払い続けています)

本当に人によっては開発効率は以前と変わらず(在宅ながらも)100%の成果をあげてくれていたスタッフもいましたが、やはりそれは一部の人間の話です。

全体で見ると確実に開発効率は落ちていて遅れは顕著だったのです。

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1秒で済んでいた確認に半日かかる

ローカルでスタッフそれぞれがやっている作業自体はそんなにスピードもクオリティも変化はありませんでしたが、やはり一番影響が大きかったのがそれぞれの確認作業です。

「コレってこんな感じでいいですか?」

「あ、いや、そうじゃない、ソコはもっとこんな感じで」

会社で同じ席にいて仕事をしていた時はこうした細かい確認が1秒で済んでいたはずのものがとにかく時間がかかるようになりました。

画面をスクリーンショット撮ってそれに赤を入れて「画像①に赤を入れました。確認の上修整してください」と部下に指示して、それを確認した部下がその画像と指示を理解した上で「これってこういう意味ですか?」と質問してそれに対して上長が「いいえ、そういう意味ではありません、こういう意味です」……とこうしたやりとりが繰り返されたのです。

それに会社で指示を受ける時には横にいるスタッフも耳では話を聞いていて「なるほど、そういう方針なのね、俺も気を付けよう」と得られる細かな情報も多かったのですが、オンラインだと基本的に一人の上長が一人の部下に指示をしています。

別のスタッフがまた「チェックお願いします」と送ってきたデータを見た上長が「うお、またこのパターンかよ、こないだアイツに伝えた内容をまたコイツにも伝え直すのかよ」と思うことがちょこちょこと発生しました。

実に細かな事ですがこうした小さなやりとりと少しずつのロスがどんどんと開発効率を悪化させていったのです。

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それでも在宅勤務がいいと言う

「けどやっぱり在宅勤務は通勤時間などのストレスが無くていいです」

「できればもう少し在宅勤務を続けたいです」

今でも一部のスタッフはこう言います。まぁそう言うってことは本心からそう思っているということなのでしょう。

正直な話、在宅でも作業が出来るスタッフはいると思います。

そういう人はそれでもいいのかな、と思います。

ただ、そういうスタッフは作業を行うことに特化するということで正社員から業務委託=フリーランスに切り替えましょう!

そうすれば健全というかわかりやすいですね。

それが今回のコロナ騒動の中で3拠点合計240名のスタッフの完全在宅勤務を実施してみて「意外とイケるかも」と思った後に、私が出した答えです。

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ゲーム開発はスタジオワーク

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