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短編小説

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私の作ったやつのまとめです
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記事一覧

消臭剤

ある会社が新しい消臭剤を出した。「この消臭剤、ホントに効くのよ。どんな臭いもなくなるわ。」との口コミで人気殺到。外出自粛ムードの中でもどこでも完売である。

それからしばらくしてである、風邪の症状を訴える人が今までにない勢いで急増したのは…

「1時のニュースをお伝えします。消臭剤と偽って新型コロナウイルスを販売した容疑で××容疑者が逮捕されました。××容疑者は取調に対し『コロナで嗅覚障害が起

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1日後に死ぬカニ

1日後に死ぬカニ

のんびりとした空気が流れる。此処は海の中にある私達の街である。ボクはそんな街で特に何もせず、のんびりと暮らしていた1匹のカニである。そんなボクだが今日、街の長老に呼び出された。彼に呼び出されるということは、戦いに出ないといけないか、もしくは何か重要な報告があるということだ。ボクはプルプルと震えブクブクと泡を吐きながら長老の元へ向かった。
ボクはこんな緊張している姿を誰にも見られたくないと思っていた

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死神

私は、死神。そのせいで、まわりからは怖がられているけど、私の仕事は、どうしてもこの日までは生きていたいっていう人たちの願いを叶えるお仕事。私は死神として生まれてしまったから死神として生きなければならないけれど、人を殺すのは性にあわない。だから人を生かす仕事を始めた。

でも、こんな見た目からか、みんな私から距離を置く。そして今も道がわからなくなったけれども、誰にも道を尋ねることができずに迷っている

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無題

バイタルの悪化を示すアラームが鳴り響く。これはほかの誰のでもない、僕のアラームである。僕は持病が悪化して今この病院に入院している。朦朧とした意識の中、僕の頭の中で文章が組み上がっていく。文字を書ける状態でも言葉を話せる状態でもなく、文章を作ったところでどうもできないのに自然と文章ができていく。もう全てが僕の手に負えない状態になっている。

そんなある日、僕の隣の空きベッドに誰かが来た気配がした。目

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どうでもいいや

 今日も眠たい陽射しが窓から入ってくる。このまま二度寝、三度寝と何度でも出来そうな心地良さだ。しかし、そうとは言って居られない。私は会社員だ。このまま寝てしまったら、気持ち良い起床どころか絶望の起床が待っている。まぁ行ったところで何をするってわけでもないのだが給料のためにとりあえず行っている。そして給料を貰ってるからって何を買うでもなく、ただただ貯まっていくだけである。

 昨日のご飯の残りを片付

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