物語【絶望への秒読み】第十三話
あれから1週間が経った。
ドアは相変わらず開くことなく、スマホも繋がらない。さすがに何かあったと僕達は思っていた。
せめてもの救いはパールが一緒にいたことだ。たまに変な行動で僕達を笑わせてくれた。
「どうなるのかな。。。お父さん達に何もなければいいけど。」さすがに夏陽も不安になってきたようだ。
とりあえず、待つしかないか。。。何かないかな、遊べるもの。
パールのおもちゃばっかりだな。おっ懐かしー。これ。
「ジェンガ?」
やる?僕は夏陽の不安を和らげようと必死になっていた。
ジェンガを箱から出して組み上げる。パールが飛びついて崩す。
パール!「ワン!」夏陽は笑っている。
子供の頃よくやったな。
「結局、パールが崩しちゃうんだよね。」
「ありがとう。」
えっ、何が。
「分かっててやったでしょ。」
ハハハ。。バレたか。
「でも、ほんとありがとう。」
もういいって。
「太洋は覚えてないかも知れないけど。。。」
そう言って夏陽は昔話を始めた。小学校高学年になった夏陽は、僕の家の家族とはよく話すようになっていたけど、学校ではまだ言葉少なく友達もいなかった。夏陽が言うには僕が夏陽と遊ぶために友達の誘いを断って、からかわれた事があったらしい。その時、このままじゃダメだと思い、中学生になった夏陽は学校でもよく話すようになり、友達もできた。
「だから、ありがとう。」僕はまったく覚えていなかったが頷いた。
父さん達は無事だろうか。
結局、スマホも繋がらずドアも開かないまま、僕たち二人と一匹は半年間シェルターで過ごすことになる。
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