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【植物たちは私の遊び道具でもあり、好奇心を刺激するもの】竹下芽衣 インタビュー

2023年に開催しました「GLAS展」「ピカレスク・ニュー展 Vol.3」 にご出展いただいた竹下芽衣さんにインタビューしました!

花々がふわりとふわりと色付いていくかのように、柔らかで美しい竹下さんの世界観。
ぜひじっくりとお楽しみください!


ー読者の皆様に、簡単な自己紹介をお願いいたします。

竹下芽衣(以下、竹下):
1996:千葉県勝浦市 出身
2019:長岡造形大学 美術工芸学科 クラフトデザインコース ガラス専攻卒 2019〜2023:軽井沢ガラス工房、彩グラススタジオ勤務
現在:週2日勤務しながら作家活動中。

ー現在の作品の世界観が生まれたきっかけを教えてください。

竹下:私の出身地は千葉県の南側の外房という所にあり、 自然の多い場所です。
子どもの頃は野花を摘んだり、友達と〝種合戦〟(種をもぎとって投げる遊び)したりなど道端の植物と触れ合う機会が多かったです。

植物たちは私の遊び道具でもあり、好奇心を刺激するものでもありました。昔から身近にあったことで、つい見てしまう癖がついてしまったのかもしれません。

今では種合戦することはありませんが、道端の植物たちを見て今日も元気だなと思い、花が咲いていれば可愛いなと思い…それで特に何かする訳でもなく 毎日通り過ぎて行くのですが、それが突然無くなってしまったらちょっと寂しいです。

多くの人には、あったら嬉しいけどなくてもいいよ、と言われそうな些細な存在に焦点を当て制作したいと思いました。


ー現在用いている素材や、表現ジャンルに行きついた理由を教えていただきたいです。

竹下:高校生の時、あるイベントでフュージングのワークショップがあり、好きな色のガラス板とムリーニ(金太郎飴のような小さいガラスのパーツ)を選び、焼成しペンダントにするものでした。

その時はじめて〝ガラスで作品を作ることができるんだ〟と知り、ガラスという素材にとても興味を持ちました。
元々ものづくりが好きで、美術系に行きたいと考えていた為、それをきっかけにガラスコースのある大学を選びました。

子どもの頃はミニチュアが好きで、粘土で細部を作りこんだり小物をコレクションしていました。

その当時の熱量が、自分のことながら羨ましく思っていたこともあり、ミニチュア(≒ムリーニ)とガラスへの興味が結びついて、ガラスという素材を使って制作したいと思いました。


ー普段作品を制作する際、参考にするものやインスピレーションを受けているものはありますか?

竹下:私の場合は、ムリーニのクオリティによって作品の出来栄えが決まると思っています。

ムリーニのモチーフは実物や画像を参考にし特徴をとらえて、そのモチーフがなんなのか見た人に伝わる様に意識しています。

作品全体の色合い・形は、自然の風景や使っているムリーニの柄、またはテーマに合わせ決めています。


ー影響を受けたアーティストや、作品はありますか?

竹下:ウィリアム・モリス(デザイナー)、スピッツ(ロックバンド)、星の王子さま(書籍)


ー作品を制作する際に心掛けていることや、作品に込める想いをお聞かせください。

竹下:技術的な事に関してはムリーニの模様が伸びないようにする事。
中空のものを制作する時 ガラスに息を吹き込むと、ガラスは伸びて膨らみます。
あまり吹き込みすぎると模様が広がってなんなのか分からなくなってしまうので気をつけています。

またガラスは色によって硬さが違います。
メーカーにもよりますが 一例ですと黄色が硬く、青が柔らかい等があります。黄色と青が同じ温度の時に息を吹き込むと青い部分がより膨らみます。一つのものに沢山色が使われている時は色の硬さにも注意しています。

デザイン的な事では、作品全体の色使いを気にして模様を組み合わせています。以前はムリーニをなるべく本物に近づけて作りたいと思っていて色が鮮やかになりがちだったのですが、そうすると多数の模様を組み合わせたときにそれぞれの主張が強くてなんとなくまとまらないと感じる様になりました。モチーフの雑草は、主張しないけどそこに居る様なイメージなので、作品の色合いも全体的に淡く柔らかな印象になるよう意識しています。

ガラスのもつ透明感や儚さを活かしつつ、そこにあるだけ、目にするだけで少し幸せな気持ちになれる様な存在の作品を作りたい、と思いながら制作に取り組んでいます。


ーご出展いただいた作品のそれぞれのコンセプトやこだわりのポイントを教えてください!

「音楽・Handbell」(GLAS展 出展作品)

吹きガラスの技法は「透明な中空のものが作れること」が強みのひとつです。
音とガラスで真っ先に思い浮かんだのが風鈴でした。
ハンドベルの形にしたのは、手で持つことで作品との目線が近く鑑賞しやすくなり、中身が見え、より透明感を感じられること。
ただのBGMではなく、自分で鳴らすことで、音の綺麗さや心地よさを感じられることを目的としました。

「修辞・伝えるペーパーウェイト」

修辞技法は文法にプラスして、より相手に想いを伝えるようにする方法だと思います。
私はムリーニを使うことで自分らしさが出てくるので、「文法・クリアのペーパーウェイト」にパーツを付け、より自分の作品らしくなるようにしました。

「野花のまるグラス」(ピカレスク・ニュー展Vol.3出展)

※2列目 左から2番目が「花のまるグラス」

「野花のまるグラス」にはフロスト加工をしており、表面がすりガラス状になっています。ふんわりと優しい雰囲気になり、触った感じもさらさらとした質感になるります。

フロストでないものは光を良く通し、影にも色が写りとても綺麗です。くるくる回しながらライトや日光に当てるとまた違った表情が見えるところもポイントです。

ー読者の皆様に向けて一言、メッセージをお願いいたします。

竹下:私の作品で日常にささやかな幸せや楽しさが生まれましたらとても嬉しいです。


皆様はどのエピソードが印象的でしたか?

ピカレスクスタッフは、GLAS展のご出展作品のコンセプトが特に印象に残りました。
”リベラルアーツ”と聞くと、皆様も「何となく難しそう…」「イメージが湧かない…」といったイメージがあるのではないでしょうか。
その中で、竹下さんは1つ1つの学問をガラスの制作や技法に落とし込んでいるため、私たちはより作品に入り込みやすく、それぞれのテーマをクリアに想像できると感じました。

竹下さんは、来年夏にピカレスクにて個展を開催予定です。どんな作品が登場するのか、今から楽しみですね!


今後の展示予定

竹下芽衣 個展

2024年 6月26日(水)〜7月7日(日) ※予定
会場:ピカレスク

竹下芽衣 公式SNS

Instagram https://instagram.com/mei_glass09?igshid=Mzc1MmZhNjY=
X (旧 Twitter) https://twitter.com/mei_takeshita09



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