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特別な理由はなくてもいい。とにかくやってみた先で、今の自分がここにいる。

新卒で入った会社を退職。次の一歩がなかなか踏み出せずにいた中「勢い」で飛び込んだ大人の島体験
その1年後に島に就職した彼女は、何を思い、なぜ島に残ることを選んだのでしょうか?

島根県の離島、隠岐島前地域で大人の島留学・島体験に参画した皆さんの来島前・来島後、そしてこれからについてお届けする「私、島で働く。」
その卒業生版、番外編となる「卒業生は、今。」

来島のきっかけから島での仕事・暮らし、自分自身の変化。そしてこれからを思い描く未来とは。
1人1人のストーリーをお届けしています。

餅田ゆかりさん 神奈川県出身 取材当時26歳
R5年度大人の島体験生として来島

今回はR5年度大人の島体験5〜7月生として海士町に来島。
その後、制度を延長し今年の春から島前ふるさと魅力化財団(以下、財団)に就職された餅田ゆかりさんのインタビューをお送りします。

来島から約1年。制度終了後は、島に就職。
今後も島で暮らすことを決めた彼女のこれまでの歩みと想いについて、聞かせていただきました。


目的よりも、一歩前に自分が動き出せるきっかけがほしかった。

大学を卒業して新卒で就職した会社では、2年弱働いていていました。その後会社を退職してからはかなり長い間、家に引きこもる状態が続く日々。「転職活動をしなければ…!」と頭ではわかっていてもずっとぐずぐずしていて、なかなか前に踏み出せずにいました。

ちょうどその時、大人の島留学生として海士町で暮らしている友人がいて、その子のSNSの投稿を見た時に初めて「大人の島留学」の存在を知ったんです。

「なにこれ…!?」
と、すぐさまオンライン説明会に参加しました。そして応募の締切直前にエントリー。ほぼ勢いでしたね。

思い切って島に行くことを決断できたのは、大人の島留学が自分が一歩前に動き出すきっかけになるだろうと思ったから。
行く場所は島でなくてもよかったんです。

ここに来ている大人の島留学生って、「ここで何をしたいか」「何を得たいか」とか目的が明確な人が多かったんです。
一方で、自分はそんな立派な理由はなく、ただただ何か次に進むための「きっかけ」がほしかっただけなんです。

神奈川で社会人をしていたころ

あと、来島を決めたもう一つの理由に、島ではやる気さえあればなんでも挑戦できる環境があることにも心を動かされました。

一般的に就職活動って、これまでの自分のスキルや強みをもとに業種を絞りますよね。それに、その企業に入ったら何でもやらせてもらえるとも限らない。
でも大人の島留学は、自分がやってみたいというやる気があればどんどんやらせてくれるところがいいなって思いました。その時の自分は、「自分は〇〇ができます」って自信を持って言えるものがなかった。だからこそ「なんでもやります!」くらいの気持ちでいたくて。
そういう自分にとっては、いろんなことに挑戦できる環境で働かせてもらえる大人の島留学は、すごくぴったりでした。

自らやってみる、を続けた先で得たものとは。

来島してからの3か月は、海士町役場の交流促進課という部署で働きました。
島に来たばかりのころは、企画や観光分野、行政の仕事に興味があったのですが、あの時は正直、そこまで深くは考えていませんでした。
だから、仕事を始めて最初の1、2か月は「何かが違うかも?」とぼんやり感じる日々で。

「来島したばかりで島のこともわからないし、過去の実績もなければ3か月しか島に滞在しない自分に、すぐに大きな責任のある仕事を任されるわけではない――」

当時の自分はそのことに気付けていなかったんです。
待っていればどんどん仕事は与えてもらえて、島体験が終わる頃には何か得られるんじゃないか?って、どこかで勝手に期待しているところがありました。

それでも島での暮らしを延長したいと思ったのは、ここで、これだけで、自分は終わりたくないって思ったから。暮らしにも、仕事にも、より深く入り込むために、もう少し島に残ることを希望しました。
延長を希望したとき、大人の島留学事務局の方から
「職場にずっと座って一人でパソコンと向き合っているだけなら、延長はさせられない。島では色んな場所で若者の力が必要だからこそ、もっと体を動かしたり、なんでもやってみたりする姿勢をもってほしい。」
と言われました。その言葉を受けて、これまでみたいにただ仕事を頼まれるのを待つのではなく、もっと自分から色んなことにチャレンジする時間にしようと決意。

島に来て、毎日元気をもらっている海の景色

そう決めてからは、違う部署であっても人手が足りていないところに足を運んでは、「自分も関わりたい」と積極的に手を上げることを意識して過ごしていました。

延長後は、交流促進課だけでなく島前ふるさと魅力化財団にも携わるようになり、地域のお祭りのお手伝いや行政視察の対応、島留学に関わる受け入れなど幅広く業務を担当しました。年間を通してやっていることは全部違うし、一部の仕事は始めのうちは慣れないことも。

でもとにかくやってみて、それを続けてみるうちにだんだんと楽しくなってきて、気がつかないうちに色んな人との新しい繋がりが生まれていました。自分が思いがけないところで多くの人との出会いがあり、知り合いも増え、とても充実していましたね。

キンニャモニャ祭りに参加!

新しい仕事をやる前は、それがどのような結果につながるのか、どう自分の成長の糧になるか、は正直わかりませんでした。でも、自分なりに一生懸命取り組んだ先で何か見えてくるものは必ずあったからこそ、一旦まずはやってみるという精神を今でも大切にしています。

仕事だけでもなく、暮らしだけでもない、この島が好き。

島で今後も暮らそうと思ったのは、島は仕事も暮らしも両方のバランスがよかったからです。仕事は一日の大半を占めているからもちろん大事だけど、仕事以外の時間も自分にとってはすごく大切。
出身が横浜なのですが、そこは人口は多いわりに関わる人は本当に少なくて、自分の場合は家族やごく少数の友人と過ごすぐらいでした。

自分は誰とでもすぐに打ち解けるのは得意ではなかったけれど、この島に来てからは、たとえば仲良くなった地元のおじさんのおうちでご飯をいただいたり、地元の人と一緒に綱引き大会に参加したり、スナックでおしゃべりを楽しんだり。
いろんな年代の人とすこしずつ、自然と仲良くなっていきました。

平日の夜や土日に地元の人と交流できることは今も本当にうれしいから、仕事以外の時間も自分にとってはすごく大切で。暮らしの楽しみも、仕事の楽しみも、両方バランスよくあるからこそ、この島に残り続けようと思ったんです。


地元の方と賑やかにごはん


島で就職することを選んだ覚悟と、今はとにかくやってみる。

島に就職をして、この4月からは財団で働きます。主な仕事は大人の島留学生の採用まわりです。
大人の島留学のオンライン説明会でスピーカーをやったり、島外の方に向けてトークイベントを企画したりします。
財団の職員になってから感じるのは、責任が増したことですね。
新しく入ってきた大人の島留学生の人たちと一緒に仕事をしていく中で、責任感を感じながら日々相手の意思にも耳を傾け、コミュニケーションをしっかりとることを大切にしています。

もちろん大人の島留学生のころも、どんな仕事においても責任感を感じながら取り組んでいました。でも職員という立場になれば、さらに責任を持たなければならない。その分より一生懸命に向き合った先で何かがきっと自分の成長の糧になると考えているからこそ、今後は大人の島留学生ではなく職員として、より大きな責任を背負いながら働く道をあえて選びました。

この春に就職してから1か月。これからもまだまだ覚えることがたくさんあるので、今後の目標については特に決めず、今はとにかく全力でがんばりたいと思います。続けていったらいつか必ず結果はついてくると信じているから、まずはわからない不安を受け入れて、今できることから一つ一つ取り組んでいきたいです。また、島の人たちとも仲良くさせてもらっているので、感謝を忘れず、これまで以上にぐっと深く関わり続けられたらいいなとも思っています。

やる気さえあれば、本当に何でもできるんだってわかった。

島に来る前までは、自分は細かいことをすごく気にしすぎるタイプでした。例えば、大学を卒業して就職することが一般的なルートで、そうじゃないといけないと思っていたんです。

でもこの島に来て、別にそんなことないなって思えるようになりました。ある意味どうでもよくなりましたね。
元々は大企業の社員だったり、大学の職員だったけれど退職をして島に来たり、この島で色んなバックグランドを持っている人に会って話を聞くうちに、タイミングは全く関係なく、いつでも、本当に、何でもできるんだって思ったんです。同期の大人の島留学生に話を聞いてみても、みんなそれぞれの想いを持っていて、島に来た理由とか辿ってきた道は本当にさまざま。
この島で多様な人たちとのたくさんの出会いを通じて、そのことに気付かされました。

私はこの島で一生暮らすかはわからないし、いつか本土に戻ることもあるかもしれません。

それでも、これからも、自分のやる気さえあれば何でもできる気がします。


(R6年度大人の島留学生:髙橋)

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