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【英論抄読】肩関節エクササイズにおける”量”と”質”の関係性

📖 文献情報 と 抄録和訳

肩の痛みのあるオーバーヘッドアスリートとないオーバーヘッドアスリートのプライオメトリック運動中の肩甲帯および体幹筋のEMG活動は、言語および触覚フィードバックによって変化するか?

Werin M, Maenhout A, Palmans T, Borms D, Cools A. Does verbal and tactile feedback change EMG activity in shoulder girdle and trunk muscles during plyometric exercise in overhead athletes with and without shoulder pain? Phys Ther Sport. 2022 Jan 19;54:65-73.

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DOI, PubMed, Google Scholar

💡 ポイント

✓下図のようなプライオメトリックエクササイズの実施によって、僧帽筋上部線維の筋活動が優位に抑制される。
✓このような変化は、口頭指示や誘導の有無に関わらずに生じたことから、こうしたエクササイズを繰り返すことが、口頭指示や誘導の内容よりも重要であることが示唆された。

この運動は、ウェイトボールを空中に投げ上げる肩の外旋運動(コンセントリック外旋)と、それに続く遅延キャッチによって行われた (肩の高さより低い位置でボールを持つ(エキセントリック外旋)。

📚 概要

[目的]
オーバーヘッドアスリートに対して、体幹と肩甲骨の両方を矯正する介入を行う前後で、介入を行わない場合と比較して筋活動に違いがあるか、また肩の痛みの有無で違いがあるかどうかを調査すること。

[方法]
参加者:オーバーヘッドアスリート60名、肩の痛みを持つ30名、健康な対照者30名を含み、プライオメトリックな肩の回転運動を行った。
アウトカム:参加者の半数は介入を受け、残りの半数は介入を受けない対照群であった。肩甲骨、胸上腕、体幹の10筋のEMG筋活動を測定した。

[結果]
介入の有無にかかわらず、筋活動レベルに有意な差はなかった。肩痛群では、運動を繰り返すと僧帽筋上部で有意な低活性化が見られた。肩痛群では、健常対照群に比べ、大胸筋の活動が有意に高かった。

[結論]
試験前と試験後では、ほとんどの差が見られた。運動の繰り返しは、口頭や触覚による指示よりも重要であると思われる。肩の痛みと健常者の比較から、痛みのある人は健常者と異なる筋肉を使うというこれまでの知見が確認された。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

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口頭指示や誘導の内容にこだわることは重要だ。この考えを変えるつもりはないのだか、一番大事なのは、目の前の患者さんが良い方向に変化していくこと。
”量”と”質”のバランスにこれからも注意していきたい。

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