マガジンのカバー画像

22
詩集
運営しているクリエイター

2019年3月の記事一覧

ネズミの涙

ネズミの涙

安いワインを グラスに注いで

喉をならして 汚い幸せを流し込む

スカスカの魂から 垂れる涙を

知っている者にしか 

分からない苦しみがある

埃まみれの誇り

傷の少ない人生

足踏みしすぎて 窪んだ場所から

離れられずにいる

自分が腐るのを 対岸から眺めて

それをつまみに ビールを流し込む

スカスカの魂の 薄い悲鳴を

聞いた者にしか 

分からない苦しみがある。

憧れに照らされて(詩)

憧れに照らされて(詩)

遥か彼方から 浮遊するように落ちてきた

石が 砕ける瞬間を見た

一筋の光に照らされて 細かく 細かく

自分も光であるように 粒子になって

砕けていった

粉々になった石 何だったのだろう

胸に灯った熱は あの煌めきによく似ている

知っている

これは燻り ただの感情の燻りだ

燃え上がることなく 心のなかで死んでいくだけ

なのに 輝きがこれを照らす

まるで 手を差しのべるように

もっとみる