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【和訳】英国国防省:ウクライナ情勢報告

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英国国防省発表のウクライナ情勢評価分析の日本語訳
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#ロシア軍

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 14.06.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 14.06.2024

日本語訳ロシア国防省は、親ロシア派非正規戦力の指揮統制の一元化をさらに進めており、その目的は、ウクライナにおける攻勢作戦で非正規戦力を使用しやすくする点にある。

2023年2月にロシア国防省は“志願兵軍団”を設立し、さまざまな非正規部隊で軍務に就いている2万人を超える志願兵・予備役・傭兵・元受刑者を、単一の指揮統制枠組のもとに統合した。志願兵軍団の設立以降、ロシア国防省は非正規戦力をますます攻勢

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 02.06.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 02.06.2024

日本語訳2024年5月21日のロシアからの報道によると、ロシア軍第58CAA(諸兵科連合軍)の元司令官イワン・ポポフ少将が、軍用建築資材の販売に関係する詐欺と汚職の容疑で逮捕されていたとのことだ。ポポフは2023年7月に第58CAA(ウクライナ領ザポリッジャ地区に展開)司令官の地位から外された人物だ。解任される前にポポフは、戦争指導に関するロシア国防省指導部の能力に関する個人的な批判を公にしていた

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 31.05.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 31.05.2024

日本語訳2022年2月の開戦以降のロシア側合計人的損失(死亡及び負傷)数は、今や50万人に達している可能性が高い。2024年もロシア側人的損失数は依然として多いままで、ロシア軍将兵の5月の平均死傷者数は、一日あたり1,200人を超えた。この報告された数値は、開戦以降、最も高いものだ。

死傷者発生率の上昇は、ロシアが現在続けている消耗戦的攻勢の影響の結果である可能性が極めて高い。なお、このような消

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 29.05.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 29.05.2024

日本語訳ロシア・メディアの先週の報道によると、ロシアが主催する毎年恒例の国際アーミーゲームは、2024年に開催されない見込みであるとのことだ。だが、ロシア国防省からの公式発表は今のところない。なお、このイベントは2023年も中止になっている。

2015年に初めて開催された国際アーミーゲームは、ロシア国防省が毎年催すイベントであり、複数の国が参加し、二週間にわたって軍事的な競技を競い合うものだ。前

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 27.05.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 27.05.2024

日本語訳ロシア国防省軍政治総局は2024年5月22日に、連邦軍の政治指導員向けの新雑誌『ポリトルーク(政治委員)』を刊行した。この雑誌の目的は、軍政治指導員が兵士に政治教育を行う際の一助になることにある。軍政治総局のトップである国防次官ヴィクトル・ゴレミキン大将の紹介記事が明らかにしていることは、この新しい雑誌が、軍人への政治教育を目的としたソヴィエト時代の軍刊行物から多くの知見を引き出し、それを

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 25.05.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 25.05.2024

日本語訳ロシア連邦軍参謀次長ヴァディム・シャマリン中将が、かなりの金額の賄賂を受け取った疑いで逮捕されたことが、2024年5月23日に報じられた。シャマリンは、ロシア連邦刑法第290条6項に記された罪(著しく高額な賄賂を受け取ること)に問われている。

今回の事件の前に、最近、同様に汚職容疑で逮捕されたロシア国防省高官がいる。具体的には、ティムール・イワノフ国防次官とユーリー・クズネツォフ人事総局

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 19.05.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 19.05.2024

日本語訳2024年5月5日から6日にかけて銃撃されたロシア兵のうち、少なくとも11人が「同士討ち(フレンドリー・ファイア)」によるものだった。2024年5月6日の事件に関して、ロシア軍憲兵は仲間のロシア兵6人を殺害したロシア兵一人を熱心に捜査していた。この兵士は、ロシア占領下ウクライナ領ドネツィク配置のロシア軍砲兵大隊に付随するシュトルムZ部隊所属の元受刑者新兵だ。2024年5月5日にポロヒー付近

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 11.05.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 11.05.2024

日本語訳2024年5月4日、1機のロシア軍戦闘機がロシア領ベルゴロドの市街地にFAB-500爆弾を1発、誤って投下した。ベルゴロド州知事ヴャチェスラフ・グラドコフはベルゴロド市のラズドバルキナ通りで爆発が起き、被害が生じたことを認めたが、具体的な原因は明らかにしなかった。家屋30棟と10台の車に被害が生じ、5人が病院で手当を受けたが、このことは爆弾の破壊力をまざまざと物語っている。

今回の件は珍

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 08.05.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 08.05.2024

日本語訳ロシア航空宇宙軍(VKS)遠距離航空コマンド(LRA)は、AS-23コディアック[*注:Kh-101]に二つ目の弾頭を装着させたものを実戦投入することで、貴重な空中発射型巡航ミサイル(ALCM)の破壊能力を向上させている。

遠距離航空コマンドはこの戦争を通して、自らのシステムと戦術の修正を目指してきた。その目的は次の三点だ。一つは生存性の向上だ。その背景として、あまりに多くのミサイルがウ

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 04.05.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 04.05.2024

日本語訳ウクライナにおけるロシア軍の一日あたり人的損失(死亡及び負傷)の平均数は、2024年4月の一カ月間も同年のほかの月と大差なく、一日あたり899人の損失だった。

ロシア軍の死傷率が次の二カ月間で再び上昇していく可能性は高い。というのも、ロシア軍はウクライナ東部での攻勢作戦に、再度、注力しているからだ。なお、このような動向の前のことであるが、アウジーウカ陥落後の過去二カ月間、攻勢のペースはわ

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 01.05.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 01.05.2024

日本語訳ロシアのティムール・イワノフ国防次官に対する捜査は、彼より高位のルスラン・ツァリコフ第一国防次官にも及んでいる可能性が高い。ツァリコフはイワノフ事件とのつながりをFSBに尋問されていると報じられている。ツァリコフはイワノフの後援者であると言われてきた。彼は国防省の権力構造内において、セルゲイ・ショイグ国防相とヴァレリー・ゲラシモフ参謀総長に次ぐ、事実上三番目の地位にいるとされる。また、イワ

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 27.04.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 27.04.2024

日本語訳2024年4月18日にメディアゾナがウェブサイトで公表した報道によると、2023年は116名のロシア軍人に対して殺人罪での有罪判決が下されたとのことだ。この数字はその一年前と比べると、900%近くの増加である。ちなみに2022年の有罪判決数は13件で、2021年は11件である。

2024年4月8日にニューヨーク・タイムズ紙は、“ロシア・ビハインド・バーズ”代表オルガ・ロマノワ氏から得た情

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 24.04.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 24.04.2024

ロシアの独立系メディア・グループ「メディアゾナ」によると、2024年3月にロシアの軍事法廷は、684人という過去最高の人数のロシア連邦軍兵士に対して、脱走の罪で有罪宣告したとのことだ。2022年9月の「部分」動員以降、この罪状の対象となった人数は全体で7,400人であり、なかでもモスクワ地区が最も多く、496人となっている。

追跡捜査されて出廷した兵士の多くは、執行猶予が与えられたうえで、前線に

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 18.04.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 18.04.2024

日本語訳2024年4月1日、グリゴロヴィチ級ミサイル・フリゲート1隻がノヴォロシースク港内の黒海艦隊(BSF)施設で武器取扱作業を行った。グリゴロヴィチ級フリゲートのような最新鋭のロシア軍艦には、海・地目標に対して巡航ミサイルを発射するための垂直発射装置が備わっている。この種のミサイルは、従来、クリミアのセヴァストポリで再装填されていたものだった。

BSFはその水上艦と潜水艦をセヴァストポリから

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