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『ピートラ』vol.9 SDGs編「好奇心にジェンダーは関係ないのだ!」④おもちゃメーカーの大反省…!

皆さま、こんにちは!『ピートラ』SDGs乗組員のかわばたです。
SDGs編ではみなさまにピープルのSDGsへの向き合い方をありのままに、お伝えしていきます。
前回までのピートラSDGs編はコチラ↓からお読みいただけます。

参加中の「こどもSDGsプログラム」にて、2月末からおもちゃを送り込み、5月中旬まで約3か月間、年中さんから年長さんになるまでの約70名の子どもたちにおもちゃを遊んでもらいました。
そのフィードバックをまとめたものを先日、プレスリリースにて公開しました。

その結果からたくさんの学びがありましたが、私たちの課題として考えさせられたことが大きく2つありました。
ひとつめは、私たちメーカーの「売り方」が、子どもたちの遊びの導入段階でジェンダーを意識させるきっかけに少なからず影響しているということ。
そして、ふたつめは、子どもたちが教えてくれた「SDGs」の本質とおもちゃの役割です。

今回はひとつめの気づきについて、絶賛反省中ということもあり、この話題についてお話しさせてもらえればと思います。

ぽぽちゃんと遊んでいる男児たちの姿を見て、ハッと思い出したこと。

初めてぽぽちゃんが園に来たとき、最初は女の子たちから遊びを始めたそうです。ぽぽちゃんが1体しかなかったので遊びが固定化されてしまい、先生たちからのアイデアで急遽ぽぽちゃんの体数を3体に増やしてみたところ、遊びの幅が広がり、女の子たちの遊んでいる様子をみて、男の子たちもぽぽちゃんの遊びに参加するように。次第に、ぽぽちゃんの救急車を使ってのお医者さんごっこに男の子たちが群がって遊ぶようになりました。

この写真をみて微笑ましく思い、「やっぱりぽぽちゃんは男の子も遊ぶし、遊びにはジェンダーなんて関係ないのだなあ」と思っていたのですが、とある広告を思い出して、そこから大反省のキモチが押し寄せてきました…。

実は16年前、ぽぽちゃんの広告には「男の子」が登場していた…!

2006年発売「ちいぽぽちゃん」の雑誌広告

実は2006年ごろ、ぽぽちゃんの広告には上記のように女の子も男の子もメインビジュアルとして登場していた経緯があります。
赤ちゃんそっくりなぽぽちゃんに触れると、自分がお母さんにしてもらったようにぽぽちゃんをよしよししたり、抱っこしたり、男女のジェンダー関係なく遊ぶ姿を確認していたからです。
また、ぽぽちゃんに触れると将来良きパパ・ママになる心を作るホルモン「親性行動促進ホルモン」の分泌が促されるという専門家の方のお墨つきもいただきました。

しかし、企業として広告に投資するということはその分、「この広告によってどのぐらい売り上げに結びついたか?」、いわゆる費用対効果というものの検証が求められます。
当時ぽぽちゃんは年間で約30万体ほど売っている中でも、メインは女の子ユーザーさんでした。この男女登場する広告はその後何年かは継続していましたが、さらに売り上げを拡大させるため、戦略上、女の子にむけての広告宣伝に注力し、この男の子の載った広告は「効果がなかった」と判断し辞めてしまったのでした。
男の子の遊ぶ姿を見せる広告を続けていれば、これまでの16年の中でお人形イコール女の子、というジェンダーの意識を少しは変えられたかもしれない??
「男の子も女の子も、ぽぽちゃんで遊んでいいんだよ」と子どもたちへのメッセージとして辞めなければよかった。。

メーカーとして売り上げ?売り上げよりも子どもたちのために?

「こどもSDGsプログラム」の園児たちには、パッケージを外した状態でおもちゃを送りこみ体験をしてもらいました。
しかし、実際の売り場やご家庭では、パッケージやそのキャラクター、色使い、TVCMなど広告の"事前情報"から、「これは男の子のもの」「これは女の子のもの」というように子どもたち自身で判断し、遊びを断念している要因に少なからず影響している、ということがわかりました。

販売していくにあたって、「この商品を誰に売りたいか?(誰に売れるのか?)」を考えるのところから私たちメーカーの仕事は始まります。
ターゲットを設定し、その人たちの心に刺さるように仕掛けていくのがマーケティングの基本。
しかし、そのようにターゲットを設定してしまうということは、それ以外の子を置き去りにしてしまうということなんだ…という怖さに、改めて気付きました。
「みんなが欲しがる、売れるものをたくさん作る」時代から、「多様な価値観を認め対応していく」時代へ。
現在の商品の売れ方を見ていても、商品づくりや情報の届け方もこのままではいけないのかもしれません。
この「ぽぽちゃん男子への大反省」から、わたしたちメーカーとしての売り上げをどう捉えていくか?情報の届け方・売り方についての考え方も一緒になって考えていかなくてはいけないと思いました。

次回『ピートラ』SDGs編では、このSDGsプログラムで感じた「SDGsの本質とおもちゃの役割」についてお話しさせていただければと思っています。

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