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【英論抄読】股関節骨折者の歩行器使用の使用有無を決定するBBS小項目とそのカットオフ値は?

📖 文献情報 と 抄録和訳

入院中の股関節骨折高齢者における歩行補助具使用のためのBerg BalanceScaleのカットオフ値と小項目:レトロスペクティブな分析

Kobayashi S, Miyata K, Tamura S, Takeda R, Iwamoto H. Cut-off values and sub-items of the Berg Balance Scale for walking-aid use in hospitalized older adults with a hip fracture: a retrospective analysis. Physiother Theory Pract. 2022 Feb 8:1-9.

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DOI, PubMed

📚 概要

[目的]
股関節骨折で入院中の高齢者において、歩行補助具の使用を判別できるBerg Balance Scale(BBS)値と、歩行補助具の使用状況の違いを明らかにするBBS小項目を明らかにすること。
[方法]
股関節骨折で入院中に自立歩行が可能となった高齢者77例(年齢80.8±7.5歳)を対象にレトロスペクティブに分析した。受信者動作特性曲線(AUC)分析を用いて、異なるレベルの補助を持つ被験者の識別を最適化するBBSスコアを同定した。歩行補助具の違いを識別するBBSの小項目は、分類と回帰木分析により同定した。
[結果]
BBSスコアは、補助具なし、杖、歩行器の順で高かった。補助具なし歩行能力および歩行器なし歩行能力は、カットオフ値をそれぞれ51.5点および45.5点とし、中程度のAUC(0.824および0.865)が示された。また、杖の使用・不使用の判別には360度回転(4点 vs. 4点未満)、杖・歩行器の使用には踏み台昇降(2点以上 vs. 2点未満)の下位項目が確認された。
[結論] 
BBSは、股関節骨折者の歩行器使用を中止するかどうかの判断に有用である。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

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BBSは代表されるバランス評価であり、患者さんに対して「現在、○○さんの点数は○○点です。○○点以上取れると、転倒の危険が少ないとされていますよ~」といった説明をすることが多いように思う。
ただ、患者さんの視点で考えたときに重要なことは「何点以上稼ぐか」ではなくて、当然「家に帰っても安全に歩けるか」だろう。
つまり、BBSの総得点だけでなく、患者さんが安全に生活できるためのどの得点を上げることが必要かを理解することが大切だと思う。
今回紹介した論文、その点で非常に優れた情報を提供してくれる。
BBSに限らず、テストの結果の「So What?」を理解したうえで介入に繋げていきたい。

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