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【英論抄読】股関節骨折の入院リハビリテーション後の歩行回復の予測因子について

📖 文献情報 と 抄録和訳

股関節骨折の入院リハビリテーション後の歩行回復の予測因子について

Cecchi F, Pancani S, Antonioli D, Avila L, Barilli M, Gambini M, Landucci Pellegrini L, Romano E, Sarti C, Zingoni M, Gabrielli MA, Vannetti F, Pasquini G, Macchi C. Predictors of recovering ambulation after hip fracture inpatient rehabilitation. BMC Geriatr. 2018 Aug 31;18(1):201.

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DOI, PubMed(Full text), Google Scholar

💡 ポイント

✓股関節骨折患者における、入院リハビリ後の歩行回復の予測因子を調査した研究。
✓入院時の合併症の多さとコミュニケーション障害のみが退院時の歩行回復の失敗を予測させることがわかった。

📚 概要

[背景]
股関節骨折は、手術や治療の進歩にもかかわらず、死亡や身体障害のリスクが高く、依然として破滅的な出来事である。本研究は、トスカーナ州のHFリハビリテーションパスにおける集中的な入院リハビリテーション後の歩行回復の予測因子を明らかにすることを目的とする。

[方法]
急性期医療からマッサ・カラーラの2つのリハビリテーション施設に紹介されたすべてのHF患者2015年1月~2017年6月が登録された。Comorbidity Total Score(CIRS)により高ケア設定紹介または低ケア設定紹介を定義した。補助の有無にかかわらず、歩行の回復(SAHFEによる評価)を主要アウトカムとした。入院時に個人情報、併存疾患、認知機能(MMSe)、骨折前機能(mRANKIN)を記録した。転帰は、再入院、入院期間(LOS)、自宅退院とした。尿道カテーテル、褥瘡、障害(modified Barthel Index-mBI)、コミュニケーション障害(CDS)、体幹コントロール(TCT)、痛み(NRS)、歩行が記録された(入院-退院)。

[結果]
登録患者352名(年齢83.9±7.1,女性80%)のうち、死亡1名、急性期病院への再入院6名、入院時の合併症は高介護者97%、低介護者64%、中高合併症であった。入院期間中央値は22日、95%の患者が自宅へ退院し、1日の機能獲得量(mBIscore/LOS)は1.3±0.7であった。退院時に歩行を回復した患者は84%であった。高齢、合併症の多さ、膀胱カテーテル、体幹コントロール障害、入院時の認知・機能状態の悪化、骨折前の障害は転帰不良と関連していたが、入院時の合併症の多さとコミュニケーション障害のみが退院時の歩行回復の失敗を予測させることがわかった。

[結論]
集中的な入院リハビリの対象となるHF患者では、中等度以上の合併症とコミュニケーション障害が頻繁に認められ、リハビリの失敗を予測する。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

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以前、TRIPOD声明に関する記事を挙げた。今回の論文を、このチェックリストに沿って読んでみるとこんな感じだ。

D;開発 V;検証
本論文は検証を行っていないため、検証のみの箇所にはコメントしていない

まだこのチェックリストの詳細を深く読み込めてはいないため、ツッコミどころは満載かもしれないが、ご了承いただきたい。
本論文も開発のみに着目している、といった問題はあるものの、それ以外に関しては比較的質の高い論文と言えるのではないだろうか。
ただ、やはり一般化可能性の問題が残る。入院時の合併症の多さとコミュニケーション障害に関する視点は残しつつ、検証結果を待ちたい。

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医療従事者における道徳感についても記事にしていますので良かったら読んで頂けると嬉しいです。

最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。

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