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ぼくの本棚

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心震わせられた一文から。読書の足跡。
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#児童文学

【読書】きげんのいいリス トーン・テレヘン 訳 長山さき

【読書】きげんのいいリス トーン・テレヘン 訳 長山さき

ここに書かれているのは

きっと、大人になればなるほど忘れていく原色の自分について

だれも答えてはくれないし、だれも答えなど知りもしない

自分だけの〈願い〉と〈疑問〉が隠されたどうぶつたちの物語

◆あらすじ 

〈叶った夢・叶わない夢・叶っている夢〉

 一度でいいから、ひっくりかえる。そんなサギの〈願い〉は、

 原題『ほんとんどみんなひっくり返れたーBijna iedereen kon

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【読書】 しずかな日々 椰月美智子

【読書】 しずかな日々 椰月美智子

人生は劇的ではない。ぼくはこれからも生きていく。

 読書をする。記録をつけて、感想文を書く。だから、読んだ本のあらすじや、感想はいつでも鮮明に思い出すことができるのだけれど、ふっと薄れて消えてしまうような作品に出合うこともある。

 面白くなかった、嫌いだった、という安直な理由ではなく、つかみどころのない、それでいて、いつまでも、香りだけが残っているような作品に出会う。私にとって、その最たる作品

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【読書】リズム 森絵都

【読書】リズム 森絵都

心の中でリズムをとるんだ、自分だけのリズムを

「おとなこども」という言葉を使う人がいて、意味は、「大人だけど、子どもの感性を失わずに持ち続けている人」と勝手に解釈している。僕は、その言葉がとても好きだ。

子どもは言葉を知らない。だから、自然と見たまま、感じたままを、それぞれの方法で表現する。そこから紡がれる剝き出しの感性。思わずドキッとするような瞬間が何度も訪れる。

『リズム』は、まるで子供

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【読書】 トリツカレ男 いしいしんじ~最高の贈り物~

【読書】 トリツカレ男 いしいしんじ~最高の贈り物~

僕の中でのプレゼントにしたい本。第一位。

いしいしんじ『トリツカレ男』

今回は、いや、今回も一方的な物語への愛情を書かせていただきした。(お付き合い頂けると嬉しいです……)

ピュアなきもち誰かを好きになるという不思議。

見た目。内面。言葉遣い。年収。地位。理想。

年を重ねれば重ねるほど、相手に求める条件が高くなっていきますよね。

だから、「好きになる」がどんどん下心を帯びて、現実的な理

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【読書】宇宙のみなしご 森絵都

【読書】宇宙のみなしご 森絵都

ときどき、わたしのなかで千人の小人たちがいっせいに足ぶみをはじめる。その足音が心臓にひびくと、身体じゅうの血がぶくぶくと泡をはくみたいに、熱いものがこみあげてきて抑えきれなくて、わたしはいつもちょっとだけふるえる。

 森絵都さん。タイトルよりも人の目を引く、ちょっとずるいペンネームだなぁと、彼女の本を手に取る前はいつも思う。絵の都。素敵な名前だと思う。

 そして、タイトルの『宇宙のみなしご』。

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【読書】 思い出のマーニー ジョーン・G・ロビンソン

【読書】 思い出のマーニー ジョーン・G・ロビンソン

パーティーや映画、お茶に招かれたりすることが素晴らしいのは、あくまでも自分以外の連中ーはみな「内側」の人間、何か目に見えない魔法の輪の内側にいる人間なのだから。その点、アンナ自身は「外側」にいる人間だから、そういうことはすべて自分とは無関係なのだった。

 イギリス児童文学の金字塔にして、ジブリでの映画化がされた「思い出のマーニー」。絶対に原作を先に読んでから、映画を見る!と変なこだわりがあるぼく

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