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革屋と本屋のヨシナシゴト往復書簡004

皮革の仕事に携わる河合泉と
本屋を営む新井由木子の
たわいもない『ヨシナシゴト往復書簡』
vol.04「鹿を撃つひと/お金がないとき/プチ呪い」2024年03月20日

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河合さんへ

verminのイベントで鹿猟でのハンターさんのこと、レザレクション林さんにお聞きしましたよ。
すごく迫力のあるお話でした!

雪深い山林へ分け入り鹿を1頭仕留めて車まで運び、1.5時間以内に解体場所へ運ぶための身体作りは筋力と持久力をつけるだけでなく、ベストな動きのできる体重管理にまで及ぶこと。
鹿を苦しませずに仕留めるため頭か首への1発で命を奪う銃撃の技術は、200m先の50円玉を撃ち抜く正確さまで求められること。

広大な北海道を車で移動するハンター。都会では普通2年に1回車検時にオイル交換をするけれど、ハンターは1ヶ月に1回のオイル交換が必要。走行距離も生半可ではない。

最高レベルのアスリートともいえる身体と技を維持するのも、並大抵なことではないですよね。
更にちょっと考えただけでも、北海道内を移動する経費だけでも膨大にかかることがわかります。
河合さんのところにいらっしゃったかたが山で獲れた獲物は利益率が良いと言ったのは、道端に落ちていた木の実をひろうように山からの恩恵をいただいている感じを想像してしまったのかな。
なんとも、のどかなことですね。
悪人ではないにせよ罰としてそんな方々には、払ってもはらっても鼻の下に蝿がとまりますように、と、呪っておくことにします。

林さんは初めて鹿を撃ったときに、身体の震えが止まらなかったそうです。
そして『鹿が可哀想』というよりも、『命を奪った責任』を思ったとのこと。
とても恵まれたことには、そこから立ち上げた事業の産物である鹿革が品質としてとても良いもので製品へのリピーターが多く、事業として手応えがあるものになったそうです。
そこからまた、鹿と北海道北見を舞台とした新事業を考えているという、、、。

そんなにすごいのに林さんは、別に経済の勉強などしてこなかったと言い、全て『たまたま』のことだとおっしゃいます。
尊敬の念ともに、これは一体なんなんだろうな、と、不思議な感覚におちいりました。

先日わたしの誕生日に娘が美味しいケーキを準備して祝ってくれたときに「お金がたくさん稼げますように!」と思わず口に出して願ってロウソクの火を吹き消し、自分の浅はかさを露呈したんですよ。

「ママって何年もずっと55歳って言ってるよね」と娘に指摘され、ちゃんと数えたら今年56歳でした。


そこには頑張ってきたverminが実を結んで利益を上げて欲しく、事業として円滑にいきますようにという願いがあるわけなんですが、なんだか、そういうのって違うように感じはじめました。
お金は「ツール」であると、よく聞きますよね。
一番大切なのは「想い」で、それを感情的なものではないコンセプトとするのが事業化で、お金はツールであるという意識を、もっと自分の身体に染み込ませたいと、林さんのお話を聞いて思った次第です。
現実は難しいですけど!

ところで、河合さんのプチ呪い面白いですね。
早速河合さんの真似をして、わたしも式神として蝿を使う呪いを発動させてみました。
腹にすえかねることは日々に溢れていますが、プチ呪いに転換することでちょっとだけ憂さ晴らしできますね。
政治資金パーティーの内訳を国民に発表しないひとたちには、どんな呪いをかけましょうか?

それでは、また。
新井より
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ペレカスブック
新井様

展示会うかがえなくてすみませんでした。
林さんのお話聞く企画、成功して良かったです。
おつなぎした甲斐があったというものです。

林さんも多分、想いをとても強くもっていて
あきらめなかったところがすごいと思います。
プランがあって始められたこととは思いますがそうそう上手くいかないですよね。
お金が出ていくばかりの時って、辛いし孤独感も強くなりますよね。
そんなとき、新井さんだったらどうしますか?

アキラメロアキラメロアキラメロ・・と悪魔のささやきが
(自分の中から)聞こえてくるものだと思いますが、
あきらめなかった理由ってなんでしょうか。
家族?シカ愛?北海道愛?
今度林さんにお会いした時に聞いてみたいと思います。

新井さんのおっしゃりたいことはとてもよくわかります。
お仕事とお金は表裏一体なのでしょうか。
今や実業家の神田うのさんが、テレビで
「仕事の報酬は、次の仕事なの」とおっしゃっていました。
もちろんお金も多かれ少なかれついてくるとは思いますが、
なるほどなと思ったものです。

SOKA LEATHERの広報を自称してからこうして、新井さんや林さんを含め色々な方が
「河合さん‼ 革のこと相談してもいいですか?」と
ご連絡いただく瞬間、とてもうれしいのです。
上手くお答えできないことも、全然役に立てなくてごめんなさいの時も
あるのですが、「うわあ勉強しがいのある業界だわ」と思うのです。
お金は、、、かなり後からついてくるかな。きたらいいな。

河合産業に届けられた塩漬けの鹿革。しっかりと堅く、密集した毛に塩の結晶が光っていました。

政治資金パーティ脱税疑惑は腹立たしいやら情けないやら。
プチ呪いは一生鼻の下の蝿5匹分ですね。
または寝る時の蚊の羽音9匹分ですね。

3月少し暖かくなってくるといいですね。
桜が咲くころ、お花見しましょうね。
ではまた。
河合 泉
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河合泉
埼玉県草加にある皮革工場『河合産業株式会社』。
家族が営む同社を手伝う傍ら、草加の皮革「SOKA LEATHER」のPRを努めている。落語が好き。

新井由木子
埼玉県草加市の小さな書店ペレカスブックを営みながら、町の工場と力を合わせて『読書のおとも』を作る。酒が好き。落語も好き!!

草加では革のイベントもしばしば開催されます!

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