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日本で「ジェンダー平等」が進展していない理由

こんにちは。PAF MALLのエシカル男子、【14期】エシカル・コンシェルジュ講座受講生のカワムラです。

第9回講義「みんなのための、ジェンダー平等と女性のエンパワメント」。講師:大崎麻子さん(特定非営利活動法人Gender Action Platform 理事)

大崎さんは、国連開発計画(UNDP)でジェンダー平等と女性のエンパワーメントを担当。現在は、国際基準や動向を熟知する専門家として、国内外で幅広く活動しています。

2023年の日本のジェンダー平等の進展度は146か国中125位。日本でも「女性活躍」のかけ声のもと、あらゆる取り組みが行われてきましたが、ジェンダー平等の実現には多くの課題を抱えている状況です。

そもそもジェンダー平等って?

なぜ今、世界では国際目標として政府や民間企業が取り組みを強化しているの?

講義では、ジェンダー平等の基礎知識はもちろん、日本の地域における具体的な取組事例を通して、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントが、いかにして社会全体の幸せやウェルビーイングに繋がっていくかを考えました。


僕は、昭和〜平成〜令和と、ずっと共学の学校や企業で過ごしてきました。思い返すと、受験して入学した高校で最も学びに繋がったことは”女性は優秀である”と体感できたことかもしれません。僕の高校は女性のほうが学業において秀でていて、学生生活でも中心的存在の女性がたくさんいました。

そのことが自然であった男性は、女性の優れた部分を素直に認めあい、力仕事や機械仕事などリードできる部分は積極的に支えあっていました。同級生というチームメンバーは平等であり、男女によってチーム貢献の権利や機会、責任の差はなかったように感じます。

そんな学生時代を過ごしてきたからでしょうか。社会人になってからも、女性の上司や先輩、同僚に対して、ジェンダーへの特別な意識を持たずに仕事をすることができた気がしています。

仕事だけでなく、料理、掃除、洗濯など、家のことをやることに疑問や不満は感じていませんでした。僕の家は妻も仕事をしています。チームメンバーとしてなにも貢献できないことは恥ずかしいし、人にやってもらうだけでは、自分たちの家であるという快適さや寛ぎは得られないと思っていたので。

もちろん、社会人になってからは、男性同士の繋がりを重視する社会的構造や、女性のマネージメントに苦労している男性上司にも多々接してきましたし、女性が家族や周囲から言われてきた外圧的な言葉も漏れ聞こえてきました。

そのたびに、このジェンダーに対する意識の違いはどこからやってきて、どこに向かっているのだろうと感じたものです。


本論に戻りましょう。なぜ「ジェンダー平等」は、国際目標なのでしょうか。

基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大⼩各国の同権とに関する信念

経済的、社会的、⽂化的または人道的性質を有する国際問題を解決することについて、並びに人種、性、⾔語または宗教による差別なくすべての者のために人権及び基本的自由を尊重するように助⻑奨励することについて、国際協力を達成すること。

国連憲章より

すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等

すべて人は、人種、⽪膚の⾊、性、⾔語、宗教、政治上その他の意⾒、国⺠的若しくは社会的出⾝、財産、⾨地その他の地位⼜はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣⾔に掲げるすべての権利と自由とを享有すること

世界人権宣言より

ここまでは理論として理解できます。SDGs〜持続可能な開発目標〜 では、より具体的に目的とゴールが示されているのです。

▪️前文(目的):すべての人々の人権を実現し、ジェンダー平等とすべての女性と女の子のエンパワーメントを達成することを目指す

▪️本文(実施原則):新たなアジェンダの実施において、ジェンダーの視点をシステマティックに主流化していくことは不可欠である。

▪️ゴール5(単体の目標):ジェンダー平等と女性・女の子のエンパワーメント
1. あらゆる形態の差別の撤廃
2. 公共・私的空間における暴力の撤廃
3. 児童婚、強制婚、女性器切除などの有害な慣行の撤廃
4. 無償ケア労働(家庭内の家事・育児・介護など)の再分配
5. 意思決定における女性の完全かつ意味のある参画及び平等なリーダーシップの機6. 会性と生殖に関する健康及び権利への普遍的アクセスの確保)

※実施原則の「ジェンダー主流化」とは、男女別のデータを見る→男女間で数値に差(ジェンダーギャップ)があったら、それがなぜかを調べる→物事を決める場に、男性と女性の両方がバランスよく参加することを指します


2024年6月12日、世界経済フォーラムが発表した「ジェンダーギャップ指数」2024年版報告書では、日本は国別ランキングで対象146か国中118位(66.3%)と、前年の125位から7つ順位を上げました。全体の順位は上がり、1.6ポイントの改善は見られるものの、先進7カ国(G7)では変わらず最下位にとどまっています。

調査は、男女が完全に平等な状態を100%として、男女平等の度合いを数値化しています。全世界の達成率は68.5%で、0.1ポイント改善。この指数は、経済、教育、健康、政治の4つの分野のデータから成り立っています。

日本は、管理職に占める女性割合の低さ(130位)、男女間の所得格差(98位)が依然として課題であり、あらためてジェンダー平等への取り組みが他国に遅れをとっていることが浮き彫りになりました。

日本全国の指数ですから、都市部だけでなく、地域それぞれの事情もあるでしょう。脈々と受け継がれてきた「男が稼ぎ手、女が家を守る」という意識や社会構造を変えることは、簡単ではないかもしれません。

ただ、自分自身の経験を持っていえば、ジェンダーに関わらず、人間同士としてリスペクトの気持ちがあれば、個々の資質や能力を活かした環境はつくっていけると感じます

世界と比べて遅れているという焦りからの改善ではなく、世界の途上国からすれば十分ではないかという慢心でもなく。フラットにニュートラルに、個々人へのリスペクトをもったチームビルディングができないものでしょうか。シンプルに、そんな感想を抱いた講義でした。

次回は、日本各地の具体的な取り組み事例、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントが与える社会への効果について書いていきます。どうぞ引き続きおつきあいください。


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