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【古可愛言葉vol.1】たとえば「おしゃま」とか

可愛さのニュアンスを含んだ、ちょっと古めの言葉が好きだ。たとえば「おしゃま」とか。

使う機会がないかといつもカードはテーブルの上に並べてあるのだけれど、なかなかオッサンにはそのチャンスは訪れない。しかしつい最近、ある人がアップした女の子のイラストがまさに「おしゃま」な感じだったので「久しぶりに”おしゃま”という言葉を使いたくなりましたよ」とコメントしたら「そうそう!まさにそれ」とレスが返ってきた。よかった。この言葉は言葉として終わっているわけではないみたいだ。

「おしゃま」は三省堂の大辞林によれば

少女が、年齢の割に大人びた知恵や感覚を身につけていること。ませていること。また、そのさま。

とのこと。類語としてあげられているのは「おませ」「ませてる」「早熟」とか。しかし「おませ」だと微妙に性的なニュアンスが入ってくる気がする。たとえば小さな女の子が同い年くらいの男の子との会話で

「○○君、キスしたことある?」
「えー!なんだよ急に」

みたいなやりとりは「おませ」な感じで、そこにはごく淡い性的なニュアンスがある。そういうことに「大人びた」ことを言ったりするのが「おませ」で、「おしゃま」にはそちら方向のニュアンスは薄い。もちろん「おませ」にも性的ニュアンスがない場合もある。子どもらしい無邪気さとは相反する合理的、ロジカルな思考で自己主張したり意見を言ったりすると「ませたことを言う」「ませた考え方」とか言われたりする。この場合には性的ニュアンスはない。ただ、どちらの場合でも「おしゃま」に置き換えると意味が合わない。

「おしゃま」には外見(服とか持ち物とか)とか振るまい、仕草などの見た目の要素が大きい感じがする。たとえば大人顔負けのシャネルスーツを着て、上品なマナーでお茶を飲む。そんな女の子は「おしゃま」な感じだ。ちょっと大人っぽく気取ったふるまいとか、ものの考え方とか、大人びたファッションや髪型とか、方向としてはそっちだ。

なので、おしゃまの「おしゃ」はおしゃれの「おしゃ」と語源が同じなのではないかと考えた。漢字で書くと「お洒落」と「お洒ま」。字面はなんとなく雰囲気があってるように思えたのだけれど、調べても「お洒ま」という記述は見つからないので間違っているのだろう(あ、ちなみに「お洒落」の洒は酒ではないよ。横棒が一本少ない)。

最近のアニメや漫画に登場するキャラだと『かくしごと』(久米田康治・作)の主人公の娘、姫ちゃんの小学校のクラスメートたち「めぐろ川たんていじむしょ」の三人がおしゃまな感じだが、他にはどんなキャラがいるだろうと検索していたら、『キラッとプリ☆チャン』にその名も「おしゃまトリックス」というアイドルユニットが登場するという。『キラッとプリ☆チャン』は未見なのだけど、少女向けのゲーム&アニメとのこと。なんだ、ちゃんとそういう年代のコに向けて「おしゃま」という言葉が使われているではないか。とはいえ「おしゃま」が形容動詞として認識されているかは不明だ。単にユニット名として認知されているだけかもしれないので「おしゃま」単体で言葉として使われているのかはわからない。

結論めいたものはないのだけれど、オッサン界隈には「おしゃま」な存在や事象がないので使う機会はないけれど、その言葉で形容される存在が身近にいる(ある)世代や場所ではまだ使われているのだろう。

しかし昨今はこういう「女の子のかわいさ」を表す言葉は、使う場所やタイミングや相手に気をつけないと思いっきり突っ込まれて狩られてしまう。ちょっと世知辛い。ニュアンスがかわいいし仕舞い込んでしまうには惜しい言葉だと思うのだが。

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PedalFarこと米津一成です。時々、自転車関係の本を書いています。ここ数年温めていたイメージを少しずつストーリーにしていきます。こんなふうに何の憂いもなく、皆が笑って走れる日が早く戻ってくるといいですね。その後の「追い風ライダー」の世界です。