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ありすと倖生、私にとっての『それでもただ』(miwa)【後編】

まだまだ鬱調子はよくないが、
ゆっくり、前回記事の続きを書いてみる。
一気に書きたかったな、、、、、、

【前編】では、miwaさんの『それでもただ』が、主題歌となっているドラマ『厨房のありす』の内容、登場人物にマッチしているという話をした。

※この動画で、ドラマの内容と曲の歌詞込みで『それでもただ』が聴ける。


※歌詞がこちら。

ドラマ『厨房のありす』では、主人公のありすや、彼女の店に住み込みバイトにくる倖生を中心にそれぞれの生きづらさ、特性、苦しみを抱えた登場人物が、ひたむきでまっすぐに生きる姿を応援したくなる。
どんな事情を抱えていようと、
”それでもただ、愛おしい”
という気持ちが溢れてくるようなドラマの内容に、歌詞やその澄んだ歌声がぴったりだというのが、前回記事の内容だった。


そして、上に貼った動画を観て、歌詞をフルバージョンでしっかり把握して思ったのが、
最近感じている、私の家族に関することともリンクするなぁ、ということだった。



頻繁に記事に書いているが、
私と母は鬱病だ。

母が先に、軽度鬱病その他の診断(当時)をされ、私が社会人2年目のころにダウンした。
そのとき、父は単身赴任、妹は高卒で就職した職場をほぼクビの状態で辞めさせられて無職。
当時ずっと家で母と過ごしていた妹が、母の様子に限界を感じ父に連絡し、父が急いで帰ってきたらしく、私が仕事から帰ると家族みんな揃っていた。
母は生気を失って、父に寄り添っていた。

予兆はあったのに、何もできなかった。
パートに出た先でいろいろ問題を抱え、明らかに様子がおかしかった。
死んだ顔で仕事の話をしていたり、変な時間に、急に職場のひとに電話をかけたり、”自分が何かされている”という感情に支配されているようだった。

あのとき、私は2年目で、経験が浅いままひとりでクラス担任を任されていていた。要領の悪い私は、キャパオーバーで本当に爆発寸前だった。これが無理ならこの仕事は向いていないから、辞めようと考えて施設長に話していたほどだった。
その状況で、帰って、母の職場の話を聞く余裕はゼロ。
今思えば、あのときちゃんと向き合ってあげたかった。

気付いたら、母は心が死んでしまっていた。

それでも仕事に行かないといけない私を見送ろうと、外に出てきた母の、
風に吹かれたら消えてしまいそうな顔を、私は一生忘れない。

守れなかった。


そうこうしているうちに、今度は、社会人6年目の夏、私が倒れた。
秋には、鬱病という診断を受けた。
母と同じだった。

抗うつ薬が合わなくて痩せまくり、動けなくて入院寸前まで行った私に、母は寄り添ってくれた。
入院はしなくて済んだが、家族にはあらゆる迷惑のかけ方をした。
そして、鬱病12年生になった今も、まだ実家を出られる状況ではない。
寝込んだり、外に出られるようになったり、就活したり、短時間のパートに出たり、ダメになったり、、、、、
年ばかりを取っていく。

孫の顔、なんて見せられる状況ではない。


母は、自分で話すには、小学6年で父を失ってからずっと具合が悪かったそうだ。※担当の先生がどういっているかはわからない。

自分も鬱病を経験していて、家のこと、旦那のこと、子育てを今の私の鬱病の状態でやり続けることはできないと感じる。
もし心が弱ったままここまできたのであれば、よくやってきてくれたなと。

父が、家のすべてを母に任せきりなので、毎日の食事の準備、家事、子どもに関すること、家のこと、転勤による引っ越しの手続き、家を建てるときの全て、ご近所づきあいなど、全部母がひとりでやってきた。
普通なら、心身の具合が悪いひとがこれらすべては無理だと思う。

姑さんの嫌味にも長年苦しめられてきたが、父が母をかばう様子もない。現在の家に越してきてからのご近所づきあいにも、母はずっと悩んでいる。

※参考記事。


現在、いろいろ抱えているこの町内で、春から我が家に班長の仕事が回ってくることで、母が調子を崩してしまっている。

私が代わりに会費を集めるのなどの用事をできたらよいが、諸事情でそういうわけにもいかない。
『ご近所一同』という、昨年届いた差出人不明の手紙に、私が精神病であるという噂だと書いてあった。そして、それが親が夫婦喧嘩してるのだから治らないですね、という余計なお世話だった。

もう、私も近所を回るなんて無理だ。


母が具合が悪いと、私も感情が母とイコールになってしまい、一緒に悲しくなったり苦しくなったりする。
母がダメなときは私がしっかりできたらいいのだが、どうしても共感性が過剰でそうはいかない。

ただ、できるだけ、何もできなくてもそばにいてあげたい。

メンタルクリニックの先生には、
「母子分離ができていない」
と言われている。
”母は母、自分は自分”
と考えることができず、影響を受けすぎてしまうのだ。

母に言われた言葉をすべてだと思い異常に気にしてしまったり、母の機嫌や顔色で動いたりする。
診断名ではない、と言われたのだが、アダルトチルドレンとか共依存とかそういうものなのかもしれない。

そういう自分が苦しくて、自立をしたいといつも思うが、全然進まない。


ただ。

家にて、目の前に苦しんだり、悩んで動けなくなっている家族がいたら、
それを放っておけるのが、普通のひとなのだろうか。
それを、無視してでも自分のことを考えて動くのが、”母子分離ができた”という状況なのだろうか。

今、母が苦しんでいて思うことは、

そういうのを気にかけて、自分にできることを探すのは、
家族として普通のことではないのか?
ということだ。

母子分離とか、今はそういうことじゃなくて。

それがたとえ家族じゃなくても、出先で困っているひとがいたら、
無視して平気なひとにはなりたくない。


ただでさえ15年前、母が苦しんでいるときに話を聞けなかった自分を、
いまだにわすれることができない私だ。

それがおかしいのなら、
母子分離ができていない、と言われようがどうだっていい。

目の前のひとが苦しんでいるのだから、そばにいたい。


実際、散歩や買い物のときにそばにいるだけで、
食器を洗うだけで、

「いてくれてよかった」
「たすかった」

と、母が言ってくれている。

この、実家に入りびたり歴37年の私に。


私も今調子がよくなく、おろおろしてしまったりするが、
お互いさまってこういうことだな、と実感し始めた。

あまりに私が不安定なときは、手を伸ばすと握ってくれる。
これを気持ち悪いと思った方は離れてほしい。
本当に具合が悪いとき、誰かがそうしてくれるだけで、落ち着くことがあるのだ。

そういうところは、お互いに分かり合える。
お互いに苦しめ合ったり、支え合ったりだ。





『それでもただ』という、miwaさんの曲を聴いた。
動画で歌詞をちゃんと見たら、ドラマだけでなく、
今現在の、苦しむ母と私の関係性にもあてはまるなと感じた。


そばにいるしかできないけど

『それでもただ』/miwa
詞:miwa・杉山勝彦

こんなことしかできないけど

『それでもただ』/miwa
詞:miwa・杉山勝彦

この気持ちは、まさに、私が思う母への気持ちだ。

具合悪かったろうに必死に私と妹を育て、
そして、自分が苦しいときに私はいつもキャパオーバーで何もしてあげられなかった。
せめて、そばにいるくらいは、できることだけは、、、、、、
という、そのままの私の気持ちだった。


君は君のそのままでいい

『それでもただ』/miwa
詞:miwa・杉山勝彦

に関しては。


母は、曲がったことが嫌いで、正義感が強い。きっちりしないといけないことや、大切なひとを守るためには、周りから反感をかっても貫こうとする。
そのせいで勘違いされたり、面倒くさいひとだと思われたりし、その奥のやさしさに気づいてもらえないことが多い。
そして、その正義感に、精神面がなかなかついてきてくれない。

話を聞くと、母が間違ってないことが多い。ただ、それを貫こうとすると、対人関係でなかなかうまくいかないようだ。

どうして、母だけこんなにいつも苦しんでしまうのかな?
と思うくらい、母は、きっと生きるのが不器用なのだ。


家にいると、大声をあげて叱るし父に怒鳴るし、言葉や感情そのものに心が抉られてしまう体質の私はくるしいけれど、
母は家でしか、言いたいことが言えないらしいのだ。

「”ズッ友”は、私には3人しかいないから」
(家族のこと)
と言っている。
父に容赦なく怒っても、それは甘えているだけなのだ。

すっかり、外のひとには本音を話せなくなった母。

私も精神が弱っていて、怒鳴られたりすると狂ってしまうので

「そのままでいい」

と100%ではなかなか言えないけれど、、、、、、

小学生のとき、クラスの男子にいじめられていることを話したら学校に電話をかけてくれるひとだったし、受験の時期に珍しくイライラして箸を投げたら気持ちをわかってくれた。親と一緒にいるところを見られたくないという思春期が長かったがちゃんわかってくれた。3回も肺炎になるなどしょっちゅう体調を壊したが、食べ物などいつも工夫して面倒をみてくれた。

今も、私が弱っているときは一緒にいてくれる。
人混みでもうろうとしてきたら、人目を気にしないで腕を組んでくれたりする。

小難しい私をわかってくれようとする母の、弱い部分をわかってあげたいし、私たち家族は母のもっている、周りからはなかなか見えづらい愛に気づいている。

だから、

君は君のそのままでいい

『それでもただ』/miwa
詞:miwa・杉山勝彦

家族の前では、いいんだ。

そのままで。

私は感情を取り戻すのに時間がかかるけれど、
死なないことだけは約束するから。




こんなに深い話をする予定ではなかった。
miwaさんごめんなさい。

素敵な曲をありがとう。

ドラマのおかげで、あったかいやさしい曲に出会えた。

ドラマは明日、最終回。
サスペンスのようになってしまったが、
やさしい結末であることを願って、見届けなければ。


それぞれに誰かを守りたくて重ねた嘘たちが、のちにありすや倖生の人生に関わっているように見える。

どうか、悲しみだけではない、希望あるラストになることを願って。


”そのままでいい”
ということを、自分にも、自分のたいせつなひとにも言ってあげられるひとになれますように。

未熟ですががんばっております。治療費にあてさせていただきたいです。よろしくお願いします。