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システマに通じそうな読書記録

最近、身体や心の仕組み(まさにシステム)の本を読むことが増えました。システマのトレーニングで感じたことを言語化したり、全体像を頭で理解したりしたい、という欲求なのかもしれません。

面白かった本をいくつか紹介します。身体の使い方、運動イメージ、テンション(緊張)などに興味がある方向けです。最後はシステマの本ですが(笑)。


月刊秘伝

整骨院の先生の小磯直樹さんが、「全身をサーモグラフィーのように可視化して、緊張(赤)、弛緩(青)とすると、全身が緑になるようにするといい」というようなことを言っていて、システマのワンユニットの考え方だなと思いました。イメージしやすいですね。

室伏広治さんが言っていた、自分のボディイメージを持つことや、自分の身体にオーナーシップを持つことという言葉も印象的でした。
どうしても、理想の動きをする達人や、教科書にある解剖学的な均一な身体をイメージしがちですが、自分の身体は唯一無二のものなので、理想の動きを頭でイメージしつつも、それを自分の身体の動きとして落とし込むことが大切なんだなと思いました。

可能性にアクセスするパフォーマンス医学

運動イメージについて書かれている本で、システマのトレーニングでやっていることを、1人でプチ実験できるところが面白いと感じました。
例えば、
・A:手の平を思いっきり開く
・B:全ての指が2倍に伸びたと想像して、手の平を思いっきり開く
AよりBのほうが大きく開けたと思います。
こういうプチ実験がたくさん書いてあります。読んで理解する、ではなくて、読んで動いて理解する本です。

システマでも、手を長く、足は地面の下まで伸びて、みたいなイメージさせる言葉がありますが、医学的な観点からも運動イメージはパフォーマンス向上と密接に結びついているというのがよくわかりました。

誰もが知っている「緊張」の、誰も知らないアセスメントとアプローチ

システマでよくいう「テンション」って何なんだろうということで、日本語でも漠然としている「緊張」について医師が体系的にまとめた本です。テンションは、心身両方の緊張を示す語のようです。
凶器注目効果(凶器に注目すると視野が狭くなる)という話はナイフトレーニングにも通じますし、医療現場での自律訓練法やリラクセーション法は、システマでやっている呼吸とほぼ同じです。
知ることで気づくこともたくさんあるなと思います。

ことばが劈かれるとき

野口整体をもとに、演技指導をする著者の本。ことばとからだが密接にかかわっているので、タイトルにもある「ひらかれる」は、からだもこころもオープンであることにつながると感じました。
システマはロシア生まれなので翻訳本はどうしてもニュアンスを正しく伝えきれないところがありますが、野口整体などを独自に理解した日本人が日本語でつむぐ文学的な表現は、日本人だからわかる美しさや共感性があると思います。
話し言葉というのは、からだの内側から生み出されることばの一部にすぎず、ことばというのは色々な形で外に出たがっているという旨の文章を見た時、なんだか自分のからだを他人のように大事にできそうな気持ちになりました。言葉にできなくて苦しそうなら、どうやったらスムーズにそれを外に出してあげられるだろうか、と。

多分、普段は脳がイニチアチブを持っているから身体を所有・支配しようとしているけれど、上記のような視点を持つと身体がイニチアチブを持つから考え方が変わるのかもしれません。

EDGE -エッジ- : シークレット・オブ・ロシアンナイフマスター

システマの本です(笑)。ナイフの使い方的な本に見えますが、ナイフという武器の持つ特性や、身体や心に与える影響(緊張など)、ヴラッドとミカエルの出会いなど、幅広い内容でした。
印象的だったのは、ヴラッドが、「戦争を体験していない国の人は、自国内で争いをし、頭の中が戦争状態の人が多い」みたいなことを言っていたことです。表向き戦争のない時代ですが、分断や争いは絶えないわけで、むしろ表向き戦えない分、フラストレーションはたまるのでしょうね(戦争反対という前提ではありますが)。
あと、ミカエルの「塹壕の中では誰もが無神論者ではいられない」という言葉は、日本人であり無宗教である私にも響く言葉でした。

自分が面白いと思った本を書いた人や読んだ人が、「面白い」と言っている本を掘っていくと、永遠に面白い本に合える気がします。そんなことを考えました。

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