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物語【絶望からの脱出】最終話

物語【絶望からの脱出】最終話

父さん!それに伊賀咲のおじさん!無事だったんだね!

「おう!ピンピンしとるわ!ガハハハハ。」

相変わらず声の大きな父さん、でもその声に安心する。

「怪我はないかい?」相変わらず優しい夏陽の父親。

僕は涙が出そうになった。

「太洋!泣いてる場合じゃないぞ!笑。」

おじさん!夏陽は!?

「さっき会ったよ。皆んなこの先にある廃屋に避難している。一緒にそこまで逃げるんだ。」

優里!

「あ

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物語【絶望からの脱出】第十二話

物語【絶望からの脱出】第十二話

僕と優里は6人の虫の様な宇宙人に囲まれた。中には銃の様なものを持っている宇宙人もいる。

「。。。」

「目的はなんだ!」優里は宇宙人に向かってそう叫ぶ。

「。。。」

「コノ星デハ、哺乳類ガ生物ノ頂点二立ッテイルノカ?」

1人の宇宙人が言葉を発した事に僕たちは驚いた。

言葉。。。話せるのか。。。

「ン?驚イテイルノカ?地球人ニハ我々ハドウ見エテイル?昆虫ノ様二見エルカ?」

ん。。。見た

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物語【絶望からの脱出】第十一話

物語【絶望からの脱出】第十一話

「太洋!!」

優里はそう言って僕の身体を押した。僕はのけぞりその場に倒れた。

「キャー!!」

多くの人の叫び声が聞こえる。

「な、、、なんだあれ。」そう言った青年は青ざめている。

「イ。ル。コカキウリ。」その黒い生物は言葉の様なものを発した。

優里!

優里は額から血を流している。

「逃げろ!みんな森の外へ逃げるんだ!」

優里がそう言った瞬間、皆んな森の外へ向かって走り出した。

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物語【絶望からの脱出】第十話

物語【絶望からの脱出】第十話

僕たちは薄暗い森の中をひたすら歩いていた。季節は夏、施設の中は快適な温度だったので気づかなかったが、35度を超える外気が皆んなを苦しめていた。

「あちー!」

「暑い。。。」

皆んな口にせずには要られない。

「黙って歩け!どこに奴らがいるか分からないんだ!捕まって死にたいのか!」優里の怒号は後方まで聞こえたようだ。

なぁ、優里。。少し休まないか?

「いや!行くぞ!NOAの話だと奴らは夜行

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物語【絶望からの脱出】第九話

物語【絶望からの脱出】第九話

地球外生命体に避難施設を攻撃されてから数時間が経った。これからどうするのか、NOAの返答待ちだ。

優里は。。。

「ん?」

怖くないのか。。。

「。。。」

「隕石が地球に落ちる。。。その時点で数パーセントしか信じていなかった。」

そうか。やっぱりお前は現実的だな(苦笑)。

「いや、今の方が現実味ないけど。宇宙人だぞ。」

ん?。。。そうか。。。そうだな(笑)。

「(笑)。」

何?

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物語【絶望からの脱出】第八話

物語【絶望からの脱出】第八話

薄暗い通路をスマホの灯りを頼りに歩く。周囲には足音が響く。

どれくらい歩いただろう。。

「コノ先ハ逃走用通路、迷路ノ様ニナッテイマス。罠モアルノデ、ハグレナイ様ニ。」

分かった。

僕たちは注意深く進む。

パールは夏陽に抱かれている。

夏陽。重くないか?

「大丈夫。でも、ちょっと疲れてきたね。」

そう言いながら夏陽は笑顔を見せた。

「NOA、出口はまだか。」優里が尋ねる。

「。。

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物語【絶望からの脱出】第五話

物語【絶望からの脱出】第五話

「今カラ30年前、私ハ宇宙カラ異常ナ信号ヲ受信シマシタ。。。信号ノ解読ハ困難デシタガ、10年前二解読スルコトガ出来マシタ。。。」

NOAが言うには、受信した信号は明らかに生命体が発するもので、それが地球に向かっているというものだった。狙いは何か分からないが、人類にとって脅威になると考えたNOAは、例の「予言の手紙」を全国各地の家庭に送った。

手紙を信じた人は何人いただろう。。。信じた人達が何ら

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物語【絶望からの脱出】第四話

物語【絶望からの脱出】第四話

僕は地球に隕石が落ちて、人類が滅ぶかもしれないと思っていた。。。

父さんたちが用意してくれたシェルターで助かったが。。。シェルターから出ると。。。隕石は落ちていなかった。。。しかし、町からほぼすべての人達が消えていた。。。

ここにいる若者達は。。。。。あの予言の手紙。。。。。。優里は。。。。

僕の頭は混乱している。。。。

この赤い扉の向こうに答えがあるのか。。。

僕と夏陽とパールは赤い扉

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物語【絶望からの脱出】第三話

物語【絶望からの脱出】第三話

入り口は重厚な扉、さらに中には二枚の扉が続き三重構造の入り口になっていた。

「日本政府が昔作った施設だと聞いている。」3枚目の扉を開くと薄暗い通路が奥へと伸びていた。

さらに奥へ進むと、ホールに出た。中には30人ぐらいの若者達がいた。

皆んな疲れた表情をしている。

「ここ数ヶ月でこれだけ集まった。あとは。。。この辺りには誰もいない。まぁ。。死体とかないからどこかで生きているかも。。。」

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物語【絶望からの脱出】第二話

物語【絶望からの脱出】第二話

シェルターから出た僕たちは今、友人の阿久根優里と軍用車の中にいる。

安全な場所に行くと言って走り出した車内からは外の様子が見てとれたが、隕石なんて落ちた形跡はなかった。

さらにおかしな事に、町に人の気配がない。。。

優里。。。何があった?。。。なぜ。。。人がいない?。。。

優里は少し躊躇しながら話し始めた。

「まず言った通り隕石は落ちなかった。。。。落ちなかったが、別のものが地球に来た。

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物語【絶望からの脱出】第一話

物語【絶望からの脱出】第一話

前回までのあらすじ

2時間後、優里が迎えに来た。

「太洋!!どこだ!無事か!!」遠くの方で微かに声が聞こえる。

優里!ここだ!!

僕はドアを叩きながら必死に叫んだ。

しばらくするとシェルターのドアが開く。

優里!!生きてたのか!!

「あぁ。お前も。。良かった。。。」優里は息を切らしながら言った。

「その子は?」

あぁ。幼馴染みの伊賀咲夏陽。

夏陽は優里に向かって頭を下げている。

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物語【絶望への秒読み】番外編②

物語【絶望への秒読み】番外編②

僕が小学2年生の時に伊賀咲家はこの町に引っ越して来た。伊賀咲夏陽に出会ったのはその時だ。

第一印象はしゃべらない暗い感じの女の子だった。夏陽とは同じクラスだったが、当初不登校になっていて、学校には来ていなかった。

僕は時々、夏陽の家に様子を見に行っていた。

夏陽ー!遊ぼー!

僕が夏陽の家の前で叫ぶと、おじさんがいつも謝りにくる。「太洋君ごめん。今日も調子が悪いみたいなんだ。。。。」僕は仕方

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物語【絶望への秒読み】最終話

物語【絶望への秒読み】最終話

半年ぐらい経ったある日、いきなりシェルター内にスマホの着信音が鳴り響いた。

食料や飲み物が尽きかけ、僕達はぎりぎりの生活をしていた。死を覚悟したこともあるが、好きな人と過ごせた半年間、僕は神様に感謝すらしていた。

着信画面を見た僕は驚いた。

慌てて出ると懐かしい声がした。

「手短かに話す。話終わったら電源を切るんだ。」

父さんと母さんは!

「、、、、分からない。今、家か?」

あぁ。

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物語【絶望への秒読み】第十三話

物語【絶望への秒読み】第十三話

あれから1週間が経った。

ドアは相変わらず開くことなく、スマホも繋がらない。さすがに何かあったと僕達は思っていた。

せめてもの救いはパールが一緒にいたことだ。たまに変な行動で僕達を笑わせてくれた。

「どうなるのかな。。。お父さん達に何もなければいいけど。」さすがに夏陽も不安になってきたようだ。

とりあえず、待つしかないか。。。何かないかな、遊べるもの。

パールのおもちゃばっかりだな。おっ

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