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せっかちさんとの仁義なき戦い。atエレベーターホール #エッセイ

 プロフィールの写真を変更しました。どうもコーシです。

 どちらかというと自分は人との関わり合いを好む人間である。そこに価値観であったり、考え方の違いがあったとしても特に何も気になることはなく、「違うもんだなぁ」と若干その人間同士の差異を楽しみながら人との関わり合いを大切にしている。

 しかし、本当にごめんなさいを言うべきなだが、どうしても「ちょっと分かり合えんなぁ」と思ってしまう、人の性格。それは”せっかちさん”である。別の友人や恋人がせっかちさんであっても好きという感情がなくなることは全くないし、現に私の友人にはせっかちさんタイプの人間が多い。
 ただ人のせっかちさんな一面が見えた時にだけは、私としても”せっかちさんではない”と言うプライドがはたらいてしまう。ごめんなさい性格悪いかもしれないです。でも仕方がない、自己主張だ。私はせっかちさんではない。

 例えば信号のある横断歩道。赤から青になる5秒前くらいに歩き始めてしまう人をよく見かける。あれこそせっかちさんの最たる行動例なのではないだろうか。よ言うことは私の”せっかちさんではないプライド”が発揮される最た例でもあるのだ。
 もしその行動を共に歩いていた友人がしたとしたら、私は立ち止まり、信号が青ん変わるのを待つ。なんなら信号が青に変わっても「あー今日はいい天気だな」的な顔をして、信号が変わったことにも気がつかないくらいの勢いでプライドを発揮しているのである。

 そんな私に先日、関ヶ原の戦いが訪れた。相手は名も知らぬせっかちさんである。
 私が住んでいるマンションにはエレベーターホールがあり、そこには四つのエレベーターが連なっている。ボタンを押すと四つの中のいずれかのエレベーターが反応し、我々を迎えにきてくれる。しかし、車椅子マークのあるボタンを押すと必ずいつも同じ一つのエレベーターが反応し、我々を迎えにきてくれるのである。
 この仕組みの中でよく起こる事象がある。それは、一人のエレベーターに乗りたい人間がそのボタンを二つ同時に押し、二つのエレベーターを迎えに来させ早かった方に乗る、というものである。

 しかしどうであろう、最初の普通のボタンは四つのエレベーターを対象とし、1番早く迎えに来れるエレベーターが反応しているのだ。なのでもし車椅子マークのエレベーター以外の三つのエレベーターのうち、一つのエレベーターが反応したのだとすれば、車椅子マークのエレベーターを迎えに来させても早く来るのは三つのうち一つのエレベーターではないか。

 エレベーターを利用しようとした私はこれをする人と出会い、即座に”せっかちさん認定”し、プライドが働いてしまったのである。

 私の行動は至ってシンプルである。どうせ普通のエレベーターが先に来るのだ。私はそこには乗らず、彼が迎えに来させた車椅子エレベーターを利用するのだ。伊あまこちらに向かってくれているエレベーターの気持ちを考えると胸が締め付けられる。でももう大丈夫だ、私がいる。
そこで事件は起きた。
 彼がエレベーターに乗り、ホールを去った瞬間にやってきた犬連れの女性が普通のエレベーターのボタンを押してしまったのだ。彼女全くせっかちさんとは関係ない。至って普通の行動をしている。
 そしてなんと彼女が呼んだエレベーターが先に来てしまった。
 そしてその女性は優しく私に声をかけた。「乗らないんですか〜」

 乗りたい。だってちょっと早くトイレに行きたいんだもん。

 プライドか、トイレか。いやここまでくるとエレベーターへの情かトイレか、である。私は0.5秒のうちに最大限に脳みそをフル回転させ、結論を出した。

 「ごめんなさい僕、犬アレルギーなんで。ありがとうございます。」

 優しく声をかけてくれたあの女性には絶対に私のプロフィール画像を見せてはならない。


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