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秘湯の会ー袋田編①ー

先日のnote「辰巳湯に行ってきた話」でも少し話したが
養成所の同期の
ドリルフィンフィンズ 高橋(シゲキックスを逆さにしたやつ)
イチバンニバン 徳山(レーズンをバイにして不安を与えたやつ)
の二人と秘湯に行く旅をしてきた。
理由は風呂が好きだから。以上。


徳山の希望で群馬の秘湯を目指すことになり、
高橋の自慢で高橋の車で行くことになり、
徳山のわがままで朝5時に日の出とともに缶コーヒーを飲みながら秘湯に入るということになった。
僕の希望で通ったものはない。

前日夜に練馬で銭湯を堪能してから高橋家へ到着。


高橋家のレポから始める。
なんでかって、全くおしゃれだからなのよ。
この記事はそれだけで終わるかもな。


実は高橋は知り合い?叔父?かなんかが所有している家の、使っていない二階の家を安く借りているらしい。木造で古いことまでは知ってた。
きっとお洒落なんだろうなと思いつつ、おじゃまします。


したら、やっぱり木造で。
階段の段階では本当に薄暗い倉庫上ってる感じ。
で、のぼって出会った引き戸は木製の格子状に曇りガラスが張られてて、開閉すると「ガラガラガラ」って音のなるおばあちゃん家のあれ。
天井も木製、床も木製。
めっちゃ古いじゃん。ゴキブリとか出そう。


でも、この木製も高橋の手にかかればヴィンテージだった。


入って目の前に4畳程度の空間、そこがまず書庫的になってるのよ。それも本の数がまあ多いから様になってるわけ。両脇の棚に本と雑誌とDVDと、でその真ん中にホワイトボードが置いてあって、いつでもそこで大喜利できるんだって。いつでもそこで大喜利できるってとこ以外は全部いい。大喜利はどうせしてないだろうから本当に嘘つかれた。本もまた画集とかファッション誌が混ざってたり、伊坂幸太郎とか鴨長明とかもあってキマってた。DVDはバナナマンときたもん。住めるよ。

で、その空間の左に6畳くらいのスペースがあって、ベッドと机と人をダメにするソファとテレビと服があるゾーン。ここもかっこいんだ。カーペットこそ敷いているものの、机やテレビ台は木製で統一してて、全体的に木造がモダンに早変わってるの。しかもベッドが端で、その空間のど真ん中に机を置いてるっていうクリエイティブ感。「ここでいつでもネタ書ける」って言いだしてたら即寝てたけど『チョコくう?サッカーボールチョコ。』って言ってきたからよかった。
服はしっかり整頓されてて押し入れがクローゼット的になってた。帽子も部屋の隅にお店くらい数置かれてた。

空気清浄機もあるし、暖房もあるし、人が来た様の布団類(これが死ぬほど温度調節きくし、枕も薄いクッション二枚でちょうどいい高さに設定されるっていうみんなに見習ってほしい物物)もあるし、で、何より清潔感がえぐかった。


僕が知ってる一人暮らしといえば大体どっかにサビかカビがあるし、部屋の一部にゴミを貯めている。捨てブースが存在しているのだ。特に早稲田の幹事長は家汚かったな。入口にふくらみきったゴミ袋が3つも4つも貯められてて、テレビの周りとかもとりあえず物を置くゾーンになってて、寝るスペースのみ確保された空間だった。いや、まぁ布団とかシャワーとかは使わせてもらえたし、結局そういうところでも同じように寝て起きちゃうからありがとうではあるんだけど。でも一人暮らしってそういうもんっぽい。


そう思ってたからこその感動。
いや、さすがに一度社会人をやってるだけある。
これは一人暮らしのレベルが違うのだ。
もはや20代男性の一人暮らし、ではない。独身男性の一人暮らしなのだ。多少金のある、働いている人間の生活様式に違いない。働いていても汚いやつはきっとまだ学生だ。それかパッパラパー。

ただ、高橋の家にも欠点はあった。


水回りだ。


本人もその話の時はロートーンで「水回りが最悪なのよ」と述べていた。

まず入口からきて右に進むとキッチンにいける。
その広さ、実に一畳。
そこに冷蔵庫を置いてるもんだから最早動線のみ。たしかにこれは狭い。

そしてそこから左に行くとお風呂場。
ここがなんと岩の床。突然の戦前感。
しかもあろうことかあけたら目の前にシャワーがあって、浴槽があって、同じ床の上に洗濯機が置いてあるのだ。洗濯機と風呂のユニットバス。

『いやこれじゃ洗濯機びしょびしょになるじゃん』

というと

『うん、だから俺は洗濯機も一緒に洗ってると思ってる。』

と永遠なことを言ってくる高橋。そうだ。こいつは朝3時に家を出て秘湯へ行くことに賛成した馬鹿だった。

 
最後はトイレ。
キッチンの右手にある。

和式だった。
和式の、トイレの中で一段段差がある、昔の居酒屋タイプのそれだった。
ただ、それでも和式トイレを洋式にするおまるが今時は売ってるらしく、埋もれた洋式便所に変身していた。ウォシュレットはない。

風呂もあれでウォシュレットがないとなると、この家の捨てスペースは高橋のケツで確定だ。高橋のケツはテレビ出せるほどキレイな見た目なのに。よく見たら捨てスペースがついてるんだろうな。

初めての高橋の部屋で大興奮した僕が落ち着いたのが1時過ぎだったろうか。布団をひいて、明日の起床時間を確認したら

『2:30にアラームをかけよう!で3時に出よう!』

と徳山。嫌すぎる。抵抗してみる。

『3:30にしない?』

『遅いよそれじゃ!』

『でも明日雨だよ。』

『日の出の時間に間に合わないじゃん早くいかないと!』

『いや、雨だから日の出見えないじゃん。』

黙る徳山。いけるぞ。

『3:30にしよ。な。』

『ま3:30でいんじゃん。』

高橋がこっちについた。3人グループの勝敗はすぐに決まる。

『よし、じゃ2:45にアラームかけて、3:30出発ね!』

よし、寝る時間少し増えた。


スマホのアラームをONにする。
「今から1時間30分後に鳴動します」
拒絶するように床に伏す。




お湯の話一滴もでなかったな。
次こそ秘湯の話するぞ。

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