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この時代になぜ図書館?とにかく「行く」ってことが大事なのよ!

「図書館に行きなさい」「紙の本を読みなさい」

なぜ大人は、やたらと紙の本を勧めてくるのでしょうか。正直中身は同じだし、軽いしスマホで読めた方がいいのに。

その気持ち、すごく分かります!なぜなら私も電子書籍の愛用者ですし、マンガなどは特に、アプリで気軽に読めたほうが嬉しいですよね。図書館職員とはいえ、紙の本ばかり読んでいるわけではありません。

しかしそれでもやはり、図書館に来た方が人生は豊かになると思うのです。

以前からそう思っていましたが、先日素敵な映画を見つけたことがきっかけで、よりその思いを強くしました。

映画のタイトルは「秘密の森の、その向こう」。参考までに、公式HPのリンクを貼っておきますね。

もともとフランス映画が好きなこともあり、キネマ旬報をめくっていた時に目に着きました。実力派の監督の作品であり、各国の映画祭で話題になった1本だそう。それなのに上映館が少なく、テレビなどで全く話題に上がらないのはなぜ?

よく考えてみれば、テレビなどの広告に上がってくるものは「宣伝費がかけられているもの」です。そのため、広告提供側の「こんなものを流行らせたい」という思惑や、「大衆にはこういうのが受けるから」という、一般化されたものが多く流れています。ネットニュースや電子書籍の「おすすめ」に出てくるものも同じです。利用者の好みに合うものも流れてきますが、やはり宣伝費がかけられているもの、ほかのユーザーからの評価が高いもの、制作側が流行らせたいものが混ざってしまいます。

このような状態では、本当に「好き」なものを見れていると言えるでしょうか。広告や「おすすめ」に出てきたものは他人が選んだ物であり、あなたはそれを受け入れている状態です。もちろん、自分以外の誰かのおすすめを知るのは参考になりますし、新たなジャンルを開拓する助けにもなります。しかし、それしかしていなかったら?「受け身」が当たり前になっていたら、人の好みの中で好き嫌いを選択することになってしまいます。それは本当に、あなたの好きな物だと言えるでしょうか?

こんな時、図書館が役に立ちます。書店もいいですが、図書館のほうが新旧バラエティ豊かな本が揃っているため、選択肢が多いところがポイント。選択肢が多ければ多いほど、自分のお気に入りが見つかる可能性が高くなります。また、図書館は館ごとに違う「本の収集方針」というフィルターはあるものの、基本的に全てのジャンルを網羅しているところも特徴です。例えば大学図書館の歴史の棚なら「研究に使える本」というフィルターはありますが、ある特定の時代や地域は不人気だから、という理由で排除することはありません。(本の収集方法に興味がある方は、参考記事をこの記事の最後に貼っておきますのでぜひお読みください。)

また、その並び方にも細かい規則があり、人間の独断と偏見が入り込む余地がないため公平です。図書館で本を選ぶ時は、他人の価値観が入り込む余地はありません。あなたの感覚こそが全て。だから、図書館に来て欲しいのです。あなたの本当の「好き」を見つけるのに、これほど格好の場所はありません。本物の「好き」は勝手にやって来るものではなく、能動的に、自分の足で探しに行くものなのですね。

自分とは何か。自分の本当に好きな物は何か。誰しも悩む時はあります。現代は情報の多い社会と言われますが、その情報とはすなわち他人の声です。じっくり考えたいのに、周りがうるさい状況だと言ったら分かりやすいかもしれません。にぎやかな環境の中では無理に集中して勉強しようとするより、友達とのおしゃべりに参加するほうが楽ですよね。そのうち集中力か途切れ、考えることを放棄してしまう人も多い社会だと思います。そして、道に迷ってしまうのです。

たまには、自分の「好き」を明確にする練習をしてみませんか。自分の「好き」を知ることは、自分自身がどのような人間なのかを知ることにも繋がります。「自分を知る」なんて言うと難しいことのように聞こえますが、ほんのちょっぴり、日常生活から離れてみるだけでいいのです。流行りの服や映画なども大好きだけど、ちょっと別世界にトリップしちゃおうかな。そんな軽い気持ちで、図書館に来てみてください。図書館という異空間には、膨大な数の「鍵」があります。そのどれもがフラットな立場で存在し、「現実世界」の「ダサい」「かっこいい」なんて基準は存在しません。すべての価値は平等です。

さあ、あなたの心の扉(ひとつとは限りません!)にぴったり合うのはどれでしょう?


この記事が、図書館を通してもっと自分自身と仲良くなるきっかけになりますように。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!



図書館がどのような基準で本を購入しているのか、ご興味のある方はぜひ以下の記事もあわせてお読みください。私が働いている大学図書館の事例がメインになりますが、本が旅している様子がイメージできる記事になっています。

また、図書館で得られる人生での学びにご興味のある方は、以下の記事もあわせてお読みください。今回の記事では「図書館で自分を知る」ということをメインでお話しましたが、図書館は、ほかにも人生で役に立つスキルが自然と磨かれていく場所です。以下の記事では、その一部を別の切り口からご紹介しています。


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