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第222号『ゲーム業界の入り口に立つための基本的な話』

日本全国&世界中の学校を回って日々色んな学生さんと会って話をするたびに今もなお感じること、というかなかなか“なかなか伝わらないなぁ”と思うことがあるので記事にしようと思います。

私がいつも回っている学校というのはゲームコースがある専門学校や大学だけではなく、情報処理とか美術・デザインといった“ちょっと可能性あるかも?”という学部や学科がある学校にも訪問して講演をやることがあります。

ただやはりそういった学校はゲームコースなどが無いのでもちろんみんなが専門的な技術を学んでいるというわけではありません。

なので毎度“少しでもゲーム業界に夢や希望を持つきっかけを与えられればいいな”くらいの気持ちで話をするのですが、質疑応答の時などで出てくる質問の大半が

「わたしには今現在はなんの技術も能力もありませんが、会社に入ってからそれを学んで成長していくことは可能ですか?」

というもの。

だいたいこの手の質問が出てきたときには内心ガックリとするのですが“いいや、違う、これでいい、これを伝えられるのが今日で良かった、来た意味があった”と思い直して顔を上げて真っすぐに伝えます。

「可能・不可能で言うと……“不可能”ですね」

「まず誤解が無いように説明しておきますと、皆さんがこれから近い将来どんな職業を選択してどういった会社を選んで就職活動を行うのかはわかりませんが恐らくは大半の企業がきっと“それでいい”と思います。“それでいい”というのは“会社に入ってから多くのことを学んで一人前になっていく”という考え方や姿勢で正しいという意味です。それでいいんですよ、普通の企業は」

「ただ、我々がやっているようなお仕事・ゲームクリエイターやアニメーター・漫画家といったエンターテインメント業界で働く人たちはそうじゃありません」

「野球の試合をやったことがない人がプロ野球選手にはなれないように、漫画を一度も描いたこと無い人が少年ジャンプで新連載を始められないように、“作る能力・作れる能力”を示して認められた人間でないとスタート地点に立つことは出来ません」

「もちろんゲーム会社の場合はあくまで入社してからが本当の意味でのスタート地点ですのでその後も努力して技術・能力を学び伸ばし続けていく必要はありますが、その前の段階で認められなければその入り口に立つことすら許されません」

「厳しいように聞こえるかもしれませんが現実です。それくらい特殊なお仕事だと認識してください。なんの準備もしていない人間が入社してから学びつつモノを作るなんて甘い世界ではありませんし、そんな人間は一人もこの世界には存在しません。みんなある一定のハードルを超えて認められた人間だけがこの世界の入り口にいます」

「世の中にはたくさんの職業とお仕事が存在します」

「別に事前準備なんか必要としてなくてそこそこ学歴があって清潔感があって物事をハキハキと答えられれば就職できるという会社だって存在するでしょう。ただ我々は“そうじゃあない”というだけです」

「認めてもらうためには“ゲームソフトを作る能力を一定以上示す必要がある”ということです。なので必ず自分で作品を作ってください。それが無理だというのなら別の道を選んでください。もし本気で“この道を進みたい”と思うのであれば私の話を聞いてください。“どうすればよいか?”ということはたっぷりと教えられます」

ここまで話すとだいたいシーンとなります。

ほとんどの学生がドン引きしているのが私にも伝わってきます。

ただそれでも100人に1人か2人くらい“具体的にどうすればいいのか教えてください”と言って来てくれるので、まぁ良しとしています。

確率的にもゲーム業界に入れるのは100人に1人くらいの割合ですから、それくらいの人間が目覚めてくれれば“それでいいや”と思っています。

まぁゲーム業界やエンタメ業界に身を置く人たちからすれば“何を当たり前のことを言ってるんだ?”と思われるかもしれませんが、世の中は驚くほどゲームソフトにも漫画にもアニメにも興味がありません。ほとんどの人にとっては“昔遊んだことがあるゲーム・昔は読んでいた漫画・昔は観ていたアニメ”という範疇を超えることはないということです。

我々は同じ業界や近しい業界の仲間達と日々コミュニケーションを取って情報交換したりしているので感覚が麻痺しがちですが、世の中のほとんどの人が“エンタメの為に生きているわけではない”という事実を認めなければならないということです。

それでも我々はエンタメの魅力に気づきそれをカタチにして人に届けるチカラを身に着けたのでココにいるはずです。

無尽蔵に溢れ出るマグマのような情熱を常に心に抱いて。

夢を抱いて死にましょう。

それが我々のハズです。

なんの準備も覚悟も無い人間が中途半端に首を突っ込んでいい世界では無いはずです。

もう少しカジュアルに気軽にお手軽にクリエイター人生を歩むことが出来たらどんな良いでしょうね。そうするともっとクリエイター人口は増加するかもしれません。

いや、“無い”話をしていても仕方がありませんね。

所詮クリエイターは突起物、どこかが尖っている分どこかがやはり凹んでいたりしてイビツなものです。

“やれやれだぜ”って思いつつ今日も口元をニヤリとさせながらモノを作っていきましょう。

さて有料部分は“もう少し先”の話をします。“どうすればよいですか?”と意思を示してくれた学生さんに具体的にどういったアドバイスをしているのかをまとめました。

【ゲームクリエイターになるためにやるべき事】

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松山 洋 サイバーコネクトツー

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株式会社サイバーコネクトツー 代表取締役 ゲームソフト開発タイトル代表作『.hack』シリーズ 『NARUTO -ナルト- 疾風伝 ナルティメット』シリーズ 『ジョジョの奇妙な冒険』 著書『エンターテインメントという薬』『熱狂する現場の作り方』漫画『チェイサーゲーム』
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