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【前編】”掴みかけた”ニューノーマルの本質

一般社団法人 学士会の会誌"NU7"に記載されたエッセイを転載したもので、2020年7月号の原稿です。以下、本文↓

他のエッセイはこちらからご覧ください。
また、原稿は昨年執筆ですが、長文のため前編と後編に分けたいと思います。詳細は目次からご覧ください。

【原題】:
リモート YELLが”掴みかけた”ニューノーマルの本質

学士会YELLのリモート活動から思う、私たちの変わるものと変わらないもの

1. はじめに(学士会YELLとは)

 ”学士会YELL”は、”Youth Experts for Liberal arts and Leadership”の略です。若手有志のグループで、未来を担うリーダーたる卒業生を繋ぎ、リベラルアーツを基に各専門分野で活躍する次世代のリーダー同士が交流する場(プラットフォーム)を作り、出会ったメンバー同士の友情を育くみ、それぞれが助けあって跳躍する未来を目指しています。各方面で活躍するメンバーは世界中を忙しく飛び回り、暇な時間はあまり無いと思われるので、国境も時間も超えるリモートツール(アプリ)は必要不可欠と思います。毎月開催される若手茶話会(読書会・ミニプレゼン会・Do cafe)でも、通常は学士会館で開催していますが、遠方から参加する方のためにリモートツールを使う機会は数多くあります。また、イベントのために行うミーティング(以後、MTG)も、スマホやPCの画面越しで日々行っています。しかし、新型コロナウィルスによるパンデミックで、学士会館でのイベント開催が難しくなり、関係者で複数のツールをテストし、昨今の情勢やセキュリティの問題等を鑑みて、若手茶話会を始めとする活動をZOOM主体に切り替えました。今もアプリの使い方や種々のセキュリティ、運営方法やコンテンツ開発で試行錯誤しています。色んな知見が蓄積できた反面、検証しなければならない部分もあります。今回はその試行錯誤の末に見えてきた、Withコロナで生まれるニューノーマルの本質について考えてみたいと思います。

2. 私のリモート活動のご紹介

今回、執筆を担当する原と言います。学士会YELLの運営とSNS(学士会YELL 広報SNS)を担当しています。

 仕事で色んな場所を転々として、今は福井に住んでいます。下の表に過去1年半のリモートツール(アプリ)の使用状況を、覚えている範囲でまとめました。2019年1月、急に連絡があってSkypeで福井–東京間を繋いでミーティング(以後、MTG)に参加。その半年後、スマホの向こうには居酒屋にいるメンバーがいました。当時の私はタイにおり、シラチャのコンドミニアムからfacebook Messengerで映る居酒屋の風景を眺め、日本が恋しくなりました。その1ヶ月後には、若手茶話会の読書会でファシリテーターをするため、またその後にバンコクで結婚式に出席するため、バンコク市内のコワーキングスペースからfacebook Messengerを使って参加しました。その1ヶ月後、たまたま一時帰国中で、100人以上が参加したWelcome Beer Partyに参加。余韻を抱えて深夜便でタイに戻るも、午後にメンバーから連絡が入ってLINEとfacebook Messengerによる緊急MTGに参加。
 その2ヶ月後はSkype for businessでバンコクと東京と名古屋を繋ぎ、YELL主催の初の海外イベント(YELL’s cafe in Thailand)を開催。スマホとノートPC等を駆使し、プレゼン会をバンコク市内にあるチュラロンコン大学のビジネススクールから中継しました。さらにその1ヶ月後、若手茶話会のミニプレゼン会にSkypeで接続してタイのシラチャにあるコンドミニアムから参加。そのまま読書会で朝井リョウの小説について話をしました。その後はMTGの度にSkypeかfacebook Messengerを使用していましたが、2020年からはZOOMやMicrosoft Teams等をテストしながら、最終的にZOOMを使用しています。

 地方在住でかつ、タイに半年間赴任していた事もあって、リモートツールは身近な存在であり、いかに効率よく使いこなすかが求められます。しかし、基本はどれも同じなので、一度慣れればどうにかなります。重要なのは、会話が一方向になりやすいため、何を伝えたいかを事前に考えて、簡潔に明確に伝える事と、相手の話をじっくりと聞く事と思います。これは日々行う仕事での電話会議やWeb(TV)会議でも同様なので、相互にこれらの知見を反映させています。


3. リモートツールを選ぶ時と使う時

 ”ZOOM飲み”が世間に浸透していますが、ZOOMを使用している企業は2019年時点で多くありました。YELLがそれを選択しなかったのは、上述のように既に多くのツールが無料で使用できたためです。しかし、それでもZOOMを選んだのは、PCやスマホ等の使用端末やネット回線への負荷が他のツールに比べて少なく、参加者への負荷軽減になる可能性があった事、ZOOM飲み等の急激な普及により、心理的ハードルが下がっていた事が挙げられます。セキュリティ問題が浮上したため、若手茶話会のZOOM開催を一旦中止しましたが、その後の迅速な改善やその間の社会への普及状況も鑑みて、学士会会員支援課と協議の上、ZOOM開催を継続しました。

 少数参加のMTGや飲み会では、参加者同士が旧知であればリアルとの違いが小さいですが、若手茶話会のような初対面同士が画面越しで話すとなると事情が変わります。リアルの場合は、その場の雰囲気等の五感で感じ取れる情報があり、双方向の会話や複数同時の発言でも会話を読み取る事ができますが、画面越しでは発言力のある人がより多く発言する傾向があり、各参加者の発言量に大きなムラが生じます。そのため、参加者が会話に均等に参加できるよう、ファシリテーターである幹事のマネージメント能力がより高く要求されます。また、ZOOMの便利な点として、ブレイクアウトルームと言うグループ分けができる点があります。全員にWebミーティング用URLを先に送り、Webミーティングルームに全員集合した後、各テーマ等の設定されたブレイクアウトルーム(いわば、分科会)に移動させる事ができます。

 逆に参加者を各ルームに移動する処理を、特定の管理者が1人で行うため、その工数が特定の個人に集中する懸念があります。そのため、役割分担や管理者の設定等を工夫する必要があります。まだ知らないZOOMの機能も多くあるため、関係者が一つ一つ試行錯誤しながら勉強しつつ、若手茶話会を続けています。

後編へ続く

後編はこちら。
後編では残りの文章と、今思う事を書きたいと思います。

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