四季

秋田大落研のリーサルウェポンの脳内

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秋田大落研のリーサルウェポンの脳内

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花に泣く

ラベンダーの香りで目覚めた朝はどこか物悲しげだった。二度寝をしようとするもう1人の自分をいなしてゆっくりと起き上がった。 洗面所に行って口を濯ぐ。前衛芸術のような寝癖に1人でツッコみながら、顔を洗う。今度はベランダに行って、花に水をやる。ベランダに行く道中のシンクには昨日作ったカレーの皿が乱雑に置かれていた。 近所のお婆さんが飼っているネコがベランダにいた。高貴そうだが、どこか親しげな雰囲気を醸し出している。まるで誰かさんに似ているなと1人で微笑を浮かべた。こちらに気づく

    • 生命線を消して

      祖父が死んだ。大好きだった祖父が。 晩年は軽度の認知症、そして持病の心臓病もあってやつれていき、すぐ怒ったりするようになった。その前はたまに怒りはするが、基本的に穏やかな人であった。 娘である僕の母、息子である叔父、そして僕の従兄弟・妹である孫たちの前で平気で怒鳴ったりするようになっていた。しかし、僕の前では違った。 いつも通りの穏やか感じであった。 確かに、母や叔父、曽叔父、曽叔母そして祖母以外の人間で1番長く一緒にいたのが僕であったと思う。正直ヤングケアラーとまでは

      • リリカルスローモーション

        銀髪ショートの久美は黒髪ロングが似合うようになりたかった。メイクも目元にピンクのラメをキラキラさせるのではなく、素朴な感じのメイクをしたかった。流行りの横文字のお菓子なんか食べたくない。いつものみたらし団子を食べたい。流行りのタピオカなんて飲みたくない。あったかいお茶をゆっくり飲みたい。 自分の殻を破るのは難しい。だってその殻は自分で作ったものだから。 求めるものはいつだって手の届かないところにある。だって手が届くところのものは求めなくても得られるから。 心揺さぶられる出来

        • 大きな滝の下で

          マイナスイオンの恵みを感じながら、遥か山奥へとやってきた翠は石に腰掛けた。 目の前には大きな滝があった。時々飛んでくる水沫は冷たく、いつもの定位置である苔が生えた石は心なしかいつもよりフワフワしてて居心地が良かった。滝壺に水が叩きつけられる音や、木が風に揺れ葉が擦れる音、鳥の鳴き声など、山奥は意外と騒がしかった。 毎週末、翠はこの山に滝を見に来ると決めていた。そんな生活が2年ほど続いた。ちょっとした変化も気づくくらいにこの滝に詳しくなった。 なぜ、翠は滝を見に来るようにな

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        花に泣く

          テレビで見る人

          こんにちは。ごきげんようでございます。 四季でございます。 昨日は仙台わいわいライブありがとうございました!私はメゾン曼陀羅で出演させていただきました!公の場でしっかりとネタをするのはYAMABA以来2ヶ月ぶりでした。新ネタを卸したのですが、なんとかウケてよかったです。 どうやったら思いつくのかっていうネタが多くて悔しかったです。先に思いつきたかったボケがいっぱいありました。本当に悔しいし、面白かったです。創造意欲を掻き立てられましたし、己の甘さを痛感しました。一概にどっ

          テレビで見る人

          花嫁心

          マリッジブルー 結婚もしないのに なぜだろう 憂鬱が止まらない マリッジブルー 他の人を見てると なぜだろう 絶望が果てしない マリッジブルー 自分なんかいなくても なぜだろう 世界は回り続ける でも 自分がいた人生の方が楽しいと思ってくれたら 嬉しいな そんな気持ちが花嫁心 マリッジブルーの先の方 これが花嫁心 憂鬱と絶望の先にあるもの それが花嫁心 【連絡】 秋田大学落語研究会では今年からもっともっとアグレッシブに活動していく方針で

          むすんでひらいて

          こんにちは。ごきげんよう。 秋田大落研のリーサルウェポンこと、四季でございます。 創作ばかり続きました。昔は小説家志望でしたのでね。溜まったらまた解説出したいと思います。 さぁ、明日はいよいよ仙台わいわいライブです! 私はメゾン曼陀羅で出ます! 初めてでドキドキしてます。新ネタなんとか間に合いました。ちょっとしたハプニングがありましたがなんとか100%出し切りたいですね。 それと!共演者の皆さん、ぜひ仲良くしてください! メゾン曼陀羅の漫才のネタは私が9割考えています。

          むすんでひらいて

          地獄より愛を込めて

          人生は生き地獄 切り刻んで活かされ 焼いた縄で叩かれ 鉄屑の山に押しつぶされ 灼熱の釜の中で叫び 無間の苦しみを味わう 付かず離れずの俗世には 果てない待ちが訪れる 人生は生き地獄 切り刻まれる中に愛を見つけ 焼いた縄に敬意を抱き 鉄屑の山に夢を語り 灼熱の釜に涙を流し 無間の中に生を持つ 嬌めつ眇めつの泡沫に 解放の歌が聞こえ出す そんな地獄より愛を込めて そんな地獄より愛を込めて 【連絡】 秋田大学落語研究会では今年からアグレッシブに活

          地獄より愛を込めて

          少女に命は重すぎた

          投げ捨てた命にさよならを 吐き捨てた言葉にくちづけを 編み込んだ表情(かお)には軽蔑を 抱き抱えた夢には敬愛を 蝋燭のようなこの体 生きる灯で消えていく 涙ひとつも出ないのに 消えてく灯を追いかける 少女に命は重すぎた 若気の至りで済ませるには 少女に命は重すぎた 破滅の歌を聴きすぎた 浅ましい大人に中指を 狂おしい子供に愛情を 愛おしいあなたに微笑みを 死んでいく私に戒めを 蝋人形のようなこの体 固まりそして消えていく 生きる勇気もないくせに 心臓の声が聞こえてる

          少女に命は重すぎた

          舞台上のゾリン

          和久は売れない役者をしている。 最近の仕事は専らショッピングモールなどでのヒーローショーの怪人役。それも事務所からの情けの仕事。良くしてくれていた前社長は数年前に亡くなり、効率を重視する現社長からはそういった仕事しかもらえなかった。しかし、仕事を選べるほどの生活の余裕もなかった。 気づけばここ数年、舞台や映画などでの演劇の仕事はしていなかった。役者歴だけが伸びていく。 役者になりたての頃は希望に満ち溢れていた。俳優の養成所に通いながら、アルバイト漬けの日々。若さゆえなところ

          舞台上のゾリン

          アンワールド

          お人形さんになりたいの 綺麗だからというよりも 汚くないからなりたいの 陶器の体になりたいの 美しいからというよりも 汚れないからなりたいの 二次元の絵になりたいの 可愛いからというよりも 傷つかないからなりたいの どんなに願っても叶うわけないし どんなに祈っても実るわけないけど この思い届かないで どうやっても叶わないものだから この思い届いたって 人間であることから逃げられない ガラスの体になりたいの 綺麗だからというよりも 色がないからなりたいの 夜空のお星になり

          アンワールド

          批評家ブルー

          こんにちは、秋大落研のリーサルウェポンこと、四季です。 最近創作が続いていたので久々にコラム的なやつを。 私のnoteでは主に ・コラム的なやつ →備忘録的なことから思ったことまで様々なことの吐き出し場。 ・創作(主に短編小説) →暇な時にサクッと書いた短編小説。クオリティは求めないでください。 ・詩・ポエム・歌詞 →Xでポストすると少し小っ恥ずかしい詩とか。 意外と音楽家の側面を持つ私の歌詞とか。 の3つを更新しようと思います 週何回更新とか、何曜日更新とは決めません

          批評家ブルー

          私を剥ぐ

          いつからだろうか。世界がこんなに息苦しくなったのは。 千佳は地下鉄に乗りながらそう思った。似たようなマスクをつけた、仰々しい目たちは各々何かしらやっている。スマホを見る目。閉じて寝る目。本を読む目。景色を眺める目。他人の目しか見えない世界になってしまった。 千佳が高校に入学する年、世界的に新型ウイルスが流行した。その影響は日本にもやってきた。そのせいで、千佳は高校の同級生の顔を知らないまま卒業した。知っているのは目だけ。 大学に進学した千佳を待っていたのも数多の目だった。

          私を剥ぐ

          花言葉

          「次は芹前、芹前でございます。お降りのお客様は足下にご注意の上、お降りください。」 気づくと、全く知らない駅に着いていた。錆だらけの駅舎には、お化け屋敷のギミックのような老婆が座っていた。買った記憶のない切符を駅員に渡し、駅舎を出ると、一面緑だった。それがすべてパセリだと気づくのにそれほど時間は有さなかった。信じられないくらいのパセリが辺り一面に広がっていた。 人生とはなにが起こるか分からないものである。つい一昨日は競馬の帰りに知り合ったおじさんに高いお寿司を奢ってもらっ

          斜に刺す

          焼肉が好きだ。特にお店に行って食べる焼肉。美味しいのはもちろん、外食全般に言えることだが、あの面倒な後片付けをしなくて良いのが大きい。油ハネなんか気にする必要もない。タレをこぼしても気にも留めない。ご飯粒なんてどうでもいい。そういった優位に立てている実感があるから、私は焼肉が好きだ。 私は私が大好きだ。自分で言うのもなんだが、容姿端麗な方だと思う。おかげで恋人には不自由しなかった。他にも容姿のおかげで助かったことは多い。少し荷物を運ぶだけでも手伝ってくれるし、私が聞かずとも

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          煩悩の数と午後の青空

          こんにちは。秋大落研のリーサルウェポンこと、四季さんでございます。 私、このGWを利用して東京の友人、祖父母に会うために旅行に来ました。 やっぱり東京はすごいですね。さすが日本の最先端。遠慮がないです。日本に生きる者、誰しも一度は東京の夢を見るのではないでしょうか。 話は変わりまして、私、漫才・コント・ピンの台本を書いておりまして、過剰かもしれませんが、秋大落研の中でもかなりネタを書いている方だと自負しております。違ったらすいません。 元々、文章を書くのが好きで小学校の

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