マガジンのカバー画像

誰でもできる「科学的思考」

105
震災や感染症などで不安や混乱が取り巻く社会に決まって広がる似非科学、デマ。 SNSが発達した今、あなた自身がデマ拡散に加担しているのかも。 これは、ニセ情報に騙されないハウツーを…
運営しているクリエイター

#石川幹人

スプーン曲げは簡単

スプーン曲げは簡単

超能力ネタでショービジネスを成功させた人と言えばユリ・ゲラー。

2024年現在の日本でも、この名前を聞けば多くの人が「ああ、あの人ね」と。

子供も真似する、ショーの天才彼が日本のテレビに初登場したのは1974年。

十八番のスプーン曲げの他にも、テレビの視聴者宅にある動かなくなった時計を、テレビ越しの念力で動かして見せる技も披露。

1974年と言えば私は6歳でした。

看過され、家に

もっとみる
科学的事実は鉄壁?

科学的事実は鉄壁?

たまに科学者のことを「科学教信者」と揶揄する人に出会います。

科学で「証明」されたことを信じているだけだ、と言いたいのでしょう。

確かに、そう言われても仕方ない人もいるにはいますがね。

「太陽は東から」は証明されたのか?そもそも科学は何ものも「証明」などしない。

例えば明日の朝太陽は間違いなく東から上るでしょう、今までと同じように。

くる日もくる日もくり返されるこの現象について、

もっとみる
超常現象研究が日の目を見るには?

超常現象研究が日の目を見るには?

2014年に放映されたNHKスペシャル「超常現象 科学者たちの挑戦」。

番組のディレクタを務めた苅田章(かんだあきら)は著作の中で、超常現象の存在を示す兆候があるにもかかわらず、それを科学的に探究することが科学の世界でなかなか認められないのはなぜかと問います(※)。

そしてその理由の一つとして、超常現象をオカルトとしてはなからイカサマ扱いする偏見を挙げます。

超常現象っぽいこと言うだけで

もっとみる
一足飛びには発展しない人類の智慧

一足飛びには発展しない人類の智慧

東京都生活文化スポーツ局は2009年、
「『波動・情報転写による効果・性能をうたった商品』の表示に関する科学的視点からの調査結果について」
と題する調査報告書を提出しました。

「波動」というキーワードを用いた健康食品・機器や医療はちまたに多くあふれています。

それぞれに、利用者の体験談や独自のメカニズム論を展開して、その正当性を訴えています。

「波動」は超便利波動は特に後者、つまり当該商

もっとみる
超心理学研究に見る科学の危機

超心理学研究に見る科学の危機

NHKディレクター・苅田章は、超常現象に関するその著書の中で、

とします。

超常現象の中でも特に人間の認知活動に関わる分野、念力やテレパシー等を扱うのが超心理学。

生物学者で超心理学者でもある小久保秀之も、超心理学の課題としてそれが数式で表せないことだ、と言います。

日本語や英語のような自然言語は、日常生活では便利に使えても、こと自然現象の記述に関してはその言葉の多義性・あいまいさが命と

もっとみる
科学になり切れない超心理学

科学になり切れない超心理学

念力やテレパシーなどを研究する超心理学の論文を見ていると、やはり扱っているテーマの特質からか、「科学とはなんぞや」を問う科学そもそも論を結構見受けます。

これは結構難しい。

「科学とは○○です」と即答できるようなものではないでしょう。

なにせそれを扱う科学哲学という独立した学問分野があるくらいだし。

ただ、大学の職に就きそれなりのキャリアを積んでいるはずの研究者の主張を分析してみると、なん

もっとみる
発展しない・できない疑似科学

発展しない・できない疑似科学

邪馬台国・卑弥呼の死亡は西暦247か248年のどちらかと言われていますが、その両方で日本では皆既日食が観測されています(諸説あり)。

特に247年の方は皆既日食のその食分(太陽の欠け具合)最大の瞬間と日没とがほぼ同時。

この天体現象と、アマテラスの天岩戸伝説とを結びつける天文学者もいます(※)。

アマテラス(天照大神)は記紀に登場する太陽神・皇祖神であり、その五代後が神武。

卑弥呼に

もっとみる
科学研究、その立証責任とは?

科学研究、その立証責任とは?

占星術、心霊現象、UFO、クリプトジオロジー、古代宇宙人説といった疑似科学の信奉者は、何を根拠にそれを信じ、またその実在の証拠として何を挙げているか?

それは、写真、映像、目撃証言など多岐にわたります。

例えば、UFO信奉者は、空に浮かぶ未確認の飛行物体の写真を証拠として挙げるでしょう。

この場合彼らの主張はUFOが、本来の単なる「未確認飛行物体」という意味を越え、宇宙人の乗り物としての意味

もっとみる
超心理学が科学となるために

超心理学が科学となるために

超感覚知覚(ESP:味覚や嗅覚などの五感以外の知覚)や予知能力、霊視、念力などの現象を一般にサイ(psi)現象と言いますが、これを研究対象とする分野が超心理学。

超心理学者・石川幹人(明治大学)は、現代物理学を超越するように見える諸超心理現象の背後にある理論が存在しないため、現状では超心理学を科学と言うことはできない、しかし将来その理論が見つかる可能性がある、として超心理学を「未科学」に分類しま

もっとみる