藤拓弘(とう たくひろ)ピアノ講師ラボ主宰

ミッションは「すべてはその先にいる子どもたちのために」全国のピアノの先生に向けて、書籍…

藤拓弘(とう たくひろ)ピアノ講師ラボ主宰

ミッションは「すべてはその先にいる子どもたちのために」全国のピアノの先生に向けて、書籍や会員制「ピアノ講師ラボ」https://www.pianoconsul.com/labo/ YouTubeやメルマガでレッスンや教室運営の情報をお届け。レッスン手帳(ヤマハ)の監修も。

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Introduction 伝説のピアノ指導者の教え

『…じゃ、そろそろ始めようか』 再生ボタンを押された黒い小さなレコーダーは、 静かにデスクに置かれた。 声は静かに続いていく。 祖父が膝の上で幼子に語りかけるような、 懐かしい心地よさが、夕暮れの部屋を明るく満たす。 『私に残された時間は、あまりない。だが、言葉は残すことができる。 私の思いを、必要とする人に、伝えてほしい』 レコーダーの声が、ゆっくりと広がっていく。 鼻の奥から感情がこぼれ落ちそうで、目を閉じて顔を上げる。 瞼の裏に鮮やかに甦るレッスン室。

    • vol.13ピアノ指導者である自分を満たす【伝説のピアノ指導者の教え】

      (初めてお読みいただく方は、こちらの「Introduction」から…) ピアノ指導者は、生徒の幸せのために存在する。 この話は、だいぶ前にしたね。 そして、ピアノ指導者が存在するのは、 自分にしかできない方法で生徒を幸せにするためだ。 その方法は、それぞれ違っていいし、違って当たり前だ。 我々の役割は、 レッスンのたびに生徒の幸せを願い、喜びを生み出すこと。 人間は、一人では生きていけないね。 常に、誰かと関わって生きている。 だからこそ、人生で大切なの

      • vol.12ピアノ指導者の存在価値とは【伝説のピアノ指導者の教え】

        (初めてお読みいただく方は、こちらの「Introduction」から…) …では今日も始めようか。 ピアノのレッスンとは何だろう? ピアノを上達させること? それはそうだね。 もっと深いところの話をすれば、 それは、心の触れ合いだ。 人と人との、心の交わりだよ。 それがなくていいのなら、人間が教える必要はない。 そうだろう? それこそ将来、機械が教える時代が来るかもしれないね。 だが私は、それはないと思う。 なぜなら、我々ピアノ指導者の存在価値は、

        • vol.11待てない人間にピアノ指導はできない【伝説のピアノ指導者の教え】

          (初めてお読みいただく方は、こちらの「Introduction」から…) ピアノは華やかなイメージかもしれないが、 レッスン室でやっていることは、とても地味だね。 特に小さい子のレッスンは、毎回、同じことの繰り返し。 華やかなことなど一つもない。 だが、地味でしつこくて、 地道なことの積み重ねにしか、子どもたちの成長はないんだね。 それを知っている人間しか、ピアノは教えられないんだよ。 それを知っている人間しか、待てないんだよ。 地道に教え、待てる人間だけが

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        Introduction 伝説のピアノ指導者の教え

          vol.10生徒の未来はレッスン室で作られる【伝説のピアノ指導者の教え】

          (初めてお読みいただく方は、こちらの「Introduction」から…) …じゃ、今日も始めようか。 ピアノ指導者は、生徒の幸せのために存在する。 これは以前、話したね。 我々は、生徒の幸せのためにピアノを教え、 指導者として生きて行くために利益を必要とする。 最近は、教室を大きくしようとか、 指導者としてたくさん収入を得て成功しようとか、 そういった言葉をよく見るようになったね。 もちろん、利益は必要だ。 だがね、ピアノ指導で得られる利益は、 心と知識

          vol.10生徒の未来はレッスン室で作られる【伝説のピアノ指導者の教え】

          vol.9ピアノ指導者が誠実であり続けるべき理由【伝説のピアノ指導者の教え】

          (初めてお読みいただく方は、こちらの「Introduction」から…) …じゃ、始めようか。 今日はそうだな… なぜピアノ指導者が、誠実であり続けるべきなのか? 私は、2つ理由があると思う。 まず一つ目。 芸術とは、誠実、勤勉の先にしか存在しないものだからだ。 偉大な作曲家の作品の中に脈々と息づいている精神。 彼らの精神を「音」にするのが芸術であり、演奏だ。 誠実に、勤勉に、自分を積み重ねた先に、 芸術家、音楽家としてあり続けられる土台ができあがる。

          vol.9ピアノ指導者が誠実であり続けるべき理由【伝説のピアノ指導者の教え】

          vol.8指導力を上げるなら時間を味方にする【伝説のピアノ指導者の教え】

          (初めてお読みいただく方は、こちらの「Introduction」から…) ピアノ教育とは、時間がかかるものだ。 これはすべての大前提として胸にしまうべきだね。 何でも早く、即席で、時短で… そんな指導者がいたら、ピアノを教えないほうがいいと忠告するだろう。 教育とは、時間がかかるからこそ価値があるのだ。 ピアノ教育とは、遠回りなんだよ。 遠回りでしか、ゴールにたどり着けないんだね。 てっとり早く指導をしても、残るものはない。 それは教育とは言わないんだ

          vol.8指導力を上げるなら時間を味方にする【伝説のピアノ指導者の教え】

          vol.7生徒を変えたければ自分が変わる【伝説のピアノ指導者の教え】

          (初めてお読みいただく方は、こちらの「Introduction」から…) もしかして今、悩んでいるピアノ指導者もいるかもしれない。 おそらく、そうだな… なかなか生徒が弾けるようにならないとか、 こちらの言うことを聞かないとか、そういうことだろう。 だが、レッスンがうまくいかないことを、 子どもや保護者のせいにしてはいけない。 ここでちょっと考えてみようか。 なぜ、子どもはピアノを習うか。親はピアノを習わせるのか? ピアノが弾けるようになりたい、 我が子がピアノ

          vol.7生徒を変えたければ自分が変わる【伝説のピアノ指導者の教え】

          vol.6ピアノ指導とは生徒に幸せを分け与えること【伝説のピアノ指導者】

          (初めてお読みいただく方は、こちらの「Introduction」から…) ピアノを教える者は、いつも幸せであるべきだ。 なぜなら我々の仕事は、生徒に幸せを分け与えることだからだ。 ピアノを弾くことは、幸せになること。 自分だけの時間を味わい尽くすことだ。 この世の中、自分のためだけの時間を持つことが どれだけ難しいか、わかるだろう? 多くの人間は、他人の人生を生きている。 誰かと比較して、自分はどうだろうかとかね。 他人の目ばかりを気にして、自分を見失ってい

          vol.6ピアノ指導とは生徒に幸せを分け与えること【伝説のピアノ指導者】

          vol.5ピアノを教えるのが大好きな先生に生徒は集まる【伝説のピアノ指導者】

          (初めてお読みいただく方は、こちらの「Introduction」から…) 「好きなことを仕事にしよう」 最近、そういう言葉をよく見かけるね。 好きなことなら楽しんでできるし、集中力も違う。 アイデアもどんどん浮かんで、行動に結びつきやすい。 好きなことを仕事にすると上手くいくのは、そういうことだろう。 ピアノ指導は、好きでなければうまくいかない。 なぜなら、あなたが教えることが好きでなければ、 生徒がピアノを好きになるわけがないからだ。 だから、ピアノ指導は好き

          vol.5ピアノを教えるのが大好きな先生に生徒は集まる【伝説のピアノ指導者】

          vol.4ピアノ指導者の「成功」とは?【伝説のピアノ指導者の教え】

          (初めてお読みいただく方は、こちらの「Introduction」から…) あなたは、どんな表情で生徒を迎えているだろうか? いつも幸せな気持ちで生徒を迎えられているだろうか? 伝えたいことがいっぱいで、待ちきれないだろうか? これから始まるレッスン、生徒との時間にワクワクしているだろうか? 一人の生徒を心から喜ばせることは、簡単ではないね。 指導力もセンスも、ユーモアも、人間的な魅力も必要だ。 もちろん、学び続けることもね。 だが、生徒を幸せにしたい、豊かな気

          vol.4ピアノ指導者の「成功」とは?【伝説のピアノ指導者の教え】

          vol.3お金や生徒数でピアノ指導者の価値が決まるのか?【伝説のピアノ指導者の教え】

          (初めてお読みいただく方は、こちらの「Introduction」から…) さて、今日も始めようか… 今日はそうだな、ピアノ指導者としての「価値」について話そうか。 ピアノ指導者としての価値とは何だろう? 私の考えを話す前に、これだけは確かなことがある。 どれだけお金を稼いだか、 どれだけたくさん生徒を教えたか、 どれだけ教室を大きくしたか。 そんなことで、我々の価値は決まらない。 ピアノ指導者としての価値とは、 どれだけの人を幸せにしたかで決まる。 世の中の

          vol.3お金や生徒数でピアノ指導者の価値が決まるのか?【伝説のピアノ指導者の教え】

          vol.2生徒のためという使命感【伝説のピアノ指導者の教え】

          「私は、何のために存在するだろうか?」 ピアノ指導者として、いつも心に置いておくべき問いだと思う。 いわば「使命」のことだ。 なぜピアノを教えているのか? あなたが存在する根源的な理由。 私が考える「使命」については後で話すとして、 なぜここが大事だと思うかね? それはね、「もうあと少し」と頑張れる力になるからだ。 たとえば、レッスンが終わった後の生徒へのフォロー。 手を抜こうと思えば、容易に抜けるだろう。特に疲れていたらね。 だが、生徒の成長を考えれ

          vol.2生徒のためという使命感【伝説のピアノ指導者の教え】

          vol.1天職とは生徒の幸せのために生きること【伝説のピアノ指導者の教え】

          ピアノ指導が「天職」だと感じている人はどれだけいるだろう。 天職とは「これが私の生きる道だ」と思える仕事、 これ以上、自分に合う仕事はないと言い切れるもの。 もし今、あなたがピアノを教えることが、 「天職」だと感じられるなら、とても幸せなことだ。 ただ、そういう人は、それほど多くないと思う。 天職だと感じていない指導者のほうが多いかもしれない。 だが、それは当然なんだね。 天職とは、自分で掴み取るものだからだ。 知識や経験を積み、たくさんの感情を味わい、一生懸命

          vol.1天職とは生徒の幸せのために生きること【伝説のピアノ指導者の教え】