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深夜、堕落したブルーライト、ぼくら勝手に孤独になって輪廻。

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散文詩/自由詩まとめ。
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2021年11月の記事一覧

cannot望郷

cannot望郷

東京をトーキョーと呼ぶじいちゃんはけむりになって町を出てった
 
 
ふるさとと呼ぶには少し億劫な町で蛙は揚々と鳴く
 
 
腹痛に子宮を余らせる朝わたしを産んだひとが割る卵
 
 
腐敗でなく発酵としてふくらんだ身体で焦げたパンの骨をひろう
 
 
見なくてもよかったニュースいなくてもよかった回転寿司屋のPepper
 
 
なくてもいいものだけ詰めてたクッキーの缶にわたしを入れて抱いてる
 

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くらげの骨マイナーチェンジ

 
いつかくらげを飼いたいねといった背の高いひとがどうせ死ぬまでくらげを飼わないことくらい分かっていて、そうだねと答える自分の瞳の光の鈍さが嫌いだった、あのひとは、あのひとに話すときだけは、ぜったいに、誰も、くらげのこと、海の月だって言いませんように、ベニクラゲの生態のことも、ぜったいに話したりしませんように。
 
 
LEDで飾られた水槽のなかのくらげみたいに、は、光らない子宮、揺れるけど、光

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イマジナリーティーチャーと1118時間目の授業

起きるのが億劫な季節、中学のころ好きだった男の子といろんな種類のランチパックをはんぶんこしながらバクバク食べる夢を見て、なんだそれ、と起きてからひとり笑ってしまった、里芋の煮物がおいしくて、布団に入るとゲームを立ち上げたスマホを放り出してすぐ眠ってしまう、から、冬だねと思う、冬はきらいじゃなくて、でもきみといないあいだはやっぱりさみしい、
 
寒さにも子宮にも振り回されて、夜中に目が覚めてぽろぽろ

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ベイビー・ウォーク・イン宇宙

彩度の低いきみのクローゼットのなかにぬいぐるみを住まわせたい、そこそこ大きな魚がいい、できれば鮮やかな色の。
わたしは暗いところと狭いところが苦手だったけれど、きみと眠る夜だけはよかった、遠い星のひとつもない宇宙、いったことのない宇宙みたいな暗闇、トイレにのそのそと起き出してベッドの角に脚がぶつかったとき、はじめて、自分がもう星のこどもでないことを知るくらいの、暗闇。

餌をやりすぎた魚が日に日に

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真夜中ひかるサイゼリア1105円ガチャ

2回目のワクチンを打って、副反応に怯えています、ふだん風邪も引かないような健康優良児だから、ひさしぶりに熱なんか出ちゃったりするかもねと思うと、なんだかもう気怠いような気がしてくるね、プラシーボかな。
たまの偏頭痛の発作に悩まされる以外、こころがバランスを崩そうが身体は健康で、ストレスで痩せれたらいいのにねとのんきに思いながら、食べることいがいなんにもしたくない日のことを思い出します、おなかすいた

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