公団車文庫の編集長A氏から突然電話があり、「面白い本を見つけた」と聞いた時、率直なところ嫌な予感が脳裏を支配した。と言うのも、その数ヶ月前、彼の依頼で翻訳することになったズボラ・デ・タラメーノ著「ビースオベーンの生涯(La Vita di Beethoven)」(絶版)での、ほろ苦い記憶が蘇ったためだ。 この仕事以降、今度こそ二
1904年にイタリアで出版された、ズボラ・デ・タラメーノ( Zuvolla de Tarrameno )の幻の名著、「ビースオベーンの生涯( La Vita di Beethoven )」の翻訳の依頼を頂いた際、実のところ、引き受けて良いものか悩み抜いたものだ。と言うのも、数ヶ月前、翻訳に限らず、全ての執筆業から身を引くと決断した