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なぜ、人は孤独が怖いのか〜サピエンス全史を読んで

現生人類と非常によく似た動物が初めて姿を表したのは、およそ250万年前。

2足歩行するアウストラロピテクス属と呼ばれる猿人から進化し、道具を使うことができるようになり、そこから200万年の時を経て、火を使うホモ属が誕生した。

2足歩行と火を使うことができる部分から見ても、何十万年もかかって、脳を進化させ、今の私たちの脳の大きさになってきたことが想像できる。

大きな脳を持つということは、他の動物よりも自立することが遅くなることにつながる。

生まれた瞬間、自分の生死を握っているのは、親であり環境であり、自分ではないのだ。

なぜ、私たちは、それだけの多くのリスクを背負いながら、多くの年月を使って、これだけ大きな脳を持つ生物となったのか。

本日は、『サピエンス全史〜ユヴァル・ノア・ハラリ著』に書かれているホモ・サピエンスの歴史とともに、

『ヒトの心はどう進化したのか〜鈴木光太郎著』に書かれているサピエンスの暮らしと進化の過程によって孤独を恐れる理由を解説していこうと思います。

二足歩行の重要性

私たちは、まるで当たり前のように2本の足で歩き、両腕で道具を使って、生きている。

私たちが学校で学んだ内容にも、他の動物との大きな違いは、二足歩行と火を使えるようになったことと教えられますが、

この2本の足で歩くということは、脳の進化に欠かせない行動であったのです。

『ヒトの心はどう進化したのか〜鈴木光太郎著』では、なぜ、私たち人類が、二足歩行で歩くようになったかという理由に、サヴァンナに生息していたことが深く関係していると伝えています。

背の低い草木の中では、2本足で立ち上がった姿勢での移動が有効であったし、赤道直下の土地、特にサヴァンナのような開けた場所の場合、

日中活動するのに、身体に浴びる熱射の量が多すぎ、頭に熱がこもってしまう。

暑さによって、二足歩行で歩くことに慣れた人類は、その行動によって頭を冷やすことに成功し、脳の進化をさせることができたのです。

東洋医学では、『頭寒足熱』という健康法が存在します。

頭を涼しくして足元を温め、上半身と下半身の温度差を出来るだけ小さくすることによって、血液の流れが良くなり全身がポカポカしてくるというものです。

 人間の体はもともと、上半身の方が下半身に比べて6度前後体温が高くなりやすい。

その理由は、体全体の2割を占める脳が、カロリーを常に消費することと関係があります。

地上から脳を遠ざけたことと、二足歩行によって、歩くことと走ることが得意になった私たちの祖先は、未知の土地への好奇心をもち、サヴァンナを出て、世界各地に広がっていきます。

ただ、好奇心だけでは、道に迷って、自分がどこにいるのか、わからなくなってしまう。

二足歩行で歩く私たちの祖先は、この時、すでに目と耳を使って、今どこの場所にいるのかを把握する洞察力と、

物事や言葉を理解するのに関係する、計画性、推論能力を司る頭頂葉が進化していたことが推察できます。

過去、移動してきた場所を記憶する側頭葉の脳領域も進化していたでしょう。

四足歩行から二足歩行になるということは、それだけ脳の進化を後押しした画期的な出来事だったのです。

火を使うことで起きた認知革命

約30万年前に、ホモ・エレクトスやネアンデールタール人、ホモ・サピエンスは、日常的に火を使っていたと、サピエンス全史では書かれています。

火を使えるようになったことで、暗闇に怯える日々から解放され、光と暖かさを手に入れることができるようになります。

他の動物は、火を使うことができないため、火を怖がる性質があることによって、脅威となる動物から身を守る手段になったのです。

それだけではありません。

火を使うことで、生のものを食べていた時の食物の消化時間を、極端に減らすことができるようになり、長く大量にエネルギーを消費する腸を短くすることができたのです。

胎児が形成されるとき、一つの細胞から腸と脳ができることから、腸と脳は、密接に影響を及ぼし合っていると言われています(腸脳相関)

腸が短くなったら、脳が大きくなるということとも繋がるんですね。

しかも、生のものを咀嚼する時間を大幅に削減することができ、食べることに多くの時間を使っていたホモ属は、食事の回数を増やすことができ、脳にカロリーを供給することができるようになったのです。

猿人だった時の顔は、チンパンジーと同じ大きな歯を持っていたため、顔の下部分が大きいことが想像できますが、

今の私たちの顔を見てみると、顎が小さく、頭の方が大きいのが見てわかります。

この顔の形になったのも、火を使うことによって、歯を小さくし、脳を大きくさせたことによるものであることが想像でき、

現代の美的感覚に、口元が整っている人を美しいと感じる傾向にあるのも、頭の方が大きく顎がシャープで、歯が小さく整っていることが、

人としての進化の過程上、優秀さを表す外見であることの象徴だからなのですね。

この二足歩行、火を使うことができるようになったことで、約200万年の時を経て、

私たちは認知革命を引き起こし、脳を大きく進化させ、地球上のあらゆる生物を支配し、地上最強の動物へと進化したのです。

全ては弱い生き物だったから

人類は、大きな脳を持ち、道具を使用し、優れた学習能力、複雑な社会構造によって、大きな強みを持ったからこそ、地上最強の動物へと上り詰めたわけですが、

約200万年以上もかけて、生物の頂点になる必要があったのは、私たちの祖先が、とるに足らない、弱く軟弱な生き物であったからであると、サピエンス全史には書かれています。

100万年前の祖先は、二足歩行で他の動物と大差ないくらいの速さで走り、移動しながら道具を使い、動物を追いかけることができたのにも関わらず

自分が捕食されるのを恐れ、大きな動物を狩るのは稀で、主に、植物を集め、昆虫を捕まえ、小さな動物を追い求め、

他のもっと強力な動物が食べた死骸の食べ残した残骸の『骨髄』を吸って、生き延びる。

なんと、心の弱い生き物だったのでしょう。

単体では、弱く軟弱な生き物であったからこそ、他の人との協力なくして、人類に明るい未来は来ないと悟った私たちの祖先は、

長きにわたって、脳を進化させ、高度な言語を使い、個人の強さで立ち向かうのではなく、多くの人と集団で戦い、他の動物を支配する道を選択したのです。

だから、私たちは、孤独に不安を抱え、社会的集団から逃れることを恐れる脳で現代を生きている。

個人としての生死よりも、集団意識を守るために、命を絶てる稀有な生き物であるホモ・サピエンス。

もう、現代は、1人になってもあらゆる面で、サポートを受けれる体制が整っているため、集団から完全に排除されることはない。

それでも私たちは、誰かのために役に立ちながら、社会貢献していくことに幸福を感じる生き物なのです。

私たちは、一人一人が社会を支え、自分のやれることで社会に貢献していく、単体ではなく集団で生きていく生き物。

もう、孤独を恐れる必要はない。

自分らしく楽しく笑顔で生きる、ただそれだけで、周りの人や社会に役に立っている。

そう、思いながら明るく生きていきましょうね。

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