米津一成(PedalFar!)

PedalFarこと米津一成です。時々、自転車関係の本を書いています。ここ数年温めていたイメージを少しずつストーリーにしていきます。こんなふうに何の憂いもなく、皆が笑って走れる日が早く戻ってくるといいですね。その後の「追い風ライダー」の世界です。

米津一成(PedalFar!)

PedalFarこと米津一成です。時々、自転車関係の本を書いています。ここ数年温めていたイメージを少しずつストーリーにしていきます。こんなふうに何の憂いもなく、皆が笑って走れる日が早く戻ってくるといいですね。その後の「追い風ライダー」の世界です。

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    • ちょっと古くて可愛い言葉が好き

      私の好きな「ちょっと古くて可愛い言葉」について語ります。あくまで個人的にその言葉に感じるニュアンスを語るので、正しい意味・解釈について知りたい方は辞書で調べてくださいね。単に「古くさいから」というだけでなく、主に女性に対して使われてきたこれらの言葉はジェンダー観の変化によって今後使われなくなるかもしれません。それは価値感の変化によるものですが、それはそれでちょっと残念だなと思うのです。

    • 山と渓谷社『自転車人』巻頭コラム ”いつか自転車で”

      2014年に惜しまれつつ休刊となった山と渓谷社さんの『自転車人』。他誌にはない切り口の特集記事と丁寧な編集で、私の大好きな自転車雑誌でした。 この『自転車人』で2013年より休刊まで書かせていただいた巻頭コラム「いつか自転車で」を山と渓谷社さんの許可を得てnoteに掲載します。7本を順次掲載していきます。

    • 父と子のパピコ【甲斐大和→松本 120km】

      PedalFar!こと米津一成です。長い間温めていたイメージを少しずつストーリーにしていきます。まずは春から初夏、そして夏へと続くお話です。こんなふうに何の憂いもなく、皆が笑って走れる日が早く戻ってくるといいですね。その後の「追い風ライダー」の世界です。

    最近の記事

    【花を撮る】枯れていく花を愛でる、という感覚

    春先にあったこと。 住宅街を歩いていたら20mくらい先にピンクのきれいな花が見えた。写真を撮ろうと思ってスマホを取り出しながら間近まで行ったら、その花は少し枯れ始めていた。 (ああ惜しい。二、三日早く見つけていればなあ) そう思って写真は撮らずに通り過ぎた。 少し歩いてから、立ち止まってふと思う。 (それってさあ、あんまりじゃない?) 人間に例えたら「素敵」と思って近づいたらシワや白髪に気がついて「ガッカリ」とNG判定したようなものだ。 なんだかなあ、そりゃあんまり

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      • 【古可愛言葉vol.2】たとえば「おきゃん」とか

        可愛さのニュアンスを含んだ、ちょっと古めの言葉が好きだ。たとえば「おきゃん」とか。 「おきゃん」は漢字で書くと「お侠」。任侠の「侠」だ。「侠気」と書いて「おとこぎ」と読ませるくらいだから、「きゃん(侠)」はもともと主に「男性の様」を表す言葉だったという。いつからか「お」をつけて女性に対しても使うようになり、その後「きゃん」はあまり使われなくなり「おきゃん」だけが残った。「きゃん」が使われなくなった理由は調べても分からなかったのだが、想像するに「おきゃん」が広く使われるように

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        • vol.7「いつか自転車で」自転車人2014年秋号

          山と渓谷社『自転車人』2014年秋号掲載の巻頭コラムです。こちらのコラムについての解説はマガジンページに。 「富士山に登ってきた」と言えば、世間の人は当然、登山をしてきたと思うだろう。しかし自転車的思考の人々は「スカイライン? それとも須走から上ったの?」とか「ヒルクラいいよね」とか、果ては「何分くらいで上った?」なんて聞いてしまう。上る(登る)という言葉は自転車に乗る人と乗らない人でかくも意味合いが異なる。  この夏から放送されている「ヤマノススメ(セカンドシーズン)」と

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          • vol.6「いつか自転車で」自転車人2014年夏号

            山と渓谷社『自転車人』2015年夏号掲載の巻頭コラムです。こちらのコラムについての解説はマガジンページに。  春先から書いていた原稿(ストーリーもの)で、初めて「幼馴染設定」を使ってみた。幼馴染設定というのは、物語の主人公や主要キャラクターふたりの関係のなかに「幼馴染」という関係性を組み込むことである。小説はもとより、マンガやアニメでも定番中の定番といえる設定だ。  家が隣同士の男の子と女の子が幼馴染として育ち、二人が年頃(中学二年くらい?)になって、どちらか一方が相手を異

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            【古可愛言葉vol.1】たとえば「おしゃま」とか

            可愛さのニュアンスを含んだ、ちょっと古めの言葉が好きだ。たとえば「おしゃま」とか。 使う機会がないかといつもカードはテーブルの上に並べてあるのだけれど、なかなかオッサンにはそのチャンスは訪れない。しかしつい最近、ある人がアップした女の子のイラストがまさに「おしゃま」な感じだったので「久しぶりに”おしゃま”という言葉を使いたくなりましたよ」とコメントしたら「そうそう!まさにそれ」とレスが返ってきた。よかった。この言葉は言葉として終わっているわけではないみたいだ。 「おしゃま

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            vol.5「いつか自転車で」自転車人2014年春号

            山と渓谷社『自転車人』2014年春号掲載の巻頭コラムです。こちらのコラムについての解説はマガジンページに。  いつの頃からか旅先であまり写真を撮らなくなった。多分、約5年前にiPhone 3GSを使い始めたころからだ。iPhoneのカメラの性能が上がったこともあり、それまでは頻繁に買い換えていたデジタルカメラを買い換えなくり、やがて旅行にカメラを持って行かなくなった。ではiPhoneでたくさん写真を撮っているかというと、そうでもないのだ。  フェイスブックやインスタグラムに

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            vol.4「いつか自転車で」自転車人2014年冬号

            山と渓谷社『自転車人』2014年冬号掲載の巻頭コラムです。こちらのコラムについての解説はマガジンページに。 「生まれ変わったら男?女?」  一度は皆さんもこのテーマについて考えたことがあると思う。或いは友人と気楽な話題として話したことがあるとか。僕の答えはずっと前から同じで「生まれ変わったら女になりたい」である。人前ではっきりとそう口にすると微妙な反応をされることがある。「えっヨネヅさん、そっちのほう?」などと言われたりすることも(そっちのほうというのが、どっちのほうなのか

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            vol.3「いつか自転車で」自転車人2013年秋号

            山と渓谷社『自転車人』2013年秋号掲載の巻頭コラムです。こちらのコラムについての解説はマガジンページに。  子どもの頃、いつも頭の中でやっていた一人遊びがある。宇宙人になって地球上のあらゆるモノの感想を述べるという遊びだ(ワレワレハ、トオイホシカラヤッテキタ……)。乗り物、食べ物、道具、人の行動、なんでもその遊びの対象になった。その遊びを始めてからかれこれ四十年以上。実は今でも僕はそれを時々やっている。カミさんに「そういう想像ってしない?」と聞いたら「そんなことやる人、聞

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            vol.2「いつか自転車で」自転車人2013年夏号

             山と渓谷社『自転車人』2013年夏号掲載の巻頭コラムです。こちらのコラムについての解説はマガジンページに。 「夏はただ単なる季節ではない。それは心の状態だ」  憶えている方もいるだろうか。これは片岡義男氏の初期の大ヒット小説「彼のオートバイ、彼女の島」(1977年発行)の単行本の表紙に書かれたコピーだ。片岡義男氏が昔カリフォルニアで見たサーフィン映画のナレーションの一節だという。その英語のナレーションを日本語としてこの言葉に置き換えたのは彼自身であろう。この作品自体も素晴

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            vol.1「いつか自転車で」自転車人2013年春号

            山と渓谷社『自転車人』2013年春号掲載の巻頭コラムです。こちらのコラムについての解説はマガジンページに。 「どこからきたんですか?」 『自転車人』の読者の皆さんなら、自転車で訪れた土地でそう声を掛けられたことが何度もあるだろう(時には、その土地のお国訛りで)。輪行で見知らぬ駅に降り立ち、走り慣れた自転車でその土地を走れば、そんな機会も多くなる。  10年前にカミさんと一緒にロードバイクに乗り始めてから、僕たち夫婦の旅行は、ほぼすべて輪行旅行になった。海外輪行はまだ未経験だ

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            父と子のパピコ【甲斐大和→松本 120km vol.06】

            6月中旬の土曜日に健太郎のサッカーの試合があり、カミさんと二人で応援に行った。 健太郎は左のサイドバックだ。父親に似てあまり器用ではないが、スタミナはあるし足もそこそこ速い。繊細なボールタッチは望むべくもないがドリブルでの突破力はある。自陣から相手陣内へ、相手陣内から自陣へ、試合中はずっと走っていた。 後半の試合開始直前、観客の中から健太郎の名前を呼ぶ声がした。そちらを見ると女の子三人組が健太郎に向かって大きく手を振っている。健太郎が気がついて手を振り返した。それを見て思わず

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            父と子のパピコ【甲斐大和→松本 120km vol.05】

            「あれ、ここに置いといた『サイクルスポーツ』は?」 週末に読もうと思って昨日買った自転車雑誌が見当たらない。 「さっき健太郎が読んでいたわよ。なんだか熱心に読んでたから部屋に持っていったんじゃない?」 キッチンからカミさんが答えた。 (へえ) ほんの少しほくそ笑む。ゴールデンウィークの松本行きから戻って、少し意外だったのは、健太郎が以前よりロードバイクに興味を持つようになったことだ。それまでは「いやいや」というほどではないが「父親の趣味に付き合っている」といった風情だった

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            父と子のパピコ【甲斐大和→松本 120km vol.04】

            お下げ髪をなびかせて篠田美代子の娘が走って行く。そのあとに健太郎と私が連なり松本の街を走る。篠田美代子の娘に先導されて松本の街を自転車で走る日が来ようとは。苦笑いのような別の感情のような、複雑な心境と戸惑いと可笑しさがこみ上げてくる。 小さな交差点の手前で速度を落とすと、彼女はこちらを振り返って左を指さした。左折して少し走ると広い駐車場のあるコンビニがあった。 「夏希ちゃん、ありがとう。健太郎、ちょっと待ってて」 駐車スペースの隅にバイクを立てかけて店に入った。ビニールテープ

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            父と子のパピコ【甲斐大和→松本 120km vol.03】

            去年「四十歳になった記念に」と、ずっと途絶えていた松本時代の中学の同窓会が開かれた。今でもつきあいのある当時のクラスメートが、一年しか通っていなかった私にも声をかけてくれた。 四十人ほどの当時のクラスメートのうち、二十数人が集まった。少し遅れて皆が集まった居酒屋に着いた私は、中学の頃、毎朝教室に入るときと同じように篠田美代子の姿を探していた。座敷の端に座っていた彼女と目が合い一目で分かった。笑顔を浮かべた彼女は小さく手を振って、空いている自分の隣の席を指さした。年甲斐もなくど

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            父と子のパピコ【甲斐大和→松本 120km vol.02】

            二人の篠田美代子。 一人は去年、中学時代の同窓会で二十五年ぶりに再会した篠田美代子。もう一人は遠い記憶の中、中学二年の夏に会った篠田美代子だった。 「やっぱり坂上君だ。びっくりした!」 「篠田さん……」 「どうしたの? こんなところで」 「里帰りというか、親戚の処へ行く途中です」 「あ、そうなんだ。去年会ったとき時々自転車でこっちに来てるって言ってたものね」 彼女の表情が驚きからやわらかい笑顔になった。 「なんだかキョロキョロしてた?」 「コンビニがないか探していたんです」

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            父と子のパピコ【甲斐大和→松本 120km vol.01】

            少し勾配がきつくなった急カーブを抜け、その先にある広い自販機コーナーで脚をとめた。廃業というかすでに廃墟になりつつあるこの自販機コーナー。私が東京〜糸魚川ファストランを走っていた頃は、よく参加チームがここにサポートカーを駐めて臨時のエイドステーションにしていた。今でもそうなのだろうか。スタート地点が高尾山口から山梨県内に変わってから、あのイベントにはずっと参加し損ねている。 そんな思い出に浸っていると後ろから健太郎がやって来た。自販機コーナーの少し手前で最後の力を振り絞るよう

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