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優しい珈琲☕️


優しい珈琲

私しの手も腕も…
貴方の為に在った筈なのに…

もう書きたく無いの
貴方の事だけを考えて書いていたいのです

貴方は心配そうに私しの手や腕を慈しみ
撫でてくれる
何も言わずに優しさを擦り込んでくれる
私しの泣き言も弱さも我儘も
全部静かに聞いてくれている

…貴方だけの為ならば
どんなに痛くても辛くても書いていられるのに
…優しいお話が書きたいの
今は全部忘れて…

その言葉にもただ黙って私しの髪を撫でるやうに
優しく腕を愛しそうに抱き締めて下さる

…珈琲…飲みたいわ。

その言葉は私しと貴方の合言葉

暫くまた書きます…

貴方はスッと珈琲を作り
私しに手渡す時

…冷たいから気を付けて下さいね

と、言うのです。私しは思わず、

…其れは熱い時に言うものよ

と、「気を付けて」の、言葉に返しました

そうしたら貴方はこう言うのです

…冷た過ぎて驚くかも知れないだろう?

なんて。
貴方の唯一分からないものは
私しの猫舌の感覚らしいの

氷を真冬でも二個入れた珈琲

…そうね。
感覚だけならば
貴方にも伝わらない事も
あって当然でしたわ

…私しの猫舌は貴方が思っているより
此れで十分丁度良いと申しております

そう私は言うと
貴方は安堵の笑みを溢す

丁度分かり合えた時分に珈琲を一口
貴方の作る大好きなこの味に
私しは満たされておりました

その隙にと思ってか
はたまた偶然にか貴方は

…好きな物を書けば良い…。
黒影じゃなくとも、新しい何かでも、今の君が書きたいものを。

と、私しにさらりと言った。

ーーー…好きな物を書けば良い。

 其の言葉は私しに、優し過ぎる珈琲の薫りと、貴方を届けてくれたのです。

分かっているわ
無理…して欲しくないのよね
私しは貴方に書くなと言われるのが
何よりも怖かった
其れも気付いていらしたのね

だから好きな物を…そう言ったのだと気付いた
せめて止められない代わりに…そう思って…

私し、貴方が書きたい。
そんな貴方の優しさを残しておきたい。
此の珈琲の薫りみたいに
ふっと消えてしまわないで

許して大好きな貴方
今、此の手で一番書きたいのは貴方への愛なの
貴方がくれた沢山の愛を私の愛で綴ります

きっと私しは此れからまた
手の痛みを無視して書いてしまうでしょう
其れが私しの生き方だと知る貴方は
私しを止めずに堪えるのでしょう

さっき貴方は弱音を沢山言った私しに
こんな事を言っていましたね。

…今日はお休みにしませんか?

と。

其れが本音なのでしょう?
分かっておきながら
私しは何て罪深い物書きでしょうか

…この間の続き読んで貰えませんか?
不安なのです
自由に書きましたが
売れ線でもなければ
冒頭から他を読んでいなければ分からない
技も入れて推理も難しくするべきか悩んでいます
だから貴方に如何しても一番に読んで欲しいのです

そう言うと貴方は、
何時も一番最初に読ませる為に、取って置いてくれるのですね。
君が好きに書けたなら読みます。
推理も技も売れ線も、気にせず書いて下さい。

「好きな物を…書いて下さい。」

此処最近、不安になる事が多かった私しに
貴方はこうも言っていた。

「原点回帰すれば良いのですよ。」

と。

 如何しましょう…貴方。私し貴方の其の言葉の意味を勘違いしておりました。貴方は言葉数が少ないですから、つい。

とっくに原点回帰は書いたじゃないですか

って…。

違うのね。貴方が言いたかったのは、私しの書く姿の事。微笑み乍ら書いている、貴方が愛した横顔の事。真剣に没頭して書いている横顔の事。

自由に、何も無いキャンバスに夢を書いていた。
其処には貴方と私しだけ。
二人で同じ色彩を眺めていた。
貴方は、

…少し横になりますね。

と、言うと寝室に行き、疲れたのか直ぐに寝息を立て夢の中。

私しの腕を包み言っていたわね。
…此のまま眠りたいと。
私しの手が心配で眠いのも我慢して。

ねぇ…また私しの強がりを見付けて
そっと隣にいてくれたのね

氷入りの珈琲…今日も貴方の愛で美味しくて
泣いてしまいそうな程よ
こんなにも温かく優しい珈琲を有難う

…今、私しが一番書きたい
好きに書きたい事は…

ーーこの有り難い一杯の珈琲の事よ

他に何も要らない
上手い下手かなんて言わせない
だって此れは愛ですから
辻褄も合わない貴方への愛です

格好も付けません
強がりも言いません
誰かが読んで理解出来なくとも気にしません

貴方程私しを愛し、読んでくれる人などいやしない
貴方程、私しが道に迷った時
戻せる人間なんて出逢った事が無い

書かせて頂き、有難う御座います
この感謝は…誰よりも、何よりも好きに書いて貴方にお返しします

待っていてね…
私しのたった一人の愛しい人…。

書けるよ。
どんな苦行が降り掛かっても。

貴方に届くと感じる限り、私しは…


そうですとも…僕は書けます。
例えば両手を失っても、僕は書けると言います。
君と生きる限り…諦めたりはしない。
僕は僕の人生を書いている。
ならば、僕の人生に君がいるのは当然なのです。

君の大好きな小さなハニードーナッツだよ♪

少し書いたら休みましょう。
君が安心する様に。
君の納得が行く休憩を摂りましょうね。
君の大好きな小さなハニードーナッツを摘んで。
二人で珈琲を飲もう。
君の分は、僕が淹れますね。

書ける様にしてくれて有難う。
強くしてくれて有難う。
傍にいてくれて有難う。
原点回帰の本当の意味を教えてくれて有難う。
僕の意志を尊重してくれて有難う。

何よりも…僕其のものを愛してくれて有難う。

もう、不安など書く上に御座いません。
この手が筆を取れぬと言うならば、僕にはもっと凄い筆がありましてね。
その名を「決して揺るがぬ愛」と申します。

珈琲、有り難く頂戴いたしました。
ですから、お返しに君にご満足頂ける物語を綴ります。
この世の他の人間総てが駄文だ、此奴は終わったと言われても怖くありませぬ。
貴方が一喜一憂されれば、僕にとっては最高傑作であります。

行って参ります…愛しい人よ。
君が目覚める迄、僕も同じ夢の中におります。

君と見慣れた懐かしい僕らの原点だよ。
此処からまた頑張るからな。

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お賽銭箱と言う名の実は骸骨の手が出てくるびっくり箱。 著者の執筆の酒代か当てになる。若しくは珈琲代。 なんてなぁ〜要らないよ。大事なお金なんだ。自分の為に投資しなね。 今を良くする為、未来を良くする為に…てな。 如何してもなら、薔薇買って写メって皆で癒されるかな。